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新聞の役割とは

 殺害や制圧など物騒な文字が連日紙面で躍る。だが始めは驚きや怒り、悲しみから注目されるも、長期化すると当事者以外は慣れと飽きがきて関心は薄れる

 ロシアのウクライナ侵攻や旧統一教会と自民党の関係もしかり。新たな出来事があると興味は分散し、忘れる。時の権力者にはその方が都合が良いのかもしれない

 ジャーナリストの筑紫哲也さんは「NEWS23」のDNAは「力の強いもの、大きな権力に対する監視の役を果たそうとすること。とかく一つの方向に流れやすいこの国で(中略)、少数派であることを恐れないこと」などと、最後の「多事争論」で語った

 同じくジャーナリストの和多田進さんは十勝毎日新聞連載の東京日記で、新聞を面白くする方法は「権力に異議を申し立てる新聞本来の役目を果たすことこそが『面白い』の核心だ」とし、「異議申立ての精神を失った新聞(メディア)は、早晩消え去るに違いない。要するに権力に屈しない記者からしか面白い新聞は生まれない」と書いた

 権力とは国家のみにあらず。企業や団体、社会の中に大小存在し、同様にそこには弱者もいる。人は忘れていく生き物。だからこそ、権力を持つ者が忘れさせたいことを記者は記録し続け、未来へとつなぐ必要がある

 「今を知り 過去を学んで 明日を読む」。新聞週間の代表標語とともに、改めて新聞の役割を考えたい。

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