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クレディスイス、国債市場特別参加者資格返上🇯🇵個人投資家への影響は?

スイスの金融機関であるクレディ・スイス証券が、日本国債の入札に特別な条件で参加できる資格を返上しました。

この資格は「国債市場特別参加者」と呼ばれ、財務省から指定された金融機関にのみ与えられます。

国債市場特別参加者資格とは

国債市場特別参加者は、国債の安定的な消化や市場の流動性の維持などの責任を負う一方、財務省との意見交換や特別な入札への参加などの特典を受けることができます。

クレディ・スイス証券は、アジア太平洋地域における国債のトレーディング機能をオーストラリアに集約することに伴い、この資格を返上することを決めました。これにより、国債市場特別参加者の数は20社から19社に減りました。

なぜクレディスイスは去ったのか

クレディ・スイス証券は、国債市場特別参加者として、国債入札において一定の応札・落札責任を負っていました。しかし、国債市場の流動性が高く、入札の競争率が低いことから、この責任を果たすことが困難になっていたと考えられます。

また、国債市場特別参加者の特典も、国債の利回りが低下していることや、財務省が金利スワップ取引を実施しないことなどにより、魅力が低くなっていたと推測できます。

このように、国債市場特別参加者の資格を維持するメリットが減少したことが、クレディ・スイス証券の返上の背景にあると考えられます。

国債市場特別参加者資格の今後

クレディ・スイス証券の返上により、国債市場特別参加者の数は19社になりましたが、これは欧米主要国のプライマリー・ディーラー制度における参加者数と比べても多い方です。

例えば、米国では24社、英国では14社、ドイツでは8社、フランスでは15社がプライマリー・ディーラーとして指定されています。

したがって、クレディ・スイス証券の返上が、国債市場の安定性や流動性に大きな影響を与えるとは考えにくいです。むしろ、国債市場特別参加者の数を適正化することで、各社の応札・落札責任の負担を軽減し、市場の効率性を高めることができるという見方もあります。

個人投資家への影響

個人投資家にとって、クレディ・スイス証券の返上は、直接的な影響は少ないと思われます。なぜなら、国債市場特別参加者は、主に国債の発行当局や機関投資家との取引を行うことが多く、個人投資家との取引は比較的少ないからです。

しかし、間接的には、国債市場特別参加者の変動が、国債の需給バランスや金利水準に影響を与える可能性があります。

例えば、国債市場特別参加者の数が減少することで、国債の入札における競争率が上昇し、国債の利回りが低下するというシナリオも考えられます。

このように、国債市場特別参加者の動向は、国債市場の状況を把握する上での一つの指標となると言えます。

過去の事例

過去の事例としては、2019年には、ゴールドマン・サックス証券が国債市場特別参加者の資格を返上しました。これは、同社が国債の落札責任を果たせなかったことが理由とされています。

また、2017年には、三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券が、国債市場特別参加者の資格を統合しました。これは、両社が同じグループに属することから、国債市場における役割分担を明確化することが目的とされています。

このように、国債市場特別参加者の資格の返上や統合は、過去にも何度か発生しており、国債市場の環境変化や各社の戦略に応じて行われていると言えます。

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