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クリニックで受診する場合とOTCで治す場合の比較、どっちがお得?(花粉症編)~薬局とお金の話⑲

調剤薬局で薬をもらう場合と市販薬(OTC)を買う場合は、どちらが金銭面でお得か?どのようなメリットとデメリットがあるか?について薬剤師でありファイナンシャルプランナーでもあるgorisanが比較検討させていただきます。

さて今回のテーマである「花粉症の薬」ですが、基本的に調剤薬局で薬をもらったほうが圧倒的にお得です。これは花粉症を市販薬だけで短期間で完治させることが不可能に近く、花粉症の薬のコストが比較的高いからという理由です。

市販されている花粉症の薬は、花粉症の症状を抑える抗ヒスタミン薬がほとんどであり、アレグラやアレジオンなど処方薬と同成分のスイッチOTCが有名です。これらの薬剤により花粉症の症状を抑えるのが治療の基本戦略となります。

そのため花粉症のシーズン中、年間数ヶ月は薬を飲み続ける必要がありますが、そうなるとどうしても市販薬では調剤薬局の数倍はコストがかかってくるので、基本的には受診を優先したほうがいいと思います。

※効果効能が同一であり、費用比較のしやすい代表的なスイッチOTC、アレグラFX(有効成分フェキソフェナジン)を用いて、比較をさせて頂きます。

・アレグラFX 28錠 希望小売価格2075円(税込)

<クリニックを受診する場合>

クリニックを受診することによるメリットは多く、治療費用を抑えられること、症状が重い場合は点鼻薬など、鼻炎を改善するための医薬品も処方してもらえることなどがあります。

保険適応の場合は3割の自己負担で済み、高齢者であれば1割の自己負担です。ただし薬価だけでなく、受診料や検査料、薬局での調剤料が別途必要になります。

初診料(2280円)+処方箋料(680円)+別途検査処置費用

※2回目以降は、再診料(730円)+処方箋料(680円)+別途検査処置費

調剤基本料1(420円)+地域支援体制加算(380円)+後発医薬品体制加算2(220円)+薬学管理料(初回は570円、2回目以降は手帳持参で430円)+調剤料(100円)+薬剤料

※調剤基本料や地域支援体制加算、後発医薬品体制加算は薬局ごとに異なりますが、今回は一般的な調剤薬局に多い上記の算定項目で計算させて頂きました。

・アレグラ錠60mg 1錠46.6円(24錠では1118.4円)

※ジェネリック医薬品なら15.1円(24錠では362.4円)

ただし、病院までの往復と待ち時間、薬局での待ち時間を考えると、数時間はかかります。病院によっては予約が必要なので、予定を合わせる必要も出てきます。この時間が最大のデメリットです。

<ドラッグストアや通販で購入する場合>

ドラッグストアや通販で購入する手軽さが最大のメリットです。ドラッグストアでも薬剤師または登録販売者に相談すれば適切な医薬品を選ぶことができます。

継続して市販薬を使用するのは費用面でデメリットですが、初期治療に市販薬を使用するという方法は効果的です。花粉症によって起こるアレルギー性鼻炎は放置すればするほど炎症がひどくなり、症状が悪化していく傾向があります。

そのため症状が悪化する前に花粉症によるアレルギーを抑えることで、シーズン中の症状を軽く抑えることが理論的には可能です。症状が出始めたらすぐに市販薬で花粉症治療をスタートしていたら、症状が軽く済んだのにと薬剤師としては思います。

<実際に費用を比較してみよう!>

花粉症の治療は毎年シーズン中続ける必要があるので、3ヶ月間服用を続けると仮定します。OTCのアレグラFXは1箱24錠入りであり1日2回1錠ずつ服用するので、3ヶ月で約6箱必要になります。

クリニックを受診する場合は、この間3回は最低でも受診することになるので、初診料+再診料ですね。薬局は薬学管理料を初回時570円、再診時430円で計算すると以下のようになります。※今回は3割負担で計算しています。

(クリニックを受診する場合)

初診料(2280円)+処方箋料(680円)+再診料(730円×2)+処方箋料(680円×2)+調剤基本料1(420円×3)+地域支援体制加算(380円×3)+後発医薬品体制加算2(220円×3)+薬学管理料(570円、2回目以降は手帳持参で430円×2)+調剤料(770円×3)+薬剤料(46.6円×144錠)

19290円(四捨五入で計算)

3割負担であれば5800円くらいです。実際には処置が検査が加わる場合もありますので、あくまでも参考値として考えてください。ジェネリック医薬品を利用すればさらに安くなります。

(ドラッグストアや通販の場合)

・アレグラFX 28錠 希望小売価格2075円(税込)

2075円×6= 12450円

ドラッグストアや通販では希望小売価格の1〜3割引くらいで売られていることが多いので、実際には11000円くらいだと思います。

症状が軽い場合や治療期間が短いのであれば、市販薬でも対応可能なので約2〜3倍の費用負担で治療できますが、症状が重い場合や治療期間が長い場合は医療機関を受診することをおすすめします。

<この記事を書いた人>
gorisan
地方の小規模チェーン調剤薬局の薬剤師。薬剤師歴12年。3児の父。認定実務実習指導薬剤師。FP技能士3級。