世話千字文絵抄(作者、成立年不詳)、1826，河内屋木兵衛他発兌、30丁(60頁)。(本板は甘泉堂でない)
○位置づけ。寺子屋教科書(国語科、四文字熟語、漢詩、生活用語)(甘泉堂選定寺子必読書27冊中の13)
○表紙含み全64頁のPDFファイル。
○内容。周興嗣の千字文(5〜6世紀)に倣い、250句1000字の漢詩に漢字千種を読み込んだ漢字・教訓集。頭書等に説明文付き。全部覚えると強靭な生活力がつくはず。

元の周興嗣・千字文の森羅万象に対し、本書は良いも悪いも人生と社会の実相を教える。人生浮沈み物語風に人生で出会う事案を四文字熟語で表わした教訓書。概略は:
「自他幸甚⇢商売繁盛⇢庭前桜桃⇢次第酔狂⇢已及刃傷⇢訴訟通達⇢密談賄賂⇢刑罰赦免⇢諫言逆耳⇢博奕勝負⇢零落衰微⇢端的後悔⇢勉励稽古⇢因茲仕官→忝賜俸禄⇢仁政恵民⇢千穐万歳」。

元の千字文のパロディ風。寺子屋教科書の中で一番面白い。
本文の字は行書体なので読める。訓点と説明文はくずし字だから、当時の生徒とは逆に現代人はくずし字の学習に使える。

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