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薬の正しい使い方①~副作用の出やすい薬の飲み方は?~

どうも薬剤師の川島敦です。

何度かにわけて『薬の正しい使い方』について書いていきます。

この文章を読んでいただくと『なぜ薬を指示通りに飲ないといけないのか』を理解してもらえると思います。

逆に言えば『指示通りに飲まない方が良い時』の理解に繋がります。

「なに言ってるんだ?薬は指示通り飲むものだし、指示通り飲んでいるよ」という素直な方は、ここから先は読まなくても大丈夫かもしれません。

「薬を指示通り飲まない方が良い時?どういうこと?」
と思った方は、是非最後までお付き合いください。

では早速本題に入ろうと思いますが、その前に皆さんに一つ質問です。

『あなたは、薬を医師・薬剤師の指示通り飲みますか?』

「はい」、「いいえ」、「ケースバイケース」など、答えは様々だと思います。

「毎日飲む薬を、時々忘れちゃうよ」という人もいるかもしれません。

また「ちゃんと飲んで調子が良くなったら、自己判断で止める」という人も一定数いると思います。

では、何が正解でしょうか?

答えは・・・

どれも正解でどれも不正解です。

しいて言えば「ケースバイケース」が正解でしょうか。

いや、ちょっと待て。

そんなこと言い出したら世の中のほとんどが「ケースバイケース」になるじゃないか?

と思った方へ。

たしかにケースバイケース、という言葉は「誤魔化す」雰囲気をまとっていますよね。

しかし薬の使い方は最終的に「ケースバイケース」にいきつきます。

人の体はそれぞれ違うから・・・。

え?終わり?

いえいえ、これで終わらないので安心してください。

「ケースバイケース」を論理的に見極めるのが薬剤師

ということを説明していきますね。

この先を読むと、薬の正しい使い方の理解に繋がるので、ぜひ最後までお付き合いください。

では、やっと本題です。

 『副作用が出やすい飲み方?』

そもそも薬をきちんと飲まないといけないのは何故でしょうか?

一言でまとめると『薬の効果をきちんと出すため』です。

もう少し突っ込むと、薬を指示通り飲むのは

「薬の効果を最大限だして」「薬の副作用を極力抑える」

ためです。

『2倍飲んだら2倍効くの?』

ここまで見ていただいて「薬の効果をきちんと出すために指示通り飲むのは当たり前のことじゃないの?」と思われる方も多いと思います。

では「もしも指示通り飲まなかったらどうなるのか?」という質問には、なんと答えますか?

例えば『頭が痛い』という症状が出たとします。
その時に『痛み止め』を指示通り飲んで、痛みが治まったとします。

その後、同じような症状が出た時に

「そうだ!効き目をもっと早く強く出したいから2倍飲もう!」

と思って実際に飲んだらどうなるでしょうか?
「効果も副作用も変わらない?」
「効果は2倍になるけど副作用も2倍になる?」
「効果はそのままで副作用が2倍になる?」

薬によって違いますが

「効果はあまり変わらないが副作用の危険性は2倍以上になる」

そんな薬が多いです。

薬の面白い(人体的にはちっとも面白くないですが)ところは「効果はあまり変わらず」「副作用だけはしっかり出てくる可能性がある」というところです。

薬は飲めば飲むほど効く、というイメージがあるかもしれませんが、実は一定量を超えると効き目は頭打ちになってきます。
2倍飲んでも効果は同じだった、という治験の結果、適量が決められる薬もあるくらいです。

『薬を指示通り飲む』ことで、きちんとした効果がでることが、わかってもらえたと思います。

『半分の量なら効果は半分?』

じゃあ逆に「薬の量を半分」にしたらどうなるでしょうか?

答えは・・・。
「効果は半分も出ないくせに、副作用だけはしっかり出る可能性がある」のが薬の厄介なところです。
(もちろん半分の量では「効果はほとんど出ないし、副作用もほとんど出ない」という薬もありますが。)

食べ物だと単純なんですけどね。

・食事の量を2倍にしたら摂取カロリーは2倍になって太りやすい。

⇒食事量を増やせば増やしただけ摂取カロリーは増えてさらに太りやすい。

・食事の量を半分にしたら摂取カロリーは半分になって痩せやすい。

⇒食事の量を減らせば減らしただけ摂取カロリーは減ってさらに痩せやすい。

(実際にはこんな単純にはいきませんが。人体の神秘ですね・・・。

話がそれましたので戻します。)

イメージで言うと
【薬の効果は】
・量が少ない⇒効かない(治らない)
・量が適量(指示通り)⇒きちんと効く
・量が多い⇒効く(適量と同等)

【副作用のリスク】
・量が少ない⇒リスク少ない(適量と同等、もしくは低い)
・量が適量(指示通り)⇒リスク少ない
・量が多い⇒リスクがハネ上がる可能性あり(薬の量を2倍にしたらリスクが5倍という薬もある)

つまり、効果をしっかり出しながら副作用がでにくい、という絶妙な量が『医薬品の適量(指示通り)』になります。

なので「薬は指示通り飲む」というのが大原則になります。

当たり前ですが、指示通りの量、には理由があるわけです。

次回は、

薬の副作用が出ても飲み続けた方が良い時?について書こうと思います。

良かったらまた見に来てください。

薬剤師の川島敦でした。

※この文章は、あくまで薬に対しての大きな概念・イメージをもっていただくためのものです。
※個々の医薬品の特徴と異なる場合がございます。
※処方された薬は医師・薬剤師の指示通り、市販薬(OTC)の説明書通りに飲んでいただくことが大原則です。

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