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神宮大会で活躍が光った高校生レポート

どうも、やまけん(Twitter:@yam_ak_en)です。11月15日から11月20日まで、明治神宮野球場で第50回記念明治神宮野球大会が行われました。この大会は高校の部と大学の部に分かれており、高校の部では秋の各地区大会を優勝してきた高校が一堂に会し、翌春の選抜高校野球大会を当確としているチーム同士の対決を見ることができます。毎年のように翌年のドラフトで上位指名される選手が出場する大会でもあり、この大会で活躍することで評価を上げるケースも多々あります。昨年の大会では奥川恭伸(星稜)、石川昂弥(東邦)、森敬斗(桐蔭学園)と今年のドラフトで1位指名を受けた3人も出場していました。
今回のnoteでは、神宮大会を通して個人的に活躍が光った選手をまとめていこうと思います。上述の通りこの大会に出場する選手は来春の選抜高校野球にも出場するため、予習として読んでくださると幸いです。

投手

高橋宏斗(中京大中京2年・右投) 183cm/79kg
大会前から注目を集めていた投手ですが、 全国の舞台でポテンシャルの高さを遺憾無く発揮してくれました。
常時130km/h台後半~140km/h台中盤、要所でギアを入れて150km/hに迫る威力のあるストレートに加え、120km/h台後半で鋭く変化するスライダー、スプリットで奪三振ショーを繰り広げました。この変化球がより高速化してくると高校生にとっては手がつけられない領域に入り、ドラフト1位も見えてきます。試合展開や相手の打順などによりギアの入れ替えができるクレバーさも持ち合わせており、クイックやフィールディングもそつなくこなします。また、今大会中に連投を経験できたことは、今後出場する春の甲子園大会や夏の大会に向けて非常に大きかったように思います。
今回の活躍で本格的に全国から注目の存在となり、春の甲子園では出場校全てが「打倒・高橋」で挑んでくるでしょう。その中で、より進化した姿を甲子園のマウンド上で見せられるか、今から楽しみです。

下慎之介(健大高崎2年・左投) 182cm/75kg
大会ナンバーワン右腕が高橋であるならば、ナンバーワン左腕はこの下ではないかと思います。
最速こそ140km/h手前といったところですが、スライダー、カーブ、チェンジアップ等を巧みに使って打者を手玉にとる技巧派左腕。制球も高校生の中では非常に安定しており、自らの四死球から自滅する姿は容易には想像できません。
この冬を超えてボールの速さ・強さが増してくればプロ入りの可能性は高くなるでしょう。そうでなくとも、大学や社会人などを経て長く活躍できそうな好投手という印象を受けました。

片山楽生(白樺学園2年・右投) 177cm/74kg
エースで4番の大黒柱。神宮で最速137km/hを計測した直球は表示以上の速さを感じ、質の良さが伺い知れます。インコースに臆することなく投げきれる制球力とメンタルも高校生トップクラス。
ですが、自分がそれ以上に評価したいのは打撃です。左打席からしなやかさと強さを兼ね備えたスイングで広角に打球を運ぶ姿は、2年前の神宮大会に出場した際の中央学院・大谷拓海投手(現セガサミー外野手)を彷彿とさせます。春の甲子園では投打両面での成長を期待したい選手です。

永野司(倉敷商業1年・左投) 172cm/57kg
1年生ながら伝統校・倉敷商業のエースナンバーを背負う左腕。体格は数字にも表れているように未完成ですが、左のスリークォーターから130km/h台中盤~後半を計測します。スライダーやツーシーム、チェンジアップを用いて巧みに打者を手玉にとる投球は1年生離れしたものを感じました。
体力がついてボールに強さが生まれればストライクゾーンで勝負しやすくなり、より球数を減らすことも可能になるでしょう。倉敷商業には他にも投手が複数いるため、くれぐれも投げすぎには気をつけてほしいです。

捕手

吉田健吾(国士舘2年・右打) 179cm/83kg
バランスの整った好捕手。キャッチングの形が綺麗で、高校生ながらフレーミングも試みる高い意識の持ち主です。イニング間の送球も捕ってから早く、ベース上にという2点を意識しているのが伝わり、タイムも2秒を切ってきます。状況に応じて細かくポジショニング指示を内外野に出すなど抜け目なく、都大会の準決勝・決勝での完封勝利も十分頷けます。
6番を打っている打撃もスイングの形は良く、クリーンアップが残した走者を返す打撃に期待がかかります。
高校から直接プロに行くタイプではないかもしれませんが、大学や社会人など、各ステージで注目される素養はあると感じました。

戸丸秦吾(健大高崎2年・右打) 174cm/73kg
強肩を活かしたスローイングが魅力の捕手。地肩の強さもさることながらフットワークが良く、決して肩任せのスローイングではないと見受けられます。
フレーミングの意識もありますが、あまりに意識しすぎて大切な捕球が疎かになる場面もあり、この点は春の甲子園までに改善を期待したいです。
7,8番を打つ打撃も対応力に課題はあるもののスイング自体は強く、ツボにハマった時には一発も期待できます。

印出太一(中京大中京2年・右打) 183cm/79kg
4番を打つ打撃型捕手。インコースの捌き方は高校トップクラスの技術を持ちます。まだ粗さが残り芯で捉えきれない場面もありますが、木製バットとなる上の世界で勝負するには芯でコンタクトすることを意識してほしいです。スイングの力強さは既に持ち合わせているので、芯で捉える確率を増せば一気に本塁打を量産できる雰囲気を感じます。
打者として魅力的ではあるものの、捕手としては強肩であること以外は特に惹かれる点を感じなかったのが気がかりです。上述の高橋や140キロ超サウスポーの松島元希投手などポテンシャルの高い投手を率いて勝ち上がりましたが、個人的には彼らより実力の劣るであろう3番手以降の投手をどうリードするかが気になりました。今後は「打者・印出」の評価だけでなく、「捕手・印出」の評価も上げていってほしいと思います。

内山壮真(星稜2年・右打) 172cm/72kg
ご存知の方も多いかと思いますが、旧チームでショートとして出場していた選手です。引退した先輩・山瀬慎之助捕手(読売ドラ5)の後を継ぎ中学時代に守っていた捕手に再コンバート。ショートでも度々披露していた強肩は捕手でも健在で、イニング間の二塁送球では安定して2秒を切り、試合の中でも積極的にピックオフでランナーを牽制する姿勢は評価できます。
しかしながら、現状捕手としてのブロッキングやキャッチングといった守備に課題が残ります。特にランナーを三塁に置いた状況で2度の後逸があり、今後投手に信頼される捕手となるためには何としてもクリアしてほしい課題です。自慢の強肩でランナーを威嚇する姿勢は他の選手には容易に真似できるものではなく、また打撃も良いため、この課題をクリアできれば世代ナンバーワン捕手に躍り出る可能性は十分にあります。春に捕手として成長した姿を期待しています。

内野手

黒澤孟朗(国士舘2年・左打) 168cm/72kg 一塁手
昨年も神宮大会に出場して4番を打っていた好打者。昨年から経験を積んでいることもあってか、国士舘打線の中では1人格の違う印象をスイングから感じ取りました。
ホームランを量産するタイプではないものの、確実に相手投手のボールを自分のポイントで捉えてきます。打席での集中力も感じ、投手からすると勝負を避けたくなる打者でしょう。
ポジションが一塁で身体のサイズも小柄なため目立ちにくく、ドラフト戦線で名前が挙がるタイプとは違いますが、センバツでは是非彼の打撃に期待してみてください。

河西陽路(天理2年・左打) 175cm/85kg 一塁手
大会新記録となる1試合3本塁打を放ち、一気に名を広めた天理のスラッガー。残念ながら自分は都合が悪く当該試合は見ることができませんでしたが、例えマグレで1本打つことができても次打席以降警戒される中で2本3本と打つことは容易ではありませんし、彼の実力の高さを証明したと言えるでしょう。3本を広角に打ち分けた点もなかなか真似できることではありません。
選抜では打順も上がるかもしれませんし、他校からは要警戒打者の1人に位置付けられるでしょう。その中でもうひと暴れできるかが楽しみです。

中嶌優(中京大中京2年・左打) 170cm/67kg 二塁手
タレント軍団・中京大中京の中の隠れたタレント。高橋や印出らと比べると目に見えて凄いものは無いかもしれませんし、ドラフト候補に名前が挙がるタイプでもないかもしれませんが、試合を見ていると2番セカンドというチームのキーポジションを任されているだけの理由が攻守にわたって感じ取れます。
相手投手にしっかりと合わせ、チャンスを作ったり拡げられる打撃はまさに理想の2番打者という印象で、バントなど小技もこなします。守備でも豊富なステップワークが持ち味で、場面や状況に応じて細やかな声かけのできる選手です。神宮大会優勝の影の立役者であり、センバツでも鍵を握るのは彼かもしれません。

下林源太(天理2年・左打) 168cm/70kg 三塁手
天理打線を引っ張るリードオフマン。初回の第1打席から強いスイングで投手と対峙し、その中でしっかりと相手投手にコンタクトしていく対応力の高さが持ち味です。相手投手からすると一番大切な初回の先頭打者に彼がいることのプレッシャーは計り知れないものでしょう。
神宮大会ではあまり感じませんでしたが、打席でのプレッシャーに加えて塁上でのプレッシャーも与えられるようになるとより怖い存在になるでしょう。

中山礼都(中京大中京2年・左打) 180cm/78kg 遊撃手
タレント軍団・中京大中京の3番ショート。高校生の中ではトップクラスの強いスイングで外野に打球を運びます。強くスイングする意識は素晴らしいのですが、現状では頭(目線)がブレるためポイントで捉えきれていない印象を受けます。強振の意識は継続したまま確実性が向上していくと打者としてより凄みを増すのではないかと思います。
遊撃守備では、強肩を活かして三遊間の深い打球などもアウトを取りにいく姿勢が見受けられ、その点は評価できます。一方で、打球へ入るステップワークには改善の余地があります。一歩一歩のステップを小刻みにすることでより多くの打球に対応できる守備力を身につけられるのではないかと思います。

入江大樹(仙台育英2年・右打) 185cm/83kg 遊撃手
仙台育英の大型ショートストップ。大柄な体型でショートを守る点や高めのボールを引っ張ってレフトスタンドに運ぶ姿は、坂本勇人のような雰囲気を感じます。これだけパワフルなスイングができるショートストップは貴重でスター性のようなものを強く感じます。是非ともこのままショートで大きく育ってほしい選手です。
そのためには、ステップワークやスローイングの形を増やせるかどうかが鍵となりそうです。現状はスローイングも地肩任せの印象ですが、スナップスローやクイックスローができるようになると内野手としてより可能性を広げられると思います。元々は外野手なども務めていた選手なので、今後ショートとして経験を積んでいくなかで巧さを磨いてほしいと思います。

橋本脩生(健大高崎2年・左打) 172cm/61kg 遊撃手
飛び抜けて目立つものはなかったかもしれませんが、バランスの整った好ショートでした。三遊間の打球で無理に正面に回らずに逆シングルでの捕球を試みる姿勢など、プレーの細かいところに意識とセンスの高さを感じました。
打撃もクセのない良いスイングをしており、脚力も十分備えており上位打線に割って入ってもおかしくないように感じました。一冬超えて甲子園で躍動する姿を楽しみにしています。

杉下海生(天理1年・左打) 167cm/64kg 遊撃手
1年生ながら遊撃手としては入江や中山以上に魅力を感じました。1歩目の早さに軽快なステップ、柔軟なハンドリングに安定したスローイングは現時点でも全国屈指と言えるでしょう。中学時代に日本代表に選出されたと聞いていますが、それも頷けます。
打撃も強打者揃いの天理では下位打線に甘んじていますがミートセンスには確かなものを感じます。この先パワーがついてくれば上位打線を任される可能性も十分あるでしょう。

米崎薫暉(明徳義塾1年・右打) 170cm/70kg 遊撃手
杉下同様、1年生にして全国トップクラスの高い守備力を誇るショートストップ。今年の夏の甲子園も経験しており、自慢の高い守備力に加えて各ポジションへの声かけやポジショニングの指示なども徹底されています。
彼も下位打線を打っているものの、第1打席から相手投手にしっかりとコンタクトできる対応力の高さを備えており、杉下同様パワーがついてきたらチームの核となる打順を任されそうです。是非2人でこの世代のショートストップを引っ張っていってほしいです。

外野手

西村友哉(中京大中京2年・右打) 174cm/75kg 中堅手
タレント軍団・中京大中京のリードオフマン。積極果敢な打撃で初回から相手投手に襲いかかる姿勢は天理・下林同様に恐怖を感じます。まさに彼が打つと打線に勢いが生まれる、そんな1番打者です。
足も速く、攻守の大事な局面で随所に光ります。センバツでもトップバッターとして中京打線に火をつける活躍を期待したい選手です。

瀬千皓(天理1年・右打) 178cm/76kg 左翼手
強力天理打線の中軸を務めた、メガネがトレードマークの1年生スラッガー。迷いなく振りに行く思い切りの良さと相手投手の失投を逃さず一発で仕留める集中力の高さがウリで、仙台育英戦であわやサイクルヒットの3安打5打点、中京大中京戦では前の試合で好投した高橋の甘く入った変化球を逃さずにホームランと、2試合で強烈なインパクトを残しました。
センバツでよりマークが強くなる中で同じ活躍ができるか非常に楽しみです。

おわりに

自分としても、この時期に全国各地の有力高校生を見ることができて充実の神宮大会となりました。一応、各校から1人は選ぼうとしたのですが、九州地区代表の明豊高校のみ観戦する前に敗退してしまったため、直接見た上で紹介することができなかったのが心残りです。楽しみにされていた皆様、並びに明豊高校関係者の皆様、大変申し訳ございませんでした…。

大会前は従来の年よりも注目候補が少ない印象を受けましたが、始まってみると毎日高校生の活躍を見ることができました。実は他にも紹介したかった選手はたくさんいたのですが、残りは春のセンバツへのお楽しみということにさせてください🤗

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