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「すべての悩みは対人関係」だとするアドラー心理学的に考えれば、不登校の要因は誰かとの関係が要因です。

 3月10日の朝日新聞デジタルに、「不登校の主要因は「本人の無気力」より「先生との関係」 民間が調査」という記事が出ています。

 文科省が毎年実施している「児童生徒の問題行動・不登校調査」に違和感を感じた長野県のフリースクールの運営者からなる「信州居場所・フリースクール運営者交流会」が独自の調査によって得られた回答は、文科省調査とは大きく異なる結果となり、主要因は「本人の無気力」より「先生との関係」だという調査結果となったという話です。

 そもそも「「教職員との関係をめぐる問題」が原因かと尋ねる質問項目があるが、調査を担う教職員が自らその項目を選ぶだろうかという疑問」があったとのことですが、確かに不登校の子どもに向かって「来れないのは、先生が悪い?」って、教員は聞かないですよね。仮に学校に問題があると考えたとしても、友人関係が原因だろうと想像するだろうと思われますが、教員はたぶんゲームのやりすぎで昼夜逆転したからだとか、本人の無気力が原因だとかが要因だと考えるのが普通だろうと思います。

 「すべての悩みは対人関係の悩み」だとするアドラー心理学的に考えると(以下、十分に理解したうえで語っているわけではないので、おかしな部分があるかもしれません。その際にはご教示ください)、不登校になったのは、本人が不登校になることを選択した結果であり、不登校になることが本人にとって「善」であり、そのままでいることを本人が決心しているからであり、一見「本人の無気力」が要因のように見えても、その要因は「対人関係」に帰結するのです。そのことから考えると、今回の調査結果として、主要因が「先生との関係」だというのは、納得の結果です。
 
 「先生との関係」が悪いために、それを避ける目的で不登校を選択していると考えるのが、(やや省略していますが)アドラー心理学的な考え方です。
 学校や教員、親はおそらく不登校であることを解決しようとするでしょうが、その要因の本質をきちんと把握しなければ問題は解決しませんし、そもそも不登校であることが本人にとって良い状態であり、解決する問題ではないので、当然学校には行きません。
 文科省がいくら調査をしても、不登校の本当の要因をきちんと調査できていないのですから、その十分な対策ができていないのも当然でしょう。

 そもそも、何でこのような調査を教職員がするのでしょう?調査を依頼できる対象などいくらでもあるはずで、今回のようなフリースクールの経営者集団ならば、まさに不登校の子どもを見ているのですから、調査を依頼する相手として良いと思われます。このような調査を教職員にさせるから、教員の残業が減らないのですし、学校を気にして正しい回答が得られない要因なんだと思います。
 これを良い例として、文科省は「児童生徒の問題行動・不登校調査」を実施依頼する相手を変えるべきでしょう。

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