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語学教育は、音声にふれる機会を増やすことが重要ってことですね。

 2月3日の朝日新聞デジタルに、「何歳でも習得可能? 第3、第4言語を学ぶ脳の部位は、母語と同じ」という記事が出ています。ネタ元は、東大のこちらのPRESS RELEASESです(「多言語話者になるための脳科学的条件――新たな言語の文法習得を司る脳部位を特定」)。

 この研究は、Scientific Reports (Nature Portfolio Journal)で、今年の1月2日に公開された”Enhanced activations in the dorsal inferior frontal gyrus specifying the who, when, and what for successful building of sentence structures in a new language”という論文に詳細が書かれていますが、簡単に言えば、「新たな言語習得を司る脳部位は、これまで母語や第2言語の文法処理に関わる「文法中枢」として研究チームが特定してきた「左下前頭回の背側部」と完全に一致」していて、2021年3月に"Enhanced activations in syntax-related regions for multilinguals while acquiring a new language," Scientific Reports (Nature Portfolio Journal)として発表した共同研究の内容(三言語以上の習得経験を持つ多言語群の方が、二言語群より新たな言語の獲得に有利であり、多言語の音声に触れながら自然に習得する自然習得法が重要)を前進させたものだということです。

 つまり、多言語の環境の中で、英語とそれ以外の言語を同時に習得することは相乗効果があり、文字による学習ではなく、リスニングを中心とした学習の方がより効果的ということです。

 この研究で多言語環境下での多言語学習の効果は分かりましたが、島国でほぼ日本語のみを話す人がほとんどである日本国内で、ヨーロッパ諸国やアフリカの多民族国家のような「多言語の環境」、つまりいろいろな国の言葉が飛び交っている日常なんてほとんどあり得ないですし、そのような場もほとんどありません。
 今後日本人の人口が減っていく中で、外国人が日本にやってくるようになれば、自然と「多言語の環境」が出来上がってくるので、そうなれば日本人も英語だけに限らず、多言語を話すことが可能になってくることでしょうが、現状において今回の研究の成果を活かした語学教育を行うというのは、かなり無理があります。特に英語を習い始める小学校で、同時に他の言語も習い始める、多言語環境を構築するというのは、ごく一部の地域では可能かもしれませんが、全国では不可能です。

 しかし、音声にふれることを重視する勉強方法は応用できるでしょう。改めて考えれば、昔から好きな洋楽ならば、初めはよくわからなくても、何度も聞きますから自然と発音もなんとなく覚えていくということがありますし、そのような語学学習の教材もありますよね。ただそれだとBGM的に聞き流してしまう可能性が高いので、少しでも毎日行い、文章を英語のまま理解しながら聞くということを意識して行うのが良いのではないでしょうか。

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