【SS】峠を前に

峠には決別のための明るい憂愁が流れている

今、その時である

差し出された手を頼りに
開かれた道を進むような
与えられたものをただ受け取るだけの
そんな旅は
もう終わりにしよう

義肢はうすぐ
まるで自分の身体のようだと
私を嘲笑う

生きろ

己にかけた呪いから
五体満足を
取り返すのだ


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