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世界一周読書(🇫🇷フランス編❷)「ペスト」アルベール・カミュ

Bonjour(ボンジュール)、シュウです。
世界一周読書の旅をしてます!

現在はフランス編🇫🇷です!

前回11月6日から始まって、2週間で3〜5冊くらい読めたらと思ってましたが、僕の読みが甘く、ようやく2冊目が読み終わりました。

今回読んだのはアルベール・カミュが書いた長編小説の「ペスト」です。

いゃ〜長かった!
あとがきまで入れると476ページ。
久し振りの長編だったので、半分くらいまでがなかなか大変でしたが、後半は様々な登場人物に憑依しながら読めたので、前半よりはスラスラ読めました。

さて、今回も本題に入る前にフランスの情報から始めて、本編についての記事を書いていきます。

フランス領アルジェリア出身の著者

今回の著者のカミュはフランス領アルジェリアの出身です。皆さんはアルジェリア🇩🇿ってどんな国か知ってますか?

恥ずかしながら僕は国の名前を聞いたくらいで、場所も何となくしか知りませんでしたが、フランスからみなみに地中海を超えた辺りにある人口約4300万人の国です。

アルジェリア🇩🇿の位置

少し調べると、フランスとアルジェリアは歴史的にかなり難しい関係にある事を知りました。

両国の関係について少しまとめました。

フランスとアルジェリアの関係は、歴史的にも現在においても複雑で緊張したもので、フランスは1830年にアルジェリアを植民地化し、アルジェリアは1954年から1962年までの苛烈な独立戦争でフランスからの独立を勝ち取りました。

この戦争では、アルジェリア側は約100万人の犠牲者を出し、フランス側は人権侵害を行いました 。

独立後も、フランスはアルジェリアの過去に対する反省や謝罪をほとんど示さなかったため、アルジェリアはフランスに対する不信感や憎悪を抱き続けました。

また、フランスには約600万人のアルジェリア系の移民や子孫が暮らしていますが、彼らは社会的にも経済的にも差別や疎外を受けており、フランスの極右勢力からの排斥も受けています。

最近では、フランスのマクロン大統領が2021年9月30日に、アルジェリアの公式史観は事実に基づかないものであると批判したことが、両国の関係を悪化させました 。

フランスとアルジェリアの関係は、我々日本人にとっては馴染みがありませんが、かなり困難な問題が多々あるようです。

そんな国の背景をイメージしながら、今回の「ペスト」を読んでみました。で、その前に。

ペスト(菌)とは?

ペストって何となく耳にしたことはありますが、簡単に言えば、ペスト(Plague)とは ペスト菌による感染症で、感染したノミに咬まれることによって人へうつり、ノミに咬まれた場所に関係したリンパ節に感染が起こり、腫れと痛みをきたす症状です。

高熱や皮膚に出血をともなう発疹がみられ、治療しないと高率で死亡します。肺への感染が起こると、発熱、咳、痰など肺炎の症状が出現します。人への感染力が強く、放置すると100%死亡します。

ヨーロッパで大流行が繰り返され、皮膚が黒くなって亡くなるため、「黒死病」として恐れられてきました。 中世ヨーロッパを襲い、全ヨーロッパの人口の3分の1が犠牲になったとも言われています。

現代では抗生物質のおかげで治療できる病気ですが、地域での流行がみられる国があり、毎年2,000人程度の患者が報告されています。

小説『ペスト』を読んで

カミュは、小説『異邦人』などで「不条理」の哲学を打ち出して注目され、戦後は戦闘的なジャーナリストとして活躍しました。1957年には、ノーベル文学賞も受賞しました。

『ペスト』は、アルジェリアのオランという港町でペストが発生し、市民たちが隔離されるという架空の物語です。

因みに主な登場人物は以下の6名
・リウー 医師
・ランベール 新聞記者
・タルー 旅行者
・グラン 下級役人
・コタール 密売人
・パヌルー 神父

カミュは、ペストという災厄に直面した人々の姿を通して、人間の生と死、自由と抵抗、倫理と正義、愛と友情などの普遍的なテーマを探求しています。

この本で伝えたいフレーズ

カミュは、人間は理性的な存在でありながら、理性に反する不条理な世界に生きていると考えました。しかし、その不条理に屈するのではなく、それに対して反抗することで、人間は自分の存在意義を見出すことができると主張しました。

そして、ペストに苦しむ人々の中にも、医師やジャーナリストや聖職者など、自分の信念や使命に従って行動する人々を描きました。彼らは、ペストという運命に抗って、人間の尊厳や連帯を守ろうとしました。

人間は、自分の運命に対して何かをすることができるということを、私は信じているんだ

ペスト カミュ 新潮文庫

われわれは、この世界の中で、われわれの思うように生きることができない。だが、われわれの思うように生きることができないということを、われわれは知っている。そして、この世界は、われわれの思うようにならない。だが、われわれは、この世界を、われわれの思うようにすることができる

ペスト カミュ 新潮文庫

これらのフレーズは、カミュの「不条理」と「反抗」という思想を表しています。

2020年のペストは新型コロナウイルス感染症

『ペスト』は、1947年に発表され、そこから約70年が経った2020年。新型コロナウイルス感染症が世界的に広まり、多くの人々が感染や死亡、経済や社会の混乱に我々も直面しました。この状況は、カミュが描いたペストの物語と重なる部分が多くあります。

この物語の中にも、様々な登場人物がいたのですが、このような状況下では、変化する者と変化しない者と大きく2つに分かれるとされています。

平和が確保された日常では、時代に合わせて変化できる人間が良いとされています。しかし災害時においては、その危機的な状況に流されてしまい、本来、自分の持っている考え方を変えてしまう悪い変化につながることもあります。

どちらが良いとかは、人それぞれ状況や環境によって、答えは異なるとは思いますが、こういった非常時にこそ、できるだけ冷静に取り乱すことなく、最適な正解を見つける努力をするべきなのかと思いました。

時代は繰り返されるといいます。またコロナウィルスのような病疫や自然災害もいつ発生するか分かりません。もっと個人のことで言えば、怪我や病気なんかも突然やってくるものです。

その時起きている事実をどう解釈するかは、人それぞれです。

まとめ

この本を読んで、どの時代にも何かが起こった時は、そこに正しい答えは一つではなく、そんなに簡単に如何すべきかを判断できなかったり、全ての人にとって納得のいく対応は出来ない事がよく理解できました。

新型コロナウイルスが猛威を奮ったこの数年でも色々ありましたが、この様なことはまた我々が忘れた頃に形を変えてやってくるのでしょう。

そんな災いに対して、今から備えれることは可能な限り備えておき、あとは日頃からの地域でのコミュニティの関係やあり方は意識しておくべきなのでしょう。人間はやはり一人では生きていけない生き物で、それに抗って生きようとしても、ペストやコロナウイルスの前ではきっと無力になってしまうのでしょう。

最後まで読んで頂きありがとうございました!次は少し明るめの本を読んでみようと思ってます。

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