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なめらかでない移動

相変わらず、どうやって開いていくのかを考えている。
「旧門谷小学校での活動」と「山」を。

10/28、国際芸術祭あいちの地域展開事業として愛知県西尾市で開催されていた「なめらかでないしぐさ」を拝見してきた。
西尾市出身の詩人、茨木のり子さんの詩の中に、「なめらかでないしぐさ」というフレーズがあり、それが展覧会のタイトルに。
西尾市内のいくつかの会場をまわりながら作品を巡ったが、どの作品も見応えがあり、とても充実した展覧会だったな、と。
ただ、こうやって街中を巡りながら作品を観ることが久しぶりだったこともあり、会場を転々としていく移動の中で鑑賞と鑑賞の隙間ができ、あれこれ考える時間があったことで、自身の興味が色や形といったシンプルに造形的なものからかなり離れてしまっていることがはっきりと意識された。
茨木のり子さんの詩、それと空間を共にしていた作品が強い印象として残っている。
それでも一方で、彫刻でも絵画や版画でも、その世界や方法を背負いながらも、少しずつそれらが拡張されていくような同時代の表現に出会うことができ、造形的なものへの敬意が自分の中に残っていることもまた、しっかりと確認できた。
と、様々なことを感じられる充実した時間だったのだが、何よりも、、、
私の住まいから会場までの移動。

旧門谷小学校で展覧会を開催していると、私は人がやって来るのを待つことになる。
旧門谷小学校は、愛知県でも山間地に位置し、アクセスが良いとは言えない。
新東名の新城インターが開通しているとはいえ、名古屋からは1時間半くらいかかってしまう。
電車とバスであればさらに。
今回の新城から西尾への移動は1時間20分ほどだったが、午前中しか時間がなく急いでいたこともあり、会場までたどり着くまでの時間は決して楽しめるものではなかった。
反対に、旧門谷小学校へ来ていただける方々が、どんな気持ちで移動してきているのか。
遠方から足を運んでいただけることに改めてありがたさを感じるとともに、ご来場者それぞれの心持ちみたいなものが気になった。

私はというと。
西尾へは、気になるアーティストが出展していたため向かうことにした。
そして、展覧会自体を楽しむことができ、充実した気持ちで帰路についた。

目的も結果も、道中をどう感じるかも人によって様々なことだろう。
本当に、とても大切なことを体感できた。

鈴木

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