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『みんなのスタートアップスタジオ』と呼ばれたい〜僕たちがStudioENTREで目指していること+重大発表予告!

 エンターテックを掲げたスタートアップスタジオStudioENTREを設立して3年経ちました。起業率の向上、スタートアップ育成が国家的課題になっている日本の状況を踏まえて、スタートアップスタジオへの関心は高まっていることを肌で感じます。
 そんな中、スタートアップスタジオの仕組みを詳しく解説する書籍が出ました。2017年にスタートアップスタジオに関する初の日本語書籍「STARTUP STUDIO 〜連続してイノベーションを生む「ハリウッド型」プロ集団〜」は、スタートアップスタジオを現象的に紹介する内容でしたが、今回は、より踏み込んで具体的な運営方法や課題について書かれています。是非、多くの方に読んでいただきたいです。


 監訳はQuotumの及部智人さん。ENTREも理事会社として設立に参加してスタートアップスタジオ協会の主要メンバーでもあります。

ハリウッドのようにスタートアップを生み出すスタジオとは?

 StudioENTREについて説明する際の僕の入り口は、こんな感じです。

スタートアップというと、アメリカ西海岸が"本場”になりますね。あの辺で「スタジオ」というとハリウッドのことなんです。ハリウッドが映画を作るみたいに、継続的に、同時並行でスタートアップを生み出して、世の中に送り出していくのが、スタートアップスタジオという業態です

 「つかみはOK」という感じで、興味を持ってくださる方が多いですね。
では、ハリウッドみたいというのをもう少し、分解してみましょう。
 僕は3つにまとめられるかなと思っています。

1)起業家(志望者)にとって必要なアセットが揃う
2)プロダクト(作品)重視主義
3)(投資家に対して)再現可能なノウハウを担保

1.起業家に必要なアセットが揃う

StudioENTREの提供可能な機能

 起業の際に必要な要素はたくさんあります。事業アイデアを練り、事業計画にまとめていきます。立てた仮説が本当に成立するのか検証をすることが超重要ですが、そのためには、MVP(ミニマムバリアブルプロダクト)最小のプロダクトを作って試します。
 仲間集めも重要です。ENTREは、イベントの実施や、メンター陣のネットワークを活用させてもらって、チーム組成をしていきます。
 実際の事業を通じて仮説検証を行うのは、スタートアップスタジオの進行帳です。そのための初期MVPを明確にするのが事業アイデアに関するディスカッションのゴール設定になりますね。これまでStudioENTREは「500万円以内、半年以内」を目安に社内で開発、検証を行ってきました

「みんなのスタートアップスタジオ」P18の図

2.プロダクト重視

 当たり前のように聞こえるかもしれませんが、シードの段階では、起業家の資質に投資するという感覚が強いのも事実です。シリコンバレーがユニコーンを生み出す仕組みとしては機能したけれど、天才起業家のキャピタリストの多額の資金という組み合わせに依存しすぎたという「反省」がスタートアップスタジオが生まれた背景にあると言われています。
 ハリウッドでは、数分間のトレーラー映像を10人以上に作らせて、その結果を踏まえて、作品つくりに入るのが一般的だそうです。
 ユーザーに提示する価値が何なのかを明確にして検証することはとても重要です

 余談ですが、起業に興味を持った大学生などには、観るように薦めているドラマがあります。
コメディドラマなので、デフォルメはありますが、「スタートアップあるある」が溢れていますし、スタートアップスタジオの存在が解決する問題点がよくわかるでしょう。楽しく見られるのもよいですね。まさにエンタメ(笑)

3.再現可能なノウハウを担保

 本書にもあるように、スタートアップスタジオは自らの得意領域を定めている場合が多いのは万国共通です。事業にきちんとコミットして、起業家に付加価値を提供するとなると、自ずと得意領域というのは出てきますね。僕たちは、エンターテインメント×テクノロジー=エンターテックのエキスパートを自認しています。
 事業開発、仮説検証の高い精度でもプロフェッショナルなつもりですが、属人的な能力としてではなく、会社として再現可能な形のノウハウとして提供しているつもりです。領域特化することで、解像度は高まり、そのご参加してくる投資家から見ても、信頼に足り得るスタートアップにしていくというのは僕らのテーマの一つです。
 エンターテイメント領域だと、著作権関連の対応など特殊な知見が必要になる場合も多いです。弁護士だけだと、実業経験に限界がありますので、何をやると危ないかというディフェンスにはなっても、サービス開発への応用は難易度高いです。また、特殊な発展形になっている日本のメディアコンテンツ業界と親和性が高いのも、障壁をクリアーが必要な事が少なくないです。ここは属人的な人間関係も避けて通れない部分なので、「オトナ」たちが役に立つことになります。

4.日本の産業界におけるエンターテックの意義と可能性

 突然、スコープの大きい話になりますが、グローバル市場において、日本の経済全体を考えたときに、エンターテイメント分野の役割は大きくなっています。僕が学生の頃は、音楽を仕事にするなんていうのは、日本経済とかと無関係に勝手なことをやるという選択肢でした。
 製造業や金融の仕組みなど、デジタル革命によって起きた変化は、コンテンツ産業を日本経済の中心部に動かしました。

 例えば、岸田政権の政策を牽引する「新しい資本主義事務局」では、以下の文言があります。「日本の誇るべきコア」と内閣府が宣言している訳です。

7.クリエイターへの支援
アニメ・ゲーム・エンターテイメント・漫画・映画・音楽・放送番組等の分野は、日本の誇るべきコアの1つである。日本は、世界のコンテンツ市場の成長をにらんで、広い意味でのクリエイターへの支援を進めていく。

新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 2023改訂版

8月31日に重大発表【予告】

 自分の個人的な興味や生き方でたどり着いた「エンターテック×スタートアップ」という領域は、これからの日本にとって重要な産業領域になっていました。StudioENTREを設立して3年間、実績を0から作りながらなので、大変なことだらけですが、時代の追い風や社会に必要とされているといことはひしひしと感じています。
 エンターテインメント=「人を楽しませる新規事業」をテクノロジーの掛け算でイノベーションを起こすといいう活動に、スタートアップ(シード)投資の民主化につながるスキーム準備中です。まもなく発表ですので、お楽しみに!


モチベーションあがります(^_-)