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「Mixサンプルの聴き方」歌ってみた。Mix依頼をしたい人が読む記事(4)

「歌唱の上手さに引っ張られてMixの良し悪しがわからない」というのはあると思います。私のサンプルには下手なサンプルがたくさんあるので聞き比べの教材に使ってください。

環境設定

  • オーディオI/FのOUTPUTは70%程度にする

  • PCのボリュームは100%にする

  • スピーカー、ヘッドホンで音源を聴く

この条件がそろわないと低音が出ている、高音が出すぎているという判断がつきません。

Mixサンプルで聴きたいポイント5選

  • オケとボーカルのバランス

  • ストリーミングサービスに対してラウドネスが適切か

  • ボーカルがオケに馴染んでいるか(リバーブ、ディレイは適切か)

  • 耳障りな高音はないか、音の抜けは良いか。

  • 低音で楽曲が濁る

オケとボーカルのバランスがバラバラ

サンプルにはこのようにノイズが多い場合もあります。この場合もボーカルとオケの音圧に意識を集中させて聴きます

この楽曲は通して聴くとオケが大きくなったり、ボーカルが大きくなったり、均等に聴こえたりしています。

オケとボーカルが均一、面白みがない。ラウドネスが不適切(この場合は小さい)

次はオケとボーカルのバランスが均等すぎる場合です。サビに入ってもノッペリして迫力がありません。原曲と聞き比べるとその違いが明瞭です。
またラウドネスが適切ではないため、環境設定で聴いても全体的にしょぼいです。原曲と比べれば生演奏だからという以前にそのしょぼさがわかります。

ボーカルがオケに馴染んでいるか(リバーブ、ディレイは適切か)

今回もラヴィを聴いてみましょう。
サビがわかりやすいです。まずはスピーカーでサビを聴いてみましょう。

このサビを「オケが前すぎるということはない、かといってボーカルが前というわけでもない。どちらも同じように明瞭に聴こえ、絶妙な均衡を保って調和がとれている」状態と仮定します。

次に私がMixした音源のサビを聴いてみましょう。

原曲よりわずかにボーカルが前に感じられると思います。言語化するならば「原曲に比べボーカルが前に出ている」です。しかし、オケとの調和がとれていないかというとそうでもないと感じれば「オケとボーカルは馴染んでいる」逆にオケとボーカルの調和がとれていないと感じれば「オケが浮いている」と言語化されます。

耳障りな高音はないか、音の抜けは良いか。

次は「音の抜け」です。ラヴィの本家サビをヘッドホンで聴いた後、私のMixしたものを聴くと私の音源は「もこもこ」「ぼわぼわ」「すっきりしない」「ぬぅ~ん」というような印象を受けると思います。これが「音抜けが悪い」と言語化されるものです。
音抜けが悪いため、耳障りな高音はありません。

もこもこをもっと聴いてみる

3分ごろにあるサビがわかりやすい例です。オケの低音が出すぎて楽曲が「ごもごも」「ごーごー」「ぼわぼわ」しています。

(比較的)抜けが良いが、ノッペリしている例

ALIVEを一通り聴いて頂いたあと、このMixを聴くと「音抜けの良さ」を感じられると思います。ただ音量バランスは均等で工夫が見られずオケとボーカルのバランスはノッペリしています。

プロのエンジニアがアマチュアのボーカルMixした例

ここでプロのエンジニアがアマチュアの音源をMixした例を聴いてみましょう。

プロ(本家)の歌ってみた

アマチュアの歌ってみた

本家のMixを聴き、プロのエンジニアが手掛けたMixを聴き、今まで解説してきた内容を踏まえて私のMixを聴くと「歌の上手い下手ではなく、Mixの上手い下手」が見えてくると思います。これがMixの聴き分けです。

アマチュアの音源を受けてくれるプロのエンジニアは貴重です。価格もアマチュアエンジニアより高価格ですが、その品質は段違いです。
アマチュアの私はプロの音に近づくために日々悪戦苦闘していますが、プロはそれ以上の早さで日々研究しています。(もちろんです。プロですから)

サンプル数と価格に惑わされず良い音を作っているMix師を探そう

5000円の価格帯でプロのエンジニアと肩を並べるMix師はおそらく居ません。ですが、この記事で「このMix師は腕が良さそうだ」という見当はつくようになってくれていると嬉しいです

また、歌い手がこのようにMixの聴き分けが出来るとMix師に対して指示を出す事が出来ます。
 ただ注意しなければならないのはMix師も考えてMixしているため「なぜ、このようなMixになったのか」「私はこのように感じ、こうしたら良いと思うがどうだろうか」というようにコミュニケーションをしましょう

YAMADAさんのサンプル音源、どれもモコモコしてませんか?

良い質問です。専門的な用語の入った解説になりますがご容赦ください。
5月は中高域の処理を色々工夫していました。
Hissと呼ばれる成分の処理です。この成分をレゾナンスフィルターで徹底的に取り除き、ボーカルの高域を出すためにオケの高域を削っていました。
結果どうなったかというと全体的にモコモコした。というわけです。(といっても十分に許容される範囲のモコモコ)
個人的に中高域の激戦区だと感じます。とくにボカロ曲です。
この音抜けについての処理は6月以降も課題です。

なかなかMix界隈はクローズド

Mix師>歌い手の市場であるため手の内を明かしたがらないのだと思います。
私は歌い手がより良い音を届けるためにボーカルを練習し、お金をかけてMix依頼をして、その見返りは無償のいいねだということを知っています。
なので、情報だけでもオープンにして少しでも求める良い音に近づけてもらえればと思っています。

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ボーカルMixのご依頼を受けております。機材等々わからない初心者の方にもわかりやすいよう案件を進めさせていただいております。

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