余寒の京都旅「新熊野神社」二.曼荼羅と神仏習合
梅を観に地元の神社へ訪れたときのことです。掲示板に貼られていたポスターをみて驚きました。
神社検定?そんなのあるん?え?待って?今年で十二回目?
そうです。神社の本を読み始めたと以前の記事に書きました。その本は神社検定公式テキストのことだったんです。神社検定の大きな特徴は受験会場と受験形式でしょうか。変更となる場合もありますが、各都道府にある県神社庁が試験会場になります。京都だと松尾大社で試験を受けることが出来ます。会場へ行けない方にご朗報。なんとオンライン受験も選択可能なんです。
京都検定を受験するほど京都が好きな私ですが、旅しているとだんだん神社の知識が増えていくんですよね。多くの御祭神や建築様式をこれまで目にしてきました。二級くらいなんとかなるかな。そう思って公式テキストを開いてみたところ自分の甘さを痛感。知らないモノまだまだたくさんありました。神道固有の言葉は本当に難しくて第二外国語を学ぶくらいの難易度でしょうか。そう簡単に覚えられるものではありません。本年度の検定申込締切日は5月31日までとなっていました。今から必死に勉強すれば何かしらの級に合格できそうですが、現時点で受験するかどうかはまだ決めていません。どちらにせよ京都の理解をもう一段階深めていきたいので、本を読んで神道の知識をしっかり身につけたいと思っています。
"神仏習合"が今回のメインとなっています。かなり難しいテーマではありますが、なるべくわかりやすく皆様にお伝えできればと思っております。
まずは狛犬のご紹介から阿形さん。
そして吽形さん。双方とも胸を張っているのが特徴です。
法住寺殿の鎮守社として平清盛により新熊野神社が創建され、法住寺殿の鎮守寺として蓮華王院こと三十三間堂が作られました。このような経緯から本殿の本地仏は千手観音となっています。
"法住寺"と聞いて、大河ドラマ"光る君へ"を連想したあなた様。よほどの平安京ツウですね。そう。花山天皇が寵愛した人、井上咲楽さん演じる藤原忯子の菩提寺が法住寺になります。後白河天皇ゆかりのお寺として知られていますが、それよりも前の時代に登場していたんですね。
本殿の伊奘冉尊は母、上之社の伊弉諾尊は父、素盞嗚命は二人の子になります。
新熊野神社は熊野信仰だけでなく観音信仰にも篤く、本殿の本地仏は千手観音。若宮社では十一面観音となっています。
天照大神も素盞嗚命と同じ伊奘冉尊と伊弉諾尊の子であります。そういえば愛子さまが祖先神とされる天照大神に成人のご報告をするため、三月末にお一人で伊勢神宮へ参られるそうですね。私は一年前に内宮にて投げてはいけないお賽銭を投げてしまったという苦い思い出があります。あと、日帰りで行けるのにも関わらず橿原神宮に一度も行ったことがありません。せめて一生に一度くらいは参拝したいものです。
仏さんの種類についてはたくさん勉強してきたつもりでしたが、龍樹菩薩という文字を初めて目にしました。
調べてみたら浄土真宗では七高僧の第一祖とされていて、西本願寺阿弥陀堂に龍樹菩薩像があるみたいですね。神道だけでなく仏教もまだまだな私です。
日本の神様ってなぜか漢字表記がバラバラなんですよね。神道初心者からすると「わかりにくいからカタカナ表記に統一してくれ」って思うのですが…。仏教における宗派のように神道にもいくつか分派があって、古事記を重要視しているところ、日本書紀を重要視しているところ、いろんな考え方があって、だから漢字表記を一つにまとめることが出来ないのかなと推測。
漢字検定一級レベルかってくらい独特の漢字が用いられている神様も中にいらっしゃるんですよね。書くのは無理でもせめて読めるぐらいには知識を増やしていきたいです。
最後にご紹介するのは、"影向の大樟"が御本尊の樟社になります。様々な神社へお参りをしましたが、上皇お手植えの木が神様仏様になった例は他に聞いたことがありません。「樟大権現」「樟龍弁財天」として多くの人に親しまれていて、大楠会という保護活動も積極的に行なわれております。
無像崇拝が神道の基本形ですが、アニミズムと仏教思想が融合し、神仏習合となって大樟が御祭神として祀られるようになったのでしょう。明治時代の神仏分離政策を乗り越え、神仏習合を今に伝える数少ない神社の一つとなっています。
曼荼羅といえば、歩いて数分の場所にある泉涌寺の寺宝"大曼荼羅図"や東寺の"立体曼荼羅"が有名ですがそもそも曼荼羅は密教の経典が発祥です。いち早く神仏習合を取り入れたことから、神社でありながら曼荼羅関連の文化財が数多く残されています。次の記事で詳しくご紹介しますね。
神仏習合をメインテーマにしてみましたが、神道ってやっぱり奥が深くて難解ですね。全てを理解することは一生かけても無理そうですが、一歩ずつこれからも頑張っていきたいと思います。今回はここまでに致します。
次回は、京の熊野古道を歩いていきます。
参照サイト
今回の参拝スポット
追記
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