見出し画像

【プロット】小心者のベビーシッターが、金融街に

 ベビーシッターの由紀は、金融街の託児所で依頼を受けた。
 銀行や証券会社が立ち並ぶビル街の一角に、元気いっぱいの乳幼児が集められて大忙しである。
 田舎育ちで小心者の由紀にとって、金融街というストレスフルな環境は、不安の種だった。
 ビジネスライクな顔で、愛想笑いの一つもなく子どもを置いていく親も少なくない。
 おむつが汚れると子どもを𠮟りつけ、夜もロクに寝られないと愚痴をこぼす親たち。
 虐待を心配しつつも、何も言えずに世話をするのだった。
 中小企業の役員らしき人たちは、ギョッとするほど思いつめた顔を見せることもある。
 融資を求めて断られたと顔に書いてあるが、精一杯の笑顔を子どもに向けて預けていく。
 もう迎えに来ないのではないか。
 そう思わすにはいられなかった。


「利益」をもたらすコンテンツは、すぐに廃れます。 不況、インフレ、円安などの経済不安から、短期的な利益を求める風潮があっても、真実は変わりません。 人の心を動かすのは「物語」以外にありません。 心を打つ物語を発信する。 時代が求めるのは、イノベーティブなブレークスルーです。