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メルヘン・イン・ドライブイン七輿

現実にまみれるうちにメルヘンメモリーが少なくなってきた山田は、メルヘンを補充するため、群馬県の「道の駅ららん藤岡」にある「メルヘンプラザ」を目指します。
と、そのまえに、以前から気になっていた「ドライブイン七輿」が近くにあるというので、寄ることにしました。

七輿は、ななこし、と読みます。
群馬に2000基もある古墳のひとつ、七輿山古墳の近くにあります。
「ドライブイン七輿」は、昭和レトロな自販機が並ぶ、知る人ぞ知るディープスポット。

昭和とかレトロとかディープとかは、勝手に言ってるわけではありませんよ。
群馬の情報サイト「We ♡ 群馬」でも名物認定されるほど、もはやポップな存在なのです。

雨の平日の午前中。
ナビの言うとおりに車を走らせます。
ドライブインというのだから、てっきり国道や県道沿いにあるかと思いきや、けっこうな細い道に。
古墳に磁場を狂わされているのかと心配になりかけたところで、ありましたありました。
イン!


店内に入ってみると、、、
ハンバーガー、トーストサンド、うどん、ラーメン。
むかしむかしのサービスエリアにあったやつ。旅先で深夜に食べるとうまいやつ。



トーストサンドはどんなのかな。



「ハム」を強く押しました。

出てきました。
熱!
「熱いのでくれぐれも」とかいう注意書きなぞありません。
熱けりゃ耳たぶでもさわってろってことですよ。


ハンバーガー。



箱がかわいすぎる。
こっちも熱いけど、猫舌は大丈夫かしら。


ラーメン。



なんでチャーシューが本格的でうまいのよ。

テーブルや椅子も昭和感満載。
平成の30年余が完全になかったことになっています。
私の人生も、大半が平成時代だったはずなのに、平成を生きた実感があんまりないのはなぜなのでしょうか。
平成ジャンプ。

外に出ると、「ザ・たばこや」と書かれた屋根の下に、こども向けの遊具がありました。



ハッ。
私は群馬にノスタルジーに浸りにきたわけではありません。
メルヘンを補充しにやってきたのです。

メルヘンスイッチ、オン!


『 モーモーうんそう 』

森のどうぶつたちは困っていました。
どうぶつたちの荷物を運送していたクロネコさんが、はたらきすぎで、ねこんでしまったのです。

「かわりにぼくがやるよ」とネズミさんがいいました。
けれど、大きな荷物を運ぶことができません。

「じゃあ私がやるわ」とウサギさんがいいました。
けれど、ぴょんぴょんはねるので、荷物がひっくりかえってしまいます。

ヤギさんが「やりますよ」といって、荷物をもって歩きだしました。
けれど、伝票を食べてしまって、届け先がわからなくなってしまいました。

「オレがやってやろう」とオオカミさんが荷物を運びました。
けれど、みんなはこわがって、ドアをあけてくれません。

力持ちで働き者のアリさんに相談しましたが、引越し業でいそがしく、宅配まで手がまわらないと言われてしまいました。
コウノトリさんにも、あかちゃん専門とのことで、ことわられてしまいました。

そこにおっとりと、ウシさんがやってきました。
「ぼくが運ぼうか?」
ウシさんは、ゆっくりですが、確実に荷物を運んでくれました。
ついでに牛乳も配達してくれました。
森のみんなは「ありがたいなぁ」と思いました。

クロネコさんは、たっぷり休んで、元気になりました。
クロネコさんは森のみんなに言いました。
「もっとがんばって、もっとたくさん、もっとはやく、荷物を運ぶよ!」
けれどみんなは「ちょっとまった!」と言いました。
「全部の荷物を、そんなにはやく運ぶことはないよ」
「はやく送ってほしいものは、クロネコさんに頼みたいわ」
「ゆっくりでもいいものは、ウシさんにおねがいするのはどうかしら」

クロネコさんもウシさんも森のみんなも「それはいい」と思いました。
「ニャーニャーうんそう」と「モーモーうんそう」は、きょうも森で、てわけしながら、どうぶつたちの荷物を運んでいます。


ふぅ。あぶないあぶない。
「ザ・たばこや」脇に駐車された「モーモーうんそう」のおかげで、メルヘンをうっかり見失しなわずにすみました。

さてと。
おなかもいっぱいになって準備万端。
「メルヘンプラザ」に向かうとしますか。

(つづく)

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