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オレ様BARの限界

閑古鳥が鳴いている。どんな鳴き声がするのかと思ったら「シーン、シーン」と鳴くんだね。怖いのでオーディオの音量を大きくして紛らせている。

やっぱり女性に任せた方がよいのだろうか。

年末年始は5日間営業してのべ30人がご来店。うちまったく知らない客は12/30の女性2人だけ。あとは全員顔見知り(ほとんどが同級生)だった。これがよいことなのかどうか。オレはダメだと思っている。知り合いなだけで常連とは言えない。たまたま年末年始に帰省したか、飲み会で街に出てきたとか。去年も来てくれた。つまり年イチの客だ。わが店に来ることを習慣化しているわけではない。これ以上は書かないけれど「これがうちの限界」ということを言いたかった。

1月2日、高校同期が集まってくれた

まだ2年、結論を出すのは早い。でも変わらないものは変わらない。なぜならオレが店に立ちつづけた結果だからだ。うちに来る客は前から知り合いのオレに会いに来る。知り合い(常連とは違う)だけで経営が成り立つのは、ほとんどありえないだろう(店を始めたからこそ会えるようになった面もあるが、それは措いて)。

店を始めた当初、こんなことをスナックママに話したことがある。「店をやるというのはアドバルーンを飛ばすこと。『オレはここにいる』と言いたいんだよね」。その認識はいまも変わらないが、そこには明らかな傲りがある。「オレ様に会いに来い」という姿勢だ。いつの間にかそんな店になっていなかったか?

もちろんそんな傲慢さだけでやっているつもりはない。この正月に初めて来た高校同期が「ここは懐かしい人に会える店だね」としみじみつぶやいてうれしかった。そういう店にしたかったからだ。オレはどうでもよいのだ。みんながこの店に集まってバカ話をする、オレは酒やつまみを出しながら時々参加する、それをやりたかった。この年末年始は、その毎日だった。これほど楽しいことはない。

だが飲食店経営となると話は別だ。年イチでも月イチでもよいけれど、日替わりでいろんな客が来なければ家賃も払えない。仮に今年の春から平日も開けるとして、年イチ月イチの客が増えるとは思えない。その微々たる数に見合う収容キャパとしてなら、週末のみの営業でじゅうぶんなの(経営的にはかなり足りない)が現実である。それを痛感した2022-23年末年始の営業だった、ということを書きたかった。

ここまでが現状把握。次は原因究明だ。わりと簡単な話で、つまりエンタメ性に乏しいのだ。女、カラオケ、うまいメシ。石巻で繁盛する飲み屋の三大要素だと思っているが、何ひとつない。上記からも伺えるけれど、オレ自身が店のエンタメだと自認しているフシがある。いやでもそれは、ない。オレが持っている懐かしい写真や資料には自信があるけれど(同期にしか意味がない)。やはりダメっぽい。

近場のスナック

「山小屋」という超然としたコンセプトを愛してくれる層は、石巻において極小なのだろう。インスタフォロワーもいるけれど、遠くから見るぶんには楽しいがわざわざ店まで行くほどでもない、というのが現評価だろう。コロナ禍もあり、繁華街に繰り出すにも英断が必要なこの時期に(まさか3年目に入るとは!)、山小屋のような渋い店を出されても客(同級生)も困るだろう。もっと入りやすい、友人や同僚を誘いやすい、わかりよい店に変えていかなければならない。

1回で終わると思ったがもう少し書き足したいので、ここまでを前編とする。