ベッキーの気持ちがすこしわかる。

「ねぇ、友達に戻らない?」

これは、元カノに会うことを嫌っていた私に、散々会ってないふりをしていた彼がほぼ最後に放った言葉だった。

これで、別れること、彼が元カノと会っていたことが確定した。

当時のフェイスブックは、連絡頻度が高い友達が上位に挙がってくるということがウェブ上で話題になっていて、それが仮に間違っていたとしても1、2番あたりにあがってくるのは、自分のフェイスブックを見てみても、やはり連絡をとっているからとしか考えられなかった。

付き合い始めて、彼は基本的にずっとうちに住んでいたのだけれど(無料で)、たまにいつもと違う靴や服を身に着けてくることがあり、それは同棲を解消できない元カノの家にいったという他でもない証拠だった。「その服、いつもと違うね」「洗濯物にいつもと違う服があったよ」と少し泣きそうな顔で彼に言うと、「プレゼン前だったから必要だったんだよ。本当にちょっとすれ違っただけだよ」とか、「疑ってるの?」とか、それ以上話を掘り下げたくないようなことしか言わなかった。

そもそも別れたのに同棲を解消しない理由は、彼曰く「マンションが4月まで解約できなかったから」。瞬時にウソとわかった。その建物には何度か言ったことがあり、古いのだが建て替える予定でもなさそうだし、いまどきそんなマンションないだろう。解約金などのペナルティはあるかもしれないけれど。

おそらく本当の理由は、怒って山形の実家に帰って、結果別れた元カノが5月に行われる東京のモノづくりのイベントに参加できるよう(5月以降は東京に在住)万全の体制を整えておくこと。

ちなみに、彼に聞いた元カノが実家に帰った理由は「実家の弟が病気だから」。それも、聞いた瞬間ウソと思った。だって病気って、親族が出たいイベントに合わせて完治するものじゃないから。

付き合ってすぐ、少し深刻そうに「話したいことがあるんだ」と言われ、いつもとは違う雰囲気で話をする機会があり、その時はこう言われた。「彼女とは別れたんだけど、ずっと応援したいんだよね。彼女靴下作家で」。言われて唖然としたが、私も私で「それなら、私も知り合いの人のブランドにおいてもらえるか聞いてみようか。作ってるやつ見せてよ。」と言うと、彼はこう返した。「まだない」。さらに、唖然とした。その後、元カノを応援するという行為を私が心底許したと思ったのか、彼は突然流暢になり「靴下のサイトさ、どうやったら目立つと思うか考えててさ。ビルの端に腰かけて、自殺するような写真とか掲載したら、結構目立つと思うんだよね」と恋人には絶対言ったらダメであろう言葉がスラスラと出てきた。

彼はウェブデザイナーで、写真がとてもうまかった。

この元カノ話は、聞かされて悲しくなった。そして、日を追うごとにどんどん怒りが湧いてきた。

ここまできくと、私から猛アタックしたようだけど、むしろ私が押されて付き合った。彼は、付き合う前に何度もうちにおしけてきた。あるイベントの広報を担当することになり知り合ったのだけれど、打ち上げも含めイベント中には一言も話さなかった。それに、彼は当時31,2のバツイチ子持ち(月に1回会うのみ)で、私の恋愛対象にも入っていなかった。

だけど、イベントから数か月がたったある日、たまたま交換していたフェイスブックのメッセンジャーから、「コピーお願いしたいんですけど」といったような内容が送られてきた。話が弾み、上野駅で行った打合せのあと電車がなくなった。「家まで歩きますんで。おつかれさまです。」と言うと、彼は家まで送るとついてきた。「一緒に歩くと、超たのしいですね」などと言いながら。

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