山口あおこ

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最近の記事

30代独身女子の日常<ランチ>

今日は、会社でランチミーティングが行われた。ミーティングとは名ばかりで、会社の同じ所属の人たちが会社のお金でランチをするというものだ。 しかも微妙に人数が多く、結局いつもしゃべる人たちと話すことになる。今日は、和食。注文した湯葉御膳には、山形でよく採れるという”うるい”が入っていた。少しぬるっとするが、食感がよく、くせのない味。調べてみると春を告げる野菜らしい。 うるいを目の前にした物知り上司は「前さ、土手でうるいみつけたんだよ。それでさ、次の春に採りに来ようと楽しみにし

    • 30代独身女子の日常<仕事帰り>

      今日は18時半に仕事を切り上げ、友人とごはんを食べた。 目的は、転職の話を聞くことだった。ちょうど求人が出ている会社に、友人がむかし勤めていたので、どんな内容の仕事をするのかかなり具体的にきいた。 わたしはずっと広告制作会社に勤めていて、転職を繰り返している。現在勤務している会社は失敗した転職だと思う。企画仕事がなく、文章を書いたり、文字校正をしたりしている。社内のコピーライターの仕事領域が、前の会社と明らかに違うのだ。お客さんをどういう方向にむかせたいのか、この商品をど

      • 独身30代女子の日常<婚活アプリ>

        マッチングアプリというのに登録している。もっと平たくいうと婚活アプリで、ひと昔のことばで言うと出会い系だ。 いまは、出会い系と婚活アプリは、業界では大きくすみ分けしているらしい。出会い系はいわゆる”やりもく”のもので、婚活アプリはその言葉通り、結婚を目的とした真剣なお付き合いのためのアプリ。 登録すると、様々な事柄から自分のプロフィールをつくることになる。出身地、移住地、年齢からはじまって、学歴、職種、年収、身長、体型。さらに、初回デート費用(全額払う、割り勘など)、結婚

        • 30代独身女子の日常<終電を逃した日>

          再入稿をしていると、終電を逃した。入稿データは、なんであんなに重いんだろう。 定期は日比谷線だが、JRで行けるところまで帰る。その駅で降りると、立ち食いそばの誘惑が待っている。平松洋子のエッセイに影響されて、安くて、おいしくて、店舗ごとに個性がある立ち食いそばにはまっている。 もう24時過ぎているのに、行ってしまった。 駅の近くにある2軒をのぞきみて、値段が安い富士そばに決める。店前の券売機で、400円を入れて、わかめうどん・そばを押す。ピッという音のすぐあと、券とおつ

        30代独身女子の日常<ランチ>

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        • 30代独身女の日常
          6本
        • ベッキーの気持ちが少しわかる
          4本

        記事

          ベッキーの気持ちが少しわかる4

          いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまうという長いタイトルの月9を見ている。 「なんでこんなタイミングで、前に好きだった男のところに行っていいかなんて聞くんだよ。いいって言っても、ダメって言っても、どっちも苦しいよ」みたいなセリフを聞いて、痛々しい気持ちになる。 これは、プロポーズをなんとなく流された男のセリフだ。 この役は、基本的にイエスマン。数日前にプロポーズして、流され、翌朝いえを出るとき彼女に「●●君に会いに行ってもいい?」と聞かれる。「ダメって言ったら?(少

          ベッキーの気持ちが少しわかる4

          ベッキーの気持ちが少しわかる3

          たのしくて、たのしくて、仕方なかった会社をやめた。 ミスが続き、会社でも役員たちからのイメージが悪くなっていき(他の社員はいつもと同じ)、友達のように接してくれた上司も「俺、上司という立場じゃなくて山口さんの友達として言うけど、たぶんやめてリセットした方がいいと思うよ。だって、ビビって書けなくなってるじゃん」。 しかも、その上司はわたしのミスのせいで給料が下がったらしい。ただ、一緒に仕事はしてなかったんだけど、お世話係になっていたから。 そこまで迷惑かけているんだし、辞

          ベッキーの気持ちが少しわかる3

          30代独身女子の日常<お弁当>

          今日から、また会社。 締切があり、朝はバタバタしていた。忙しいところに「ランチいきませんか」とメールがくる。会社で一番頼りにしているひとつ年上の女性。今日はひさしぶりにお弁当を持ってきたのだけれど、なにか悩みでもあるのかと思って「ちょっとバタバタしているけど待っていただけるなら」とメールする。 ひと段落した14時に2人でランチへ。お店を探すが準備中ばかり。営業しているお店を見つけるも、ここはちょっと苦手で・・・と言われ、また探す。やっと見つけたお店に着くと「今日はヒマでー

          30代独身女子の日常<お弁当>

          30代 独身女子の日常<保険のトップセールスマンと>

          今日は、世界一の業績を誇る保険会社の営業成績日本ナンバー1に、私の保険を見直してもらった。(彼に伝えていることは、知り合いにお願いされて保険に入っていることを伝えているだけ。) これから書くことは保険の基礎中の基礎。書くことすらバカバカしいけれど、考えたことがないことだった。保険には、年金保険と生命保険と死亡保険があって、独身の人には死亡保険は関係ないらしい。だって、家族がいないから。 つまり、独身の人に必要なのは、老後と病気のときに助けてくれる保険。 そして、最近の傾

          30代 独身女子の日常<保険のトップセールスマンと>

          ベッキーの気持ちが少しわかる2

          ある日の深夜、ひどく酔っぱらって彼はうちに帰ってきた。 「なんか太郎さんと飲んでたらさ、好きな音楽一緒で。びっくりしたー」と言って上機嫌だった。かなりマニアックな音楽だったので、ジャンルや歌手名は覚えていない。 左手に持っていた袋に手を入れて「あおこのこと考えたらさ、やっぱりクロワッサンだと思ったんだよね」と種類の違うパンを4つほど出した。深夜に持ってきたので、遅くまで開いてるパン屋がこの辺にあるんだなという驚きとともに、生活感がない彼がパンを買ってきてくれ、うれしかった

          ベッキーの気持ちが少しわかる2

          ベッキーの気持ちがすこしわかる。

          「ねぇ、友達に戻らない?」 これは、元カノに会うことを嫌っていた私に、散々会ってないふりをしていた彼がほぼ最後に放った言葉だった。 これで、別れること、彼が元カノと会っていたことが確定した。 当時のフェイスブックは、連絡頻度が高い友達が上位に挙がってくるということがウェブ上で話題になっていて、それが仮に間違っていたとしても1、2番あたりにあがってくるのは、自分のフェイスブックを見てみても、やはり連絡をとっているからとしか考えられなかった。 付き合い始めて、彼は基本的に

          ベッキーの気持ちがすこしわかる。