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PTAを変えた人たちの話

PTAを変えてきた過程には、たくさんの人たちの力がありました。最初の一歩を踏み出すきっかけになった、ある先生の一言。どんなPTAを目指したらいいのかを、一緒になって考えてくれたみなさん。本部の方針を発信するときに、マンガやレイアウトで読みやすい紙面を作ってくれた本部役員たち。そして、改革をPTAの大事なテーマだと考え、支えてくれた会長と校長先生。

今回は、「PTAがヘンだと思ったので変えてみた話」では書ききれなかった、PTAを変えた人たちのお話です。

じゃ、教養部、なくしちゃいましょうか!

「じゃ、教養部、なくしちゃいましょうか!」

PTAについてのアンケートを実施後、集計結果を見ながら今後のあり方を話し合っていた本部会の席で、ニコニコと、しかしはっきりと提案されたのはいつも穏やかで優しいA先生でした。

「このアンケートを見ると、まず変えられるのって、教養部ですよね?」

教養講座はなくてもいい、と思う人がずいぶん多かったのです。これをなくせば教養部はいらない、そうすると、役員数を減らせるなぁ、と私も思いました。でも、それを役員1年目の私が口にしてもよいのだろうか、いや、さすがにそれはコワイ。そう躊躇していた会議の最中です。

子どもたちからも絶大な信頼を寄せられているA先生の言葉は大きなものでした。しかし。

「先生、ちょ、ちょっと待ってください。いきなりなくすと戸惑う人や反発する人なんかが出てきて、うまくコトが進まないかもしれません。この本(「PTA、やらなきゃダメですか?」山本浩資著)の改革では、『お試し期間』を設けています。私たちも『なくす』のではなく、まずは1年間、教養部の活動を『休止する』というのはどうでしょうか。その様子を見てから、復活させるか廃止させるか、みなさんに改めて問うて決めては?」

「じゃ、そうしましょうっ!」

にこやかに穏やかに、PTAが改革へ向かって舵を取ったきっかけは、A先生でした。あの場にA先生がおられなかったら、きっと私たちはいつまでもヘンなPTAに我慢しつづけていたことでしょう。

A先生の優しい笑顔を思い出すと、涙が出てきます。A先生には、今はもう、お会いすることができません。先生の大きな大きな置き土産が、PTA改革だったのです。

こんなPTAにしたい!を考える会

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お試しで教養部を休止している間に、どんなPTAにしていくべきか、具体的な案を出していこうと考えました。しかし、PTA本部で基本路線を練るとしても…こんな大切なことを、本部だけで決めてもいいものだろうか?

そこで、私たちは本部役員以外にも呼びかけてみました。

こんなPTAにしたい!を考える会、を開きます。誰でも参加できます。PTAの今後について、私たちと一緒に考えてくださる方はぜひ集まってください!」
来てくれる人なんているのかな、と思っていました。ところがです。

一般会員の方が何人も来てくれました。そして、役員もそうでない人も一緒になって、今PTAにどんな問題があって、それがどう変わったら嬉しいか、たくさんの意見やアイデアを付せんに書き出してまとめる作業をしていったのです。

PTAを変えたのは、本部役員だけの力ではありませんでした。普通の保護者たちが、PTAを変えたいと願い、こんなPTAにしたいとみんなで夢を描きました。だからこそ、ヘンなPTAを変えられたのです。

また、この改革は本部役員たちの力を抜きには語れません。通常の仕事に加えて面倒な改革というものがのしかかってきたというのに、みんな元気いっぱいです。みなさんに分かってもらえるようオリジナルの可愛いマンガを描いてくれた人、イラストレーターを駆使して本当に読みやすい紙面のレイアウトをしてくれた人、嫌々本部役員を引き受けたけど、これはやり遂げなくちゃと思ったと、次の年も続けてやってくれた人、など。5年間、たくさんの役員たちが同じゴールを目指して頑張ったから、PTAは変わりました。

こどもたちと大人たちのために

アンケートの翌年にPTA会長に就任したBさんは、ただでさえ忙しい会長業務をこなしながら、改革に向けて本部役員たちをまとめ、PTAの顔として改革の必要性と、改革後のハッピーな未来を発信し続けてくれました。お父さんたちの力をPTAに取り込んでくれたのもBさんです。

そして、保護者たちがしようとしている改革を応援し続けてくださったのは、C校長先生でした。学校側がPTAを都合よく使う、という話も耳にしますが、C校長先生の下では全くそんなことはありません。

土曜日のPTA行事廃止や、本部会の時間短縮など、保護者たちや先生たちにも負担になりにくいPTAのあり方を提案してくださったのもC校長先生です。

大人たちに心の余裕がなければ、こどもたちを笑顔にすることはできません。できるときに、できるひとが、できることをすればいい。そんなPTAを目指せたのは、この会長とこの校長先生がいてくださったから。

A先生。B会長。C校長先生。本部役員たち。そして普通の保護者たち。大勢のひとたちの手で、PTAが変わりました。

これは、PTAを変えていった人たちのお話です。



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