久保田弘信さんについて

人は色んな顔を持っていて、シーンによって使い分けます。そして、そのうちの1つの顔も、受け取る人によって様々な印象を与えます。

ここでは、わたしに映る「久保田弘信」について書きます。

決して、あるブログに反対意見を述べているわけではありません。傷ついてしまった方がいるのは、本当に心苦しいことです。そして、その告発から私達が学ぶべき教訓はたくさんあります。

しかし、「久保田弘信」は他の一面もあるよ、ということを伝えたかったのです。

わたしは久保田さんに命令されて書いているわけでは決してありません。そして、久保田さんの側近でも、彼女でも決してありません。
それを示すために、わたしは、実名でこの記事をあげています。

「久保田弘信」はどんな人?

わたしは、通訳として久保田さんのミャンマー取材に10日間ほど同行した大学生です。

わたしにとっての久保田さんを簡単にまとめると、優しくて、かつ繊細な人です。
今回告発された内容からもわかるように、少し不器用なところもあるのかもしれない。
それでも、優しさに溢れた人です。

ミャンマーでは、過酷な現場でも、常にわたしのことを気遣ってくれました。
毎日毎日「いや〜ほんと助かってるよ。いつもありがとね」と優しい言葉をかけてくれました。

「どっか行きたいとこはない?」と、いつも楽しくいられるように、とても気配りをしていたのが印象的でした。

わたしがふと疲れた様子を見せると、「部屋でゆっくりするか〜」と言ってくれたこともありました。ストレスがたまらないように配慮してくれたおかげで、毎日楽しく歩き回ることができました。(※別々の部屋に宿泊)

毎晩、ミャンマービールを片手に、色んなことを語り合いました。
わたしの人生について久保田さんに相談し、素敵で温かい言葉の数々に涙したこともありました。

わたしは、ジャーナリスト志望でも、写真家志望でもないので、通訳のパートナーとして、友人として、対等な関係が築けた、というのはあったと思います。
久保田さんはジャーナリスト、私は通訳として、お互いの持ち味を活かし、お互いの責任を果たし、とても素敵な旅になりました。

伝えたかったこと

わたしがこれを書いた理由は、「人は多面的である」ということを伝えたかったのです。
「本当の久保田弘信」もいないし、「偽物の久保田弘信」もいない。

一人の人が見て、感じた一面だけの「久保田弘信」だけが世に浸透してしまうことは、あまりに危険なのではないでしょうか。

この告発により、久保田さんを取り巻く大きな環境は変わってしまいました。一人の人生が大きく変化しました。

我々は、久保田さんが犠牲※1になったことから、何を得られたのか、何が学べるのか、考えなければならないと思います。そうやって初めて、MeToo運動も、ただのゴシップではなくなるのではないでしょうか。

(山口由利加)


2019.03.05
ここまで多くの人に読んでいただけるとは当初思ってもいなかったので、感謝の気持ちでいっぱいです。
これを読んだ友人が素晴らしい指摘をしてくれたので、追記で記します。

追記1.「久保田さんが犠牲になった」という表現について

わたしは、一方の情報のみが拡散しやすい社会に生まれた犠牲者、という意味で「犠牲」という言葉を使用しました。
あくまで一大学生のわたしが考えていることですが、性犯罪を個人の告発で裁くことには、大きなリスクが伴うと思っております。

「男性は、いつ、自分のどんな行動が告発されてしまうかわからない」
「女性は、自分が告発した事実がまるで嘘かのように扱われてしまう」

せっかく勇気を振り絞って、被害者が声を上げても「本当かどうかわからない」そう言われてしまう現実もこの問題から生じていると思っています。

男女ともにみんなが苦しむ社会を、このままにしていていいのでしょうか。
苦しんだ女性が自分の声を挙げられる手段がSNSというリスクの高いものであっていいのでしょうか。

だからわたしは、個人の女性1人が行う告発を今後も継承すべきもの、としては捉えられません。今後の社会はどうやったらみんなが安心して暮らせるものとなるのか、常に考え続けなければならないと思っています。

(この件に関しては代替案を提示できていないので、現状を批判するだけの説得力にかける主張になってしまうこと、お許しください)

(ここで重い告白をすべきではないとは承知の上で申し上げますと、わたしも8年前に性被害にあって泣いた過去があります。今は、長年連れ添ってくれてた恋人のおかげで傷も癒えましたが、当時のわたしには勇気がなく何も行動ができませんでした。
だから、この告発がどれだけ勇気が必要で、精神的に苦しいことであるか、理解しているつもりです)

長くなってしまいましたが、この記事において「犠牲」という言葉は、一方のみの情報を、多くの人が真偽を確認せず拡散している社会における「犠牲」として使っています。



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