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水で洗える銅版画用インク

紙版画凹版刷りで使うインクは銅版画用のインクです。油性なので汚れた時の対応が大変です。また洗浄などに使用する揮発性油(ホワイトガソリンやテレピン、灯油など)の匂いが部屋に充満するのが気になって一般家庭で扱うのに抵抗を感じる方は少なくありません。
そうした問題を解決してくれるのがイギリスのクランフィールド社製の「セイフウォッシュインク」。植物性油をベースとした油性インクなのですが水と石鹸で洗い落とすことができます。
水で洗える銅版画用インクとしては、シャルボネ社が「アクアウォッシュ」という商品を出していますが、こちらは水溶性の油性エマルションベースということでクランフィールド社のものとは組成は異なるようです(詳しいことはわかりませんが)。

正直「アクアウォッシュ」は私には使いづらいです。その理由を述べます。
①インクがすぐ固まる。
画材屋で取り寄せたら未使用のうちから固まっており、返品交換してもらいました。
②滲みやすい。
凹版刷りでは作品用紙をしっかりと湿らせてから刷るものですが、アクアウォッシュは一般的な湿らせ方では滲んだり、裏抜けする場合もあるらしく加減が難しいようです。
③揮発精油が使えない。
紙版画の版は紙製なので水で濡らしたらふやけて使い物にならなくなります。

この点、フランフィールド社のセイフウォッシュは全く問題ありません。保管から刷り方まで従来のインクと全く同じように使うことができます。そして紙版画に有利なのが揮発性油でも洗い落とせるところです。手の汚れは水と石鹸、版を洗うのは揮発性油と使い分けることができるので、版を傷めることがありません。
私自身の制作に関しては一般的な油性インクを使っていますが、教員対象の研究研修会では授業での扱いのことを考えてセイフウォッシュを使用しています。

フランフィールド社のセイフウォッシュについてはネットで調べてもあまり情報が出ていませんが、私としては絶対におすすめです。

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