お花見

A.M.8:50 溢れ出る鼻水によって目が覚めた。

隣にはやりかけのゲーム機と可愛くないイビキをかくおともだち。その一定のリズムを刻む音とテレビのニュースの音が響く朝。
何時だろうか、テレビの人が時刻を伝えてくれないかなと耳を澄ましたがイビキでかき消されてしまうから分からな。
でも、澄ましたことで外の世界の生活音が聞こえてきた。

あ、今ちゃんと朝だ。

好きなアーティストさんのライブに行きルンルンだったとき、ともだちに呼び出されて行った夜の上野公園。
テレビでしか見たことがなかったお花見の戦場、しかも23時の上野には風情なんて、情緒なんて当てはまらなくて。

お酒のにおい、積み上がったゴミのにおい、
タバコのにおい、あと、微かにマーライオンしたブツのにおい。

酔っ払って叫ぶ人、人目を気にせずチューしまくる人、熱い話の後に握手をしている人、マジックをしている人、女子会をして彼氏の悪口を言っている人、寝てる人、泣いてる人、怒ってる人、笑っている人。

なんか、いっぱいだった。
いっぱいの情報にボーーーーンって殴られたみたいだった。
駅まで迎えにきてくれたともだちの後を取り残されないようについていく。コンビニで買ったお酒にあんな風に助けを求めたのは初めてだった。

そんな中でも桜たちはどっしり構えていて
なんだか余裕そうだった。
桜は、人間たちのことを非現実に連れていく何かがきっとあると思う。
自分たちの下に入れて、いつでも食べれるようにしているのかなって。
実は一緒に笑ってたりして。
いや、本当は同じように笑いたくって見つめてるかもしれないなって。

人間だけが見つめてはないと思うから。