山本博志

将棋棋士五段 27歳

山本博志

将棋棋士五段 27歳

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藤井先生

※深夜に書きました。気持ち悪いです。なるべく夜に読んでください。 王座戦二次予選で藤井猛先生と対局が決まりました。 B2以上の先生とは数えるほどしか対局していないですし、持ち時間5時間以上の棋戦では初めての事です。そしてその相手が藤井先生。 と考えると、物凄く運がいいですね。デビューから1年半になろうとしていますが、思ったより早かった。 率直に言って、「持ってる」と思います。あはは。 かなり嬉しいんですよね。噛み殺しています。 色んな所でチラホラお話させていただいてるんです

    • "群青日棋"内山女流初段⑦「私、自信がある時ほどそっと指すんです。」

      1週間に渡る連載も今日で最終回だ。 皆さま、読んでくれて本当にありがとうございます。 さて、将棋の内容。 激しい玉頭戦の中、内山が△12玉で自陣の危険度を正確に見切ってハッキリ優勢になったが、 福間が▲34飛の勝負手で混戦に持ち込むなど、 盤上は一進一退の攻防が続いている。 しかし、将棋というのは恐ろしく いかに混戦が長く続いているようであっても、 "命脈を決める一手"が急にひらりと姿を見せる事がある。 それは濃霧で曇りがかった盤上に一筋のまばゆい光が差し込むかのような。

      • "群青日棋"内山女流初段⑥「良い手を指されて分からなくなっちゃって」

        局面は激しい玉頭戦。 息もつかせぬ間に難解な終盤戦へ雪崩れ込んでいく… 内山は少し前からこの局面をイメージしていた。「凌げているかなと。」 結論から言えばその感覚は正しく、一気に後手玉を寄せる手立ては難しかったようだ。 ▲23角△21玉▲54と、 待望のと金の活用だが、この場合は△42金引がピッタリで堅い。 ちなみに▲23角の王手を決めずに▲54となら、△26歩が厳しかった。局面はどうやら内山が優勢のようだ。 しかしここで福間は簡単には土俵を割らない… ▲34飛!と虎

        • "群青日棋"内山女流初段⑤「終盤におそれはない」

          前回指了図の△35歩からは、 最強の手(=最速の手)以外は許されない展開。 騎虎の勢いでお互いの駒が激しく火花を散らし合う…玉頭戦である。 △36歩▲同金△同角成▲47銀打… この辺り、内山は形勢に自信を持っていたようだ。「先手先手で攻めているので、いけそうかな〜と。」 相手は超トップ女流の福間だが…? 「あんまり、気負いとかプレッシャーとかは感じないタイプで、この時も盤上に集中出来ていたと思います。」 棋士は様々な感情を必死に振り払って "盤上没我"の境地を目指すもの

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        藤井先生

        • "群青日棋"内山女流初段⑦「私、自信がある時ほどそっと指すんです。」

        • "群青日棋"内山女流初段⑥「良い手を指されて分からなくなっちゃって」

        • "群青日棋"内山女流初段⑤「終盤におそれはない」

          "群青日棋"内山女流初段④「ここはまぁ、△35歩かなって」

          前回指了図、福間の▲47金に対して、内山が指した自慢の一手は…? じっと"△67歩"。 これが味わい深い好手だ。▲68飛を消しているのが直接の意味だが、内山の読みは更に深い。 「この後間違いなく△95飛と切って質駒の角を手に入れる事になるなと思って。 その時に△67歩を置いてあれば、△69 角が急所のラインになると思った。」 こういった事をパッとイメージする能力は、いわゆる、"構図を描く"という能力だと思う。 この能力は一朝一夕には中々身に付かない。暗記で身に付くようなも

          "群青日棋"内山女流初段④「ここはまぁ、△35歩かなって」

          "群青日棋"内山女流初段③「まぁ大丈夫かな、と思いやすい(笑)」

          指了図から少し戻るが、福間の仕掛けに対して筆者の第一感は△86歩や△84飛▲94歩△74飛など、素直には応対しない指し方だった。 それを全て"同歩同歩"で応対したのだから、堂々としているな、と感心した。内山は、 「感覚的に、"まぁ大丈夫かな"と思いやすい。(笑)それが上手く行く時もあれば、潰れちゃう時もあるので、課題でもあります。」 本譜はその大局観がいい方に働いた。前回指了図の▲95角に△64銀が、 「ギリギリバランスを取れていて、いい形かなと思った」 という、駒を目一

          "群青日棋"内山女流初段③「まぁ大丈夫かな、と思いやすい(笑)」

          "群青日棋"内山女流初段②「穴熊の戦いがあんまり好きじゃないんです(笑)」

          2.「穴熊の戦いがあんまり好きじゃないんです(笑)」 2023年の9月18日に行われた、岡田美術館杯第50期女流名人戦挑戦者決定リーグ、福間香奈女流五冠ー内山あや女流初段の一戦。 福間は4-0、内山は2-2という状況で迎えた本局は、まさにリーグ中盤の山場ともいえるシチュエーションだった。 筆者がまず注目したのは内山の力みの無い自然体の駒組み。「後手番だし、序盤は付いていく感じかなと。」王者相手にも堂々たる姿勢。 銀冠や左美濃を好んで指す印象があったので、"銀冠が好き?"と聞

          "群青日棋"内山女流初段②「穴熊の戦いがあんまり好きじゃないんです(笑)」

          "群青日棋" 第1回 内山あや女流初段「知的で寡黙、だけど天真爛漫」

          1.「緊張する事ってあんまりないんです」 "内山が福間に勝った" 昨年、秋に差し掛かろうかという季節、期待の若手が第一人者から挙げた金星がコアな将棋ファンの注目を集めた。 筆者が"群青日棋"を始めるにあたって、同じ東竜門役員に取材するのが自然かなと考え、それならあの一局かなと真っ先に浮かんだのが福間ー内山戦だった。 内山はこの企画の話に前向きに乗ってくれて、思い出の一局はやはりあの福間戦、とすぐに決めてくれた。 第一印象は知的で寡黙な印象だった内山だが、会話が進むにつれ

          "群青日棋" 第1回 内山あや女流初段「知的で寡黙、だけど天真爛漫」

          目の手術をしました

          皆さまにご報告というか、打ち明け話と言いますか、朗報?があります。 実は、先週6/8に目の手術をするまで、2019年12月から約3年半程の間、右眼を実質失明していました。アトピー性白内障という病気です。 左眼を閉じると、右眼の視界は真っ白に濁っていて何も見えないという状況でした。 人間、片眼でも案外なんとかなるものですね。笑 アトピー自体が良くなるまではなかなか手術が難しく…。時間が掛かってしまいました。 髪を短くしたのもそのためです。術後すぐは洗髪洗顔禁止だったので。勢い

          目の手術をしました

          渡辺明先生の芸術

          我々の世代からすれば、"渡辺明"その人は強さの象徴である。 さらに言えば、明るいトーンで繰り出されるユーモアに溢れたマシンガントーク。あれほどの立場でありながらファンサービスの意味も込めて踏み込んだ発言をする事の凄さは、棋士になった今ならよく分かる気がする。 リスクを取る事より大事な何かを取っているという事だと勝手に推察している。 子供時代からのお手本であり続けている渡辺将棋は、多面的な強さを持っているが「堅い、攻めてる、切れない、勝ち。」のフレーズで集約できるような観る

          渡辺明先生の芸術

          五段昇段

          2023年4月。 お久しぶりです。 ほんっとうにお久しぶりです。笑 初めましての方もいらっしゃいますよね。 わたくし、将棋棋士の山本博志と申します。 26歳になりました。プロフィールも変えなきゃなぁ。 生意気にカッコつけて超短くしたプロフィール。もう一つ変えなきゃいけない事があります。五段になりました! 100勝70敗。若手なのに渋い成績です。でもキリが良くて綺麗な成績です。少しだけ気に入ってます。 70敗もしたら、強い人なら210勝してますよね。7割勝つなんてどんな気持

          五段昇段

          22勝14敗

          ご無沙汰しています。 成績が切り替わる年度末です。 そして今年初の投稿ですかね、あーびっくり。もう春ですよ。 なぜ今まで何も書かなかったのか… なんでだろう。ぼっーとしていたと言うか… あまりあれこれと思い詰めなくなったからだろうか? 成長か逃避か、よく分からない。とにかく今年は深く思い悩んだりしていないような気がする。うん… しかし、そうしているうちに、その事自体が悩みになったりして。生きるって大変です。 ーー 「こんなんじゃダメだ。」「まぁしばらくはこんな感じで仕

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          2021年

          12月27日。年末である。ここ数日ぐっと寒くなって、「寒い」と口にする回数が増えた。澄んだ空気を全身に浴びて、ぶるぶると身体を震わせる。不思議と悪い気分ではない。 2021年。今年は特に何も成し遂げる事が出来なかった。ただ、少しずつ自分を取り戻す事が出来た。将棋はあまり勝っていないが、焦りもそんなにない。来年からは結構勝つ気がしている。 昨年末は、夜は寝れない、2日に1回はほぼ動けない、動画も集中して観れないのでインスタのリールみたいな動画しか観れない。という状態だった。

          佐藤康光先生の将棋

          第47期棋王戦挑戦者決定トーナメント、郷田真隆九段対佐藤康光九段。 まさしく驚天動地の銀の舞であった。 2021/11/24 という日は、将棋ファンの記憶と心に残るべき一日となったと言っても良いのではないか? 会長の 銀が暴れし棋王戦 11月24日は 暴銀記念日 。。 朝から終局に至るまで、プロである自分も"怪鳥" "暴銀"などとファンの方々と一緒に楽しんでしまった。(正直、棋譜を並べながら自然に笑顔になってしまう。) この一局は評価値を追うと「奇天烈な作戦から劣勢にな

          佐藤康光先生の将棋

          「"【10人限定】近藤誠也七段との5分間のビデオ通話権"を考えてみた」

          東西の新将棋会館のクラウドファンディングに於いては、沢山の将棋ファンの方々にご支援を賜り本当に感謝しています。ありがとうございます。 寄付をする事で得られる様々な特典の中でも目を引くのが、本稿のタイトルにもなっている「"【10人限定】近藤誠也七段との5分間のビデオ通話権"」である。 https://readyfor.jp/projects/shogikaikan01 この特典の凄いところは、なんとこの私、山本博志も彼とはビデオ通話をした事は無いということだ。そして今後も

          「"【10人限定】近藤誠也七段との5分間のビデオ通話権"を考えてみた」

          浮き足立つ

          少し涼しくなって、もう秋である。本当に時間が経つのが早い。将棋を指していないと、この過ぎた時間に何も残らないような気がしてしまう。棋譜が残るのが将棋の素晴らしいところだなと改めて思う。 昨日の対局に勝ち、7連勝である。なんということか。 体調が持ち直したのも大きいが、特筆すべきは後手三間で7連勝している点である。やはり後手ノーマル三間飛車には、後手振り飛車界の救世主たりうるポテンシャルがあるのだろう。戦法が素晴らしいのだ。 最近は他の方のノーマル三間飛車の勝率も良いような気

          浮き足立つ