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【旅行記】函館⇔大間 フェリーでマグロを食べに行く②

旅の基本情報

日程:2023年06月04日(日)
目的:まぐろ&本州最北端
函館からフェリーで日帰り
ひとり旅

徒歩で行く!本州最北端「大間崎」

今考えると、バスで行けばよかったなと思うし、電話でタクシーを呼んでも良かったなと思う。
でも私は大間フェリーターミナルから大間崎までを徒歩で行くことにした。

制限時間は2時間

大間に着き最初にやるべきことは、出航までの残り時間の確認である。
復路のフェリーの出航時刻は13:40。この時点で私はなぜか13:20分までに戻ればいいと勘違いしていて(←その時刻に戻ればいいのはオンライン予約の人だけだよ!)残りは2時間20分だと思っていた。
2時間以上あるとはいえ時間は限られている。安心のために復路のチケットを先に発券してもらおうと思ったら、受付カウンターには誰もいなかった。
ボタンで呼び出して聞いたところ、チケットは出発前に発券するので今ではないと。そして受付は12:00からで、遅くとも13:00までには戻ってきてくださいとのことだった。
ぐぬぬ。この時点で2時間20分あると思っていた制限時間が2時間に減ってしまったのだ。
全ては二日前までにオンライン予約しなかったのが原因なのだが(しつこいようだけどオンライン予約の人は〆切が13:20だよ!)思わぬ誤算である。

カウンターには受付開始時刻が掲示されていた

スタッフが去った後、カウンターをよく見たら受付開始時間がきちんと掲示されていた。それも赤字で目に付くように書かれていた。無駄に呼び出してゴメンよ係りの人…。

タクシーはいなかった

フェリーターミナルの建物を出てぐるりと見回すと左側には海があり、正面には小さな駐車場。右側にはよく見ないとわからないけれど道路があった。高い建物は見当たらず、思っていた以上に何もない町大間。
ひょっとしたらフェリーターミナルの前にタクシーが停まっているかもと淡い期待を抱いていたが、この様子だと望み薄。時間もない事だしさっさと頭を徒歩に切り替えて、先を急ぐ。

フェリーターミナルすぐそばの海
天気が良いためか、青く美しい海だった

googleMapによると目的地までは徒歩41分。予め調べていたし、40分程度なら全然歩ける距離である。

これから歩いて大間崎へ向かい、美味しいまぐろを食べて13:00までに戻って来なくてはならない。
行動可能な時間は2時間。すでに諸々で時間を使っているので実際のところ残り2時間を切っている。かなりギリギリのスケジュールである。

フェリーターミナルから大間崎まで

小さくて静かな町

大間は小さな町で、観光資源もほとんどないのだと事前の調べで分かっていたが、実際歩いてみると思っている以上に何もなく、その事実に圧倒される。
大間崎までの道すがら目に入るのは、海、カモメ、住宅、廃屋、雑草、スナック、これでほとんどである。
勿論たまたま自分の歩いた道がそうだっただけかもしれないのだが、あまりにも人気がなくて、静かで、その事にとても驚いた。
コンビニは1件も見なかったし、唯一見かけた小さな商店は休業していた。
大間崎付近に近づくまでにすれ違った人は片手に数えられる程度で、車もほとんど走っていなかった。海の上ではしゃぐカモメたちの方がよっぽど多いのである。

海沿いの道。遮るものがなく空が広い。

強い風の音と自分の足音を聞きながら住宅地をてくてく歩いていく。道は悪くない。歩きやすい道だ。
海は緑がかった青色で、穏やかな雰囲気。高い建物が無く照り付ける太陽が少し暑くて、本州最北端という北の地にいるはずなのに、沖縄の田舎にいるような気持ちになった。

40分の道のりは初めての土地への好奇心も手伝ってそう苦には感じなかったが、行けども行けども同じ風景であるため、途中から進んでいないような気がして少し不安になる。
住宅地を歩くか、海沿いを歩くかくらいしか選択肢がないが、本当にどこまでも似たような風景が続いているのだ。

たまに出てくる表示に元気をもらう

本州最北端の地

最北端の地が近づくと少ないながらも観光客の気配がし始める。最北端の碑の周辺にはいくつかの飲食店と土産物屋があり、逆に言うとその場所以外には何もない。外から来た人たちは必ずここに集まってくるからだ。

「本州最北端の地」の碑

堂々とした碑
「こゝ本州最北端の地 」と刻まれている

最北端の地の碑は海沿いの開けた場所に鎮座していた。
海沿いであるからか、風がとても強く、強風に煽られてしっかり立つのもひと苦労。
昨冬訪れた北海道最北端「宗谷岬」でも強風でえらい目にあったが、ここ本州の最北端「大間崎」もかなりの強風が吹き荒れていた。

まぐろモニュメント

最北端の碑のすぐそばには、大間の象徴ともいえるマグロ一本釣りを模した「まぐろモニュメント」がある。

力強い印象の「まぐろモニュメント」
「まぐろ一本釣の町 おおま」とある

目の前の土産物屋にはポスターが貼られていて、これがなかなか迫力のある絵柄で大変良かった。

土産物屋のポスター
魚の跳ねる様子と筆の勢いが素晴らしい
荒れ狂う海と神々しい稲光。
海の男の誇りを感じる

よく見ると、まぐろ漁の名人の言葉が書かれている。
「まぐろを釣るんではねぇ。まぐろに選んでもらうんだ…」

まぐろ漁名人の金言

ちょっと面白味を感じてしまったが、THE海の男という感じで良いではないか。最近こういうトーンの言葉ってなかなか見ないよね。

すっかり気に入ってしまってグッズがあれば是非買いたいとまで思ったが、時間に追われている事を思い出して思いとどまる。
既に碑とまぐろモニュメントの撮影で時間を使ってしまっている。急いでマグロを食べてフェリーターミナルに戻らなくてはならない。

人生で一番のまぐろ

まぐろ漁師の名言に後ろ髪惹かれながら、付近の飲食店の吟味を始めた。
数少ないとはいえいくつか選択肢があるが、迷っている暇はない。
前日に函館の行きつけのバーで美味しかったという店を教えてもらっていたが、店の駐車場を見ると大きな観光バスが停まっていた。
団体客がいるという事は、もしかしたらスムーズに食事が提供されないかもしれない。
迷ってはいられないので即諦め、周辺の飲食店を見て回ると、小さいながらも感じのよさそうなお店があったのですぐにそこに決めた。

店の名前は「シーフードカフェ ナギサ」。
優し気なお姐さんと可愛らしいお姉さんが二人、丁寧に接客をしてくれた。
店内には所狭しとバイク+お客の写真が貼られていた。バイク乗りが良く来るらしい。

今の時期のおすすめを聞いて「まぐろ+うに丼」に即決。3,000円である。
函館の観光客向け海鮮丼で慣れているが、観光地の海鮮丼って結構高いよなと思ってしまう。
だが、その気持ちは出てきた丼を見た瞬間に吹き飛んだ。

シーフードカフェ ナギサ
まぐろ+うに丼3,000円

よく見てほしい。どんぶりにこれでもかと言うほど詰め込まれたマグロである。どれも分厚く切られており、赤身もトロもしっかり入っている。言うまでもなく鮮度はばっちりである。
関東の海鮮居酒屋で本鮪の刺身を頼んだ場合、この分厚さでこの量、同様のクオリティの物を出すとなると3,000円は超えるだろう。いや、そもそもこんなにおいしいマグロは食べたことがなかった。これまでの人生で食べたマグロたちとは別物である。
加えてこのウニも、ほんのりと昆布の味がしてとても美味しかった。
味付けをしているのか聞いてみたが、処理のために塩は使われているが味付けはしていないと言っていた。「昆布を食べてるのかもね」と姐さんが言っていたが、おそらくその通りだろう。海の中でウニ自ら下味をつけているのである。

人生一番のマグロ丼をぺろりと平らげたところでタイムアップ。フェリー乗り場に向かう時間である。というか、ちょっと時間を超えている。
急いで会計を済ませて店を後にし、私はかなりの早歩きで帰りの道を急いだ。

が、しかし…
ここにきての強風である。風が、まじで、本当に強すぎるのである。
歩くのが大変な風なんて、関東で暮らしているとなかなか出くわさない。台風の日くらいだ。
足を踏ん張らないときちんと歩けず、帰り道の進みはどんどん遅くなる。
このままではフェリーに間に合わない。
フェリーに間に合わない=今日中に函館に戻れない=今日中に羽田に戻れない。明日は月曜日。もちろん仕事が待っている。
タクシーは走っていないし本当にどうしよう……!と半泣きで歩いていたところ、運良くタクシー会社の事務所を見つけた。
この時点で、フェリーのカウンターで言われていた約束の13:00は既に超えていた。

救世主「大間タクシー」

地図で確認してみると、帰り道の2/3くらいまでは来ていたようだ。
駐車場には一台のタクシーが停まっていた。事務所の扉をノックすると、受付のお姉さんはすぐに運転手を呼んでくれた。

車は早い。5分足らずでフェリーターミナルに到着。

後になって気付いたが、大間崎で出発が遅れた時点で電話でタクシーを呼べば良かったのだ。焦って冷静さを失っていた。

フェリーターミナルに戻ると一本釣りにされたマグロが迎えてくれた。
ちょっと大変な目にあったけど、私はまたここに戻ってきたい。
そして今度は絶対に、まぐろ漁師の名言グッズを買うのだ。

ふたたびのマグロ

おわり


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