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作家の習慣

 執筆に行き詰まると、いつもウィルス入りの注射を打っている。ウィルスによって体内に運ばれた遺伝子が活性し私の体内で化学反応が起こる。すると不思議な事に創作意欲が湧いてくる。ウィルスが体内で暴れてる間は無敵だ。何でも書ける。

最近は注射の打ちすぎで、体内に抗体が出来て市販のウィルスが効かなくなってきた。まずい。このままでは何も作れなくなってしまう。

テレビで謎のウィルスのニュースを見た。ある土地に生息する羽虫に刺されると血液ごしに感染する被害が広がっている。新しいウィルスを手に入れる絶好のチャンスだ。感染する為にその土地を訪ねると、誰もいない。黄色テープで立入禁止と書いてある。そのテープを潜り抜けると巨大な沼地を見つけた。周りには見たことのない羽虫が飛んでいる。チクリと肌に無数の痛みを感じた。

これで私も感染者だ。

自宅に帰ると創作意欲が湧いてきた。パソコンの電源をつけて、執筆の準備をした。
外からドアをノックする音が聞こえる。ドアを開けると防護服を着た男達に囲まれた。
「目標確認しました」
私は捕らえられ、研究所に連れて行かれた。

無数のウィルスを取り込んだ私の体には、新型ウィルスに対しての抗体が出来ていた。私は研究対象として施設に閉じ込められた。

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