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【読書感想文】街と田舎、ねずみ二匹の心温まる交流『ピーターラビットシリーズ ⑨ 街ねずみジョニーのおはなし』

ベアトリクス・ポターのピーターラビットシリーズの一編です。本書では、田舎ねずみのティミーが偶然街に運ばれ、そこで出会う街育ちのジョニー。互いに全く異なる生活環境と価値観を持つ2匹のねずみの出会いが、じつにユーモアたっぷりに描かれています。

そんなティミーとジョニーの出会いから始まるこの作品、実は、田舎者と都会人の文化の違いが浮き彫りになっていくストーリーなのです。食べ物、遊び、生活スタイルに至るまで、ティミーはジョニーの振る舞いにカルチャーショックを受けています。それぞれの価値観の違いが、絶妙な緩急をつけて物語を引っ張っていくわけですね。

クライマックスでは、チミーの田舎へのこだわりと、ジョニーの都会愛がちょっとした対立を生みます。この行き違いにも一種のおかしさが感じられました。

本作は、ピーターラビットたちの住む農村のエッセンスは踏襲しつつ、斬新な視点からの世界の広がりを存分に楽しめる作品に仕上がっていると思います。

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