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【読書感想文】神代の秘奥が呼び覚ます、運命の決戦『七つの魔剣が支配するX (電撃文庫)』

電撃文庫から刊行された魔法バトルファンタジーの第10弾。本作は長期にわたる決闘リーグの終盤戦を舞台に、主人公オリバーと彼の同志たちが仇敵デメトリオとの最終決戦に挑む様子を描きます。

物語はゴッドフレイとレオンシオの因縁の決着、そしてキンバリー学園の新たな学生統括の誕生で幕を開けます。一時の静寂の中で、オリバーは行方不明のユーリィを案じつつ、デメトリオへの対策を練り上げます。一方、教師たちの捜査が進む中で、彼らは迷宮四層の原野でデメトリオと対峙しますが、用意周到な策も神代の秘奥の前には無力であり、絶望的な戦況の中でオリバーの過去が暴かれていくのです。

本作を読んで、私は特に、オリバーの内面の葛藤と成長に心を打たれました。デメトリオとの戦いもただの力のぶつかり合いではなく、戦略と心理戦が絡み合う複雑なものであったことも印象深く残っています。

緻密でありながらも読みやすく、登場人物たちの心情を巧みに表現した作者の筆致は本作でも健在。特に決闘リーグの緊張感あふれる描写は、一貫して物語へ大きく引き込む力を持っています。魔法バトルファンタジーとしての面白さはもちろん、登場人物たちの人間ドラマにも焦点を当てており、そのバランスの取れた構成が本書の大きな魅力と言えます

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