見出し画像

【読書感想文】吹雪の夜、兄弟の心は一つに『ひかりの素足』

宮沢賢治の生前には未発表だった作品です。この物語は、炭焼き小屋で目覚めた兄弟、一郎と楢夫の冒険を描いています。彼らは父の知り合いである馬方によって家に連れて帰られる途中、吹雪に遭遇し、最終的には雪に覆われてしまいます。

この物語のテーマは、家族の絆と自然の力、そして人間の強さと脆さです。一郎と楢夫が直面する自然の厳しさは、彼らの身体的な限界を試すと同時に、兄弟愛の深さを浮き彫りにします。物語を読み進める中で、私は彼らの旅路が、ただの物理的な移動以上のものであることを感じました。それは、彼らの心の成長と、互いへの信頼を育む旅でもありました。

読書体験としては、賢治の言葉の選び方や描写の巧みさに感動しました。彼の文体は、読む者を物語の世界へと引き込み、一郎と楢夫の感情をリアルに感じさせます。特に、吹雪の中で楢夫を抱きしめる一郎の姿は、読んでいる私の心にも深い印象を残しました。

この作品を読むことで、賢治が伝えたかったメッセージを新たな視点から考える機会を得られました。家族の絆の重要性、自然との共生、そして人間の内面の強さについて、深く考察することができるでしょう。また、賢治の他の作品と比較しても、この物語は独特の雰囲気を持ち、彼の作品群の中でも際立った存在感を放っています。

賢治の繊細な筆致と、彼の作品に込められた深い愛情を感じ取っていただければ幸いです。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?