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#48140の謎

あの一本

Charさんといえば
白いMustangのイメージが
強いと思うのですが
私の中ではもっと思い入れの深い
ギターがあります。

Matching Head Stockで
Burgundy Mist Metallicの
Stratocaster(#48140)がその一本。

解き明かされる謎

長い間詳細が不明のままでしたが
2017年の夏に来日した
Fender Customshopの
Master Builderである
Paul Wallerのプロファイルにより
1959年製とされた。

公式で1959年製とされた事から
長年関係者に聞いてきたことや
推測していた事が繋がってきたので
追い求めて約30年経った2023年に
記憶の整理をしておくことにした。

Charさんが一番気に入っている
Burgundy Mist Metallicの色ですが
#48140は
・ボディシェイプが若干崩れていること
からリフィニッシュです。
また
・カスタムカラーに見られるアンダーコートがないこと
・トップコートのラッカーによる変色が見られないこと
からファクトリーリフィニッシュではない
ことがわかります。

またヘッドのデカールも
アフターマーケットでよく見るものに
変わっているので
ヘッドもボディと同時期に
塗り直していると推測されます。

1962年にJaguarが発売され
これ以後Matching Head Stockが
巷に出回り
当時の所有者がStratocasterも
1962年以降に
塗り直したくなったのではないか
という推測です。

シリアルナンバー

交換可能な部品ですが
Charさんが入手した80年代初頭には
マーケットでは
あえて変える必要もない
部品である事から
オリジナルと断定すると
#48140は1960年製となります。

写真は僕がオーダーした
#48140のレプリカプレートです。

ネック

#48140には

鉛筆書きかれたネックデイトがない

と約30年前に#48140を調整した方(※1)から
聞いた事があります。
Fenderのビンテージには
時よりネックデイトやボディデイトの
ないものが存在します。
指板がスラブ貼りされた
1959年9月から約1年間
鉛筆書きされなかった時期がありますが
その理由で1959年製と断定するのは
エビデンスに乏しいものがあります。

なお私の所有するStratocasterは
本当であればスタンプが
押されている時期のギターですが
その形跡がありません。
私の場合はデカールがオリジナルである事や
ネックシェイプやポットデイトから
1962年製としています。

では他の要素から
年代を推測できないかと考えると
CharさんがFenderのインタビュー(※2)で
#48140のネックシェイプを

あの子はけっこうシュッとしてて、美人さんていうんですかね(笑)。八頭身で。

とコメントしています。

私の経験では
結構シュッとしているネックは
1960年製のネックに多いです。

その事からネックも
1959年製ではなく
1960年製の可能性が高いと思います。

ボディ・ピックガード

フィニッシュの項目で述べましたが
ボディシェイプが若干崩れています。
・塗装を剥がす際に崩れたこと
・ボディを差し替えられていないこと
からボディ材は
当時のFenderの製品使用状況や
塗装の剥がれからみても
AshではなくAlderです。

ピックガードは
入手時期から考えると
推測の域を出ませんが
1982年からFender Fullerton工場で
作られていた
American Vintageの
57スタイル用ではないか
と思います。

ではアメリカ人が替えた時
なぜ62スタイルではなかったのか
の推測ですが
歴史的に1959年のStratocasterには
8点止めもありますが

深く考えずに店にあったものを使った。

が正しいのではないかと思います。

この推測に至ったのは
前述の約30年前に
#48140を調整した方から

ボディは11点止めの
キャビティじゃなかったかなぁ…

と、聞いた記憶がある事からです。
この点からも
#48140は1960年製ではないかと
推測しています。

ただ、Fender Customshopから
発売された
Char Stratocasterのボディは
8点止めのキャビティになっています。
これは現在のFenderでは
1959年モデルで
8点止めのピックガードをつけるのであれば
8点止めのキャビティが合理的
という判断からではないか
と推測しています。

結論

・Charさんの#48140は
 リフィニッシュの1960年製。

・Paul Wallerのプロファイルは
 MasterbuildのStratocasterにしか
 反映されていない。
・Masterbuilderといえども
 Vintageに明るい訳ではない。
・あえて書かなかったですが
 アッセンブリーは
 オリジナルではないと思います。

※1 オフレコの発言なので毎日新聞のようなことは致しません。
※2 https://fendernews.jp/cover-may-18-char/

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