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精進料理に目覚める3歩前 #71 フユヲマトウ

無頓着街道をとことん突き進むワタクシが身に纏うものを選ぶポイントは快不快であってそれ以外のポイントにどうやら深い意味を求めていない

素材がチクチクするもの辛うじて肌を守る水バリアから水分を奪い取るもの締め付けのキツいもの
これらの不快を無視してみたところであっという間に不調の彼方へ送り込まれる運命にある

何故だか化学繊維なるものに触れると魂までブルブルと震え出して瞬く間にワタクシは"ミノケモヨダツ"に変身してしまう

魂の溶解によって変身した妖怪である

ミノケモヨダツ

ワタクシが“ミノケモヨダツ”に変身せずに済む為に守ってくれるのが“コットン”と“シルク”であるらしい

綿と正絹

オーガニックコットンと着物リメイク品にトコトン依存して生きていこう

盛夏にご当地もの追いかけ始めた読書は秋に京都へ辿りつく

京都を舞台としたマンガや小説を読み漁りながら
出逢った千早茜さんの小説にすっかり魅せられてしまったのはワタクシの五感である

クローゼット

17世紀から現代までの主に西洋の服たち“身に纏う芸術品”が一万点以上も収蔵されているその美術館には18世紀から20世紀の矯正下着コルセットや手編みのアンティークレースや1950年代のバレンシアガのコートにイヴ・サンローランがディオールにいた頃のドレス、デパートの高級フロアに並んでいる服から現代のファストファッションまで膨大な数の洋服たちがゾロゾロ並ぶ
"完璧なクローゼット"
である服飾美術館を舞台に服とココロのイタミを装いの自由を描いた物語


知らない世界の知らない知識、知らない単語
ひたすら初めましての連続である

服のイタみに寄り添う“補修士”というお仕事
刺繍が男性服の為に施されていた時代
お洒落の為に服にカラダを合わせていた時代
高級品であったレースが手編みされていた時代

“オートクチュール”の意味さえちんぷんかんぷんであったワタクシはとにかく検索を繰り返す

フランス語で haute(オート)は「高い」「高級」を意味する形容詞 haut(オー)の女性形、couture(クチュール。女性名詞)は「縫製」「仕立て服」のことで、高級仕立服を意味する。オートクチュールとは、パリのサンディカ加盟店のメゾンにのみ用いられる言葉である

Wikipedia

小説『クローゼット』の中で遭遇した単語のひとつが“ジレ”である

またしても検索対象単語であるが ありがたいことに会話の中で身近な単語に変換されている

『チョッキ』

これならファッション音痴のワタクシでもイメージ可能である 
チョッキでベストな衣類がジレなんだとか


ここからはヨウジョウがベストなジレを纏えるよう仕向けてみよう

冬養生

大いなる地球大いなる宇宙に生を受けたニンゲンなるイキモノをグググっと視点を宇宙の外まで飛ばして見つめてみると地球の一部であって宇宙の一部である


ニンゲン

それならば

宇宙や地球や自然のリズムにニンゲンもフィットさせて行った方が生きやすいじゃないかと提案してくれるのが『天神合一』である


この提案に加えて

ニンゲンのカラダは常に自然界の陰陽に影響を受けているんだから自然の陰陽バランスを引用してカラダの陰陽をコントロールすればココロもカラダもバランス取りやすく健康をキープしやすくなるんじゃないかと『陰陽平衡』は提案してくれる

この提案を掛け合わせてなんとか冬を乗り越えて行きたい


凍える寒さに耐えながら黙々とエネルギーを蓄え芽吹く春を一心に待ちつづける

イキモノの冬の過ごし方である

のんびりと登場してそそくさと姿を消す冬の太陽から届く陽氣は限られている

陰の強い季節である

巡る季節の陰陽

先程から陰陽の話ばかり引用しているがそもそも陰陽のイメージがあやふやである

そのあやふやな陰と陽に宇宙や自然やニンゲンのカラダを振り分けてみる

陽だYOH

エネルギーに満ち満ちている陽を描こうと試みるワタクシから放たれた丸は多過ぎて
エネルギーを潜める陰に空白があり余る


カラダにも陰陽を引用する

上と下 背と腹

となる下半身が寒となるらしい

腹と下半身を意識して温めるべしとココロに決めたワタクシの脳はしれっと思いつく

“ジレ”

この暖冬に常に迷子になっている服の厚さを易々とコントロールして腹を冷えから守ってくれるかもしれない

とはいえ
妖怪ミノケモヨダツに変身する可能性のあるワタクシの肌に触れる素材でなければならない

身につけるまでに指先に触れる事を考慮すると
たとえ肌から数枚布を経た先に身につける予定であろうともやはり素材に妥協はしたくない

などなど
ぼんやりと考えてみたものの陰は極まりながらもぽかぽかと暖を届ける冬にすっかりその目論見を忘れてワタクシは暖を求めて旅に出る


ここのところ旅をする度に初めて降りるローカル駅にウハウハしている

この日降りた初めましては和歌山駅から数駅南へ進んだ駅である

改札を抜けた先に特産品売り場を発見する
その特産品売り場の先頭にカゴで並ぶ100円みかん
その後ろに何やら鮮やかな衣類?が並んでいる

荷物と共にゴロゴロ近寄ってみると並んでいる洋服はどうやら着物を解いて作られたものである

その中にしれっと列をなす幾つものジレ

運命出逢いを確信してココロを落ち着かせてひとつひとつ生地も形も違うジレを吟味してベストなジレをお迎えする


なんとリバーシブル

店員さんに伺ったところ店頭に並んでいる服やバッグは昔の着物をが生まれ変わって唯一無二のイッテンモノなんだとか

その全てが着物を綺麗に保管して丁寧に解いて仕立てを新たに生まれ変わったとは思えない程にワタクシのペッタリしたお財布に優しすぎる価格をぶら下げている

服の後ろにモリッとフックにかけられた鞄からもジレの色に映えるであろうのものを1つお迎えする


正絹

表も裏もツルッツルで滑らかな生地のバッグは外にも中にもポケットが付いていて テキストや水筒ストールやお風呂セットまでパクパク受け入れてくれる身軽で柔軟性に富んでいる優れものである

お値段なんと600円

艶やかな生地からは到底想像出来ないであろうお買い得プライスである

ローカル価格のお宝に出逢えるのも
初めまして下車旅』の醍醐味である


昔着物の生地がワタクシを妖怪ミノケモヨダツに変身させないものであると氣付いた頃からコツコツと目を奪われ指先が惚れ込んだ逸品をコツコツとお迎えしている

折角なのでこのまま魅せられた布を語ろう

ゲンシハンシャさんにカチコチに固められたカラダを弛めるためと大義名分を抱えて向かう温泉や銭湯へのお風呂衣装は奈良で出逢ったこちらを羽織る

羽織りと手拭い

森見登美彦先生に描き出される京都の銭湯や
マンガ『昭和元禄落語心中』に描かれる銭湯にすっかり魅せられているワタクシである

銭湯と言えば何故だか赤と紺の丸の整列する手拭いがセットで思い浮かぶ

旅先でお氣に入りのご当地手拭いを見つけては畑のお供にお迎えしてネジネジと頭に巻いて育ててきたワタクシであるが此のタビ京都の街中で出逢えた理想の銭湯手拭いを相棒にお迎えする

すっかり端のほつれも止まって今や立派に育った相棒を見たお風呂好きさんから素敵なお声がけ頂く事もしばしばである


お風呂代の大きな硬貨とドライヤー用の銅貨を2枚をすぐに取り出せるよう肩掛けの鞄にいれておく

紐をセルフアップデートしたこのバッグは奈良の街で出逢った優れものである

縦長の鞄の奥底で中の荷物が迷子にならぬよう鞄の中の生地に明るい色が採用されている作家さんの思いやりの詰まった親切鞄である

お値段なんと900円


冷えを呼び込むことが得意なワタクシが銭湯へ出かけられる季節は限られているがそのオーライを温かく見守ってくれる羽織りはどうやら絹であるらしい

そこまで寒くなければサム衣も銭湯のお供に最高である



そろそろ冷えに話を戻そう
キキョさんが得意とするのが腹の冷えであるらしい

ハラノヒエ

先ほど紹介したようにカラダは下半身が陰となる

カラダの陰陽

陰に寒があるので意識的に温めるべきは
"腹から下"となる

これまで必死にボフボフにダウンを着込んでみてもガッチガチに冷えて来た冬は温もりの配送先を大いに誤っていたようである

【下半身ぽかぽか計画】から始めよう


ひたすら綿のレギンスは化学染料を用いていない薄手のものと厚手のもの2種類
厚手のものは薄手のものに重ねても履けるゆったりサイズである

これまで氣にせず肌へ密着してきた化学染料ペイントの防寒衣類はワタクシのフユのスネにその皮を雪のようにしてホワイトウィンターを演出していたのかもしれない

どうやら吞氣に傍観している場合ではなかったようである

2枚に重ねたレギンスの上にぽってりと余裕のある厚手の冬用もんぺを履いたら完璧であろう

と極寒予想をしているものの
このnoteを描いている年末のワタクシの現在地の最高氣温は18℃である

南国フラワーであるブーゲンビリアが堂々と青空にそのピンクを掲げている

ブーゲンビリア

冷えに愛されているワタクシにはありがたい暖冬である

この汗ばめる冬を活躍の機会が乏しそうな分厚いアウターを持ち歩くよりも空氣の層を作り出す重ね着を上手く利用して乗り越えようと試みる

下半身ぽかぽか計画の方は順調であるのでぽかぽか計画は腹へ移行しよう

先ほど出逢ったジレの下に綿の長袖を着るとして
その更に内側でお腹を温めてくれる予定の腹巻きは琉球藍に染められて優しいアオを纏っている

腹巻き アームウォーマー

『琉球藍』は肌荒れ冷え性の強い味方となってくれて防虫効果、抗菌効果、消臭効果等も持ち合わせているんだとか

腹巻きにお腹を温めて頂いて腕はアームウォーマー着脱で体温調節を図る

冷えが狙いやすいニンゲンのカラダの部位は
“クビ”であるらしい

手首』『足首』 『』折角なので『くびれ』の出来るであろう辺りも含めた“くび”を上手く温める

『アームウォーマー 』
『レッグウォーマー 』
『ストール 』
『ハラマキ』

に各首の守護をお願いして
幾つもの綿を纏い重ねてジレで腹を囲み
上着を羽織ればベストな今の冬の装い完成である



外側の冷え対策が必要ならば
当然内側の冷え対策も必要である


陰の極まる寒そして冷えの冬
ワタクシの陰の強いカラダを陰に引きずり込むクール食材をひたすら回避する

サラダやお刺身などのナマモノは出来る限りお休みして ナマモノに加熱を促す

優しい食事でお腹にも冬休みを贈りつつ
冬の食ヨウジョウを仕掛けていく

食材選びは
お久しぶりの"シンドフジ"から始めよう

その土地にその季節に採れるものがカラダのバランスを整える『身土不二』

これをベースに
意識して摂っていきたい食材をざっくり2分類にしていこう

カラダの温スイッチをONにしてくれる
カラダ温め食材

温をON

メンテナンスBLACK食材
キクラゲ 黒豆 黒米 黒糖 黒胡麻
昆布 ワカメ ヒジキ ナマコ 牡蠣

メンテナンスBLACK

ワカメ ヒジキ 海苔はメンテナンスBLACKであるが同時にカラダ冷却食材であるのでノリノリで加熱をして行きたい

旬のカラダ温め食材やゲンキ付け食材として

『ヤマイモ』『海老』『高麗人参』『なつめ』
『椎茸』『ブリ』『マグロ』

これらの食材も大活躍してくれるらしい

ジングルベル鳴り止んだこの時期に寒さでキズつきやすい『腎』を語り出したら年を越してしまいそうなので未来のお楽しみとしておこう


今回は冬を纏う布noteである
冬の乾燥を纏った手先はケッキョさんにその隙を狙われて大抵カサカサのまま陰の季節を完走する

ささくれた手先は割り箸にすらカサカサと突っかかる

どうやらココロ穏やかに食事をするには手には滑らかな箸が必要なのである


クロエ

ニホンのクロエ
駅名の響きが氣になって調べたその地はどうやら紀州漆器の産地であるらしい

輪島塗りの響きが辛うじて頭を掠める程度のワタクシの塗り物知識に紀州漆器は当然ボキャブラリー外である

『初めまして下車旅』にモッテコイの旅先である

漆器エリアは
黒江駅からも海南駅からも徒歩で15〜20分くらいであるらしい

漆器街を散策しながらお邪魔した
紀州漆器伝統産業会館 うるわし館に展示されていたのは なんと紀州塗原付バイクである

鮮やか原付の写真を整理してしまう絶好調にうっかりなワタクシの目がうるわし館で何度も飛びついたのが林克彦さんのお箸である

何度視線を逸らしてみても何度でもそのお箸にピッタリと視点を合わせて行く執着は見事である

ここまで麗しいお箸に出逢える機会が初めましてである 大いに両手を広げて歓迎しよう


胡麻のひと粒さえも残さずに捉えられるその先端も魅力的である

ささくれと仲良くしてくれているその滑らかさに荒れた手先も大喜びである

美しい箸にはその美に相応しい衣を纏っていて欲しい そう願いながら箸を愛でつつ日々を過ごす

箸をお迎えして暫くしたある日
京の都で遂にワタクシのお箸の収まり先として完璧な衣に出逢えたのである


箸袋

紀州塗りアカを引き立たせてくれる箸袋と
今やもう再現不可能であるらしい鮮やかな昔のアカを中に潜めた箸袋はどちらも着物のリメイク品であるらしい

箸の魅力を引き立たせてくれる箸袋さん
箸袋の魅力を引き立たせてくれるお箸さん

装い新たにこれからも末永くワタクシの食養生のお相手をどうぞよろしく



エネルギーを蓄える冷たい冬にハルは着々と芽吹きの準備を始めているようである


のびる延びる
蕾むサクラ
よもぎ



スイートスプリング

先撮る春


生まれ変わる布

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