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【コラム】お金の増やし方を教えるのは誠実なのか

お金にまつわるハウツーや情報は世の中に数多と転がっております。

その方向性は大きく2つ。「稼ぎを増やすこと」と「貯蓄・資産を増やすこと」にわけることができるでしょう。

ご存じのように、「稼ぐこと」と「貯めること」は全く別次元の話。肉体でいえば筋肉を増やすことと脂肪を減らして痩せることくらい異なるテーマだと思うわけですが、情報を求める人がそのあたりをごっちゃにしているために、せっかくのハウツーを活かせていないというケースもありそう。

ダイエットの基本が「食べたカロリーは運動などで消費する」と単純化できるように、貯蓄を増やすのであれば「稼いだ以上に消費しない」というのが基本でありましょう。

一方、筋肉を増やしたいのであれば、「適切なトレーニングと栄養摂取」が重要といえるでしょう。これは「自己投資をして、労働環境を整え、より給与を上げる」手法と基本的には似ていると思ったりするのです。

もちろん「昨日より稼ぎ、昨日より使わない」という生活をしていれば自然と資産は増えてくるので「稼ぐ力」と「貯める力」を同時並行でレベルアップすると効果的なのも事実ではあります。ついでに言えば投資などで「増やす力」も欠かせません。

その意味では、すべての情報を得ることをナンセンスとはいえないのですが、ハウツーを実行して得られるのはどの要素なのかは、しっかりと認識していないと、結果に繋がらないとも思うわけです。

なにより大事なのは、世に出回っているハウツー的な情報は、けっして不変の真理でもなければ、絶対的な再現性があるともいえないと捉えておくことが重要では。これはお金に限った話ではありませんが…。

増やす力でいえば、株式投資において「株価が安いときに買い、高くなったら売る」という手法は資産増につながりますが、それは「テストで満点をとれば、希望の学校に入学できる」というくらい当たり前の話で、ハウツーといえるレベルの情報でないと思うのです。

こうした基本的な話に専門用語を散りばめて「ローソク足から底値を判断して、移動平均線から上がっていくタイミングを見つければ、誰でも株で儲けることができる」とか書かれると信ぴょう性が出てきて、役立つ情報のように見えるかもしれません。それがハウツー本の怖いところのひとつ。

なにより、成功した人が自分の体験をゴーストライターに書かせたようなハウツー本は、その人にとっては事実であり、同じ環境や才能を持つ人からするとマネすることが成功への近道かもしれませんが、誰もが同じ才能を持っているわけではなく、そこに再現性があるかといえば疑問。

もし、大谷翔平 選手が『僕が二刀流で成功した10の方法』という書籍を出したとしても、それを読んで実行すれば、誰もが大リーグで活躍できると考える人はいないでしょう。しかし、お金の話になると、ハウツーやテクニックで成功者をトレースできると考えてしまう人が多いような気がするのです。

すでに半世紀以上の時間は現世で過ごしている個人の印象としては、お金を稼ぐ才能、お金を貯める才能、資産を増やす才能というのは、アスリートの才能と同様に存在しており、情報を得たくらいで真似できるものではないと思うのです。才能を持っていて開花していない人にはコーチングを受けることは有効ですが、そもそも才能に恵まれていない人は情報ビジネスの養分にしかならないのでは? とも感じてしまう昨今。

エンターテインメントとして、お金に関するレクチャーを受けるのは金銭感覚を磨くという点においてプラスだとは思います。しかし「お金の増やし方」を、いかにも再現性が高い普遍的なものとして教えるのは誠実ではないと思ったりもするのですが、さて?

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