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デッドデッドデーモンズデリデリデリシア@板クシー

本居宣長と賀茂真淵が初対面でメチャ意気投合した夜は、松坂の一夜と呼ばれています。最近観た映画オッペンハイマーでもアインシュタインとでそんな感じのシーンがありました。

今回春公演で僕と2人芝居に挑みました後輩さんは、これまで話す機会がそ〜んなになく、稽古開始時点でほぼ初対面みてえなもんです。4月入ってからの事ではございますが、春公演の演出様より「2人は散歩でもして仲良くなって来てください」と命じられた僕らは、最寄りのスーパーに向かいました。

「声大きくて沢山喋る人怖いじゃないですか」「もっと他にいるでしょ声大きい人」「状況説明のツッコミするじゃないですか。本心じゃないですって感じがズルいなぁって思います」「確かにするかも。“その方が本体にダメージがいかないから”かもね」「それですよ」「あぁ…」

「じゃあ。ボクは君と仲良くなる為に、嫌いな物の発表でもしちゃおっかなあ!!」「ワ、サイアク」「“ご当地スーパーあるある”の話題になった時、店内で流れてるBGMを歌って安直にウケようとする人が嫌い」「別に良いじゃないですか…」

♫デリデリ デリシア~ ♫デリデリデリシア~

「じゃあ何か奢るくらいはしてやりましょう。センパイは偉いので」「やった」「こういう時、先輩が安い物買ってたらちょっと悲しいよな。1番高ぇ水買お…」「あ、やっぱ私良いです。さっき買ったんで」「え」「向こうで待ってますね。もう稽古始まるんで早くした方が良いですよ」「ケッ…」

「今行けますかね、行きましょう! スタタタタ…」「えー、結構大胆に道渡るね」「横に大きい人が居ると気が大きくなっちゃうので」「虎の威を、だね」「借る狐、まで言わないんだ」「慣用句は全部言わない方がカッコいい」「…プロレスラーがデッカい自転車とか乗ってたら見るじゃないですか」「え、それデカい自転車の部分余計じゃないか。てか小さい自転車に乗ってるプロレスラーの方が気になるし」

↑後輩さん初笑わせ。コレは後に「デリシアの昼間」と呼ばれる。(一夜の対義語調べたら毎晩って出てきた、そうじゃなくてさ…)

ま、おもしれ〜奴です。なんか虫嫌い過ぎて蟻にもビビるし。最高。ただ、この関係性って詰んでて、普通に接してても「まあ気を遣ってくださってますけど、」みたいに言うんですよこの人。それ言い出したら、あたしゃ全員に気を遣ってますよ。それを察知する同じ穴のムジナかどうかってだけで。だから、

きみも、

沢山喋る、

声の大きい人になるんやで…



あと、プロレスラー。

「全然ヤダ 全然嫌デス」とか言われそう。

“先輩だから高い水を買う”って小ボケ、実は本番直前までしれ〜っと擦ってて、いろはす110円とDyDoの水100円(12番講義室の所で買えるヨ)の2つを買って10円安い方を渡そうとしたんですが「私良いです。さっき買ったんで」って言われました。ナニコイツ! コノボクガ セッカク カッテキテ ヤッタ ッテノニ ヨォ~‼︎

はあ。今回の座組み(公演に関わってるヤツら)面白いですよね、てかホント面白いんですよ。4人いてWキャストですから初めに2人組を全パターン試したんです。僕から見た僕以外の3人は、ちゃんと“僕じゃない方”の感じですし、どう転がっても好きな人達です。で、全パターンの中でのウチらは、どうしようねーって言う。理想として僕が掲げ擦ってるのは「ギャルと学級委員、みたいな意味分かんない組み合わせの女子高生2人組の弾き語り動画」みたいなバズのフォーマット、あれ目指そう、って。そういう真っ直ぐじゃない仲良しさが伝われば、伝わってれば良いなって思います。「良い小説は読み終わった後、友達みたいに電話を掛けたくなる」ってなんか偉い小説家が言ったそうですが、客は友達じゃないけど友達になりたくさせたらウチらの勝ちなのかなぁとか。そういう感覚で入団届出してよ。迷ったまま白紙の入団届持って帰ってきちゃったんでしょ? いつでも良いからサ。でも、稽古場日誌読んでるような新入生はもう入団届出してるか… 例年いるんだよね、君みたいなヤツ。ヨロシクやで〜。

いやみんな思ってる事だけどやっぱ羨ましいよ、コレで入団する1年生。今回の脚本で僕がやったキャラ、寝たくない方、めちゃめちゃ仲良くなりたいよなぁ… 僕が今まで役者やったキャラクターは大体10人、鯖読んで15人いますけど(1公演での複数キャラも足せば、ね)、その中だったらぶっちぎりで親近感のあるキャラクターが今回の人です。

演出様と助演出様から「このキャラやってる所見たいんだよなぁ」と言われたのが、この公演のいっちばん最初でした。中々無いんですよ。コレやるんだったらこの人だよね!で名前が上がるほど太く色の濃い人間ではないので。だからありがて〜限りで、マジ。でも、脚本全体を通して感じられるスカシの面白さが中の人の個性とかじゃなくて、身内ネタに近いメタの面白さに転じそうな危うさがあって、書いたのが僕で僕がやって客がみんな僕のファンならそれで良いんですけど、今回の役でしんどかった点はそこかも知れないです。「個人的にはこうやったらメチャメチャ面白いけど、これは違うよね」「うん違うね」の会話は実際多かった。な〜んか稽古中もビビっちゃったなぁて。「子供のとき思い出して」という指示に「えーでも生まれた瞬間から聡明だったからなぁ」とゴネる聡明なチームですから、いやそれは違うねの感覚はうっすら共有されていて「コレは果たして要求を満たしてるのか?満たしてないよねゴメン!」のお気持ちでした。自分でキャラ設定に縛られちゃったなという情けない反省もあります。僕の実家では、寝る前に1日を振り返ってありがとうとごめんなさいをそれぞれ思い起こしてから寝ろという家訓がありました。それを均等に保てというのは中々難しく、この頃にもなると謝罪が多くなってきますが、演出陣の2人へは感謝もデカい。話は逸れますが、僕が後輩をビビらすとか、先輩に対して失礼な事を言うとか、粗雑な類のボケ、この2人が居ない所じゃそんなにしないしね。こちらからはオイオイが言える人として認識してます。そちらからの認識が粗雑な人であれば、そこは信頼感の表れだと思っていただきたい所存。

通年の公演のうち、春公演だけは経験が無く、今回が初めてでした。やっぱりされたいよね、新入生からチヤホヤ。自分が入学した時の春公演を思い返せば、ガイダンス時と舞台上との差で先輩への尊敬ゲージが一気に高まった記憶があります。今日の午後17:00にあります千秋楽(←最終上演の事)では思う存分ウチらの仲良しパワーを発揮するつもりですので、そこからギャップを作らなきゃいけません。後日、ガイダンスやら何やらオフの時に会った新入生から「な〜んだ、この2人本当に仲良かったんだ…」と思われちゃとんだ肩透かしです。だからごめん! 後輩さん、本当ごめんな。こんな仲良くなったのに。悪いけど春公演が終わったらメチャメチャ不仲の感じで接します。本当は僕もこんな事したくないんだけど、





以下、巣を作るハチの画像

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