見出し画像

耶馬渓の旅(2024.04.28)

「どこか行こうよ」

そんな漠然とした妻の発言が朝10時頃にあって、私は「そうだ、耶馬渓へ行こう」と提案した。そして反対意見も代替案もなかったので、私たちはめでたく耶馬渓へ行くことになった。

耶馬渓は「ヤバケイ」と読む。初めて聞くとだいたいの人は「え?ヤバいの?」と一瞬思うだろう。私もそうだった。でも危険でヤバいとか、ヤバい肉が食べれたりとか、ヤバい音楽が流れてたりとか、ヤバいカルチャーがあったりとかそんなのはない。そんな所だったら多分私はとっくにヤバケイに移住しているだろう。

耶馬渓は、大分県の北に位置する中津市の観光名所だ。風光明媚な渓谷で人気がある。日本三大奇勝として知られ、日本新三景に選定され、名勝に指定されている。

そんな耶馬渓だが、私の家からはけっこう遠い。車で1時間20分くらいかかる。行きの車内ではポケモンの歌ばかり何度も聞かされてうんざりした。途中、新緑溢れ、木が風にそよぎ、鳥がさえずる美しい風景を走る時間があったから、私はきっぱりポケモンの楽曲を流すのをやめ、自然の音に耳をすませ、外気を車内に取り入れた。

「ああ、なんて素晴らしいんだろう」と思った。絡まり合った心が優しくほぐされていく気がした。「ポケモンゲットだぜ」じゃねぇんだよ。

うちの長女(4歳)と次男(3歳)はその穏やかな沈黙に耐えきれず眠ってしまい、車内はささやかな静けさに包まれた。

しかし、その平穏も束の間。私はグーグルマップ先生に誘導されるがまま車を走らせていたが、山越えの道に入ったもんだから、だんだん道が細くなって、離合(この言葉は九州以外では流通していないらしい。要は車と車が道路ですれ違う事を指す)が困難な箇所がちょこちょこあった。

すぐに私は風景や鳥の囀りを楽しむ余裕がなくなり、心臓が縮むような嫌なストレスを味わう事になった。私は狭い道というのがとにかく嫌で、センターラインが消えると不安になるのだ。

そんな狭い区間がえんえんと続いた。私がそうやって必死に運転しているのに、妻は横でそれを面白がっている。底意地が悪い。性格が歪んでいる。

しかしそうやって最短距離を行ったので、わりとすぐに目的地である耶馬渓にたどり着く事が出来た。でも帰りは絶対違う道を通って帰る事を心に決めた。

耶馬渓は、たくさんの人で賑わっていて、楽しげなところだった。

中国福建省みたい
川辺では巨大な鯉に餌やりもできる(もちろんやった)
ネモフィラが咲いていて綺麗だった

川沿いにネモフィラ畑があって、それはそれは綺麗だったのだが、それに乗じてネモフィラ色のネモフィラソフトなるソフトクリームを売っていて、それを購入しようと大勢の人が行列を作っていた。そしてたくさんの人がネモフィラソフトを食べながら歩いているのを見て、私は何か悲しいような気持ちになった。

食事をすぐ近くの「農家レストラン 洞門パティオ」というお店で食べた。

このお店は野菜中心のビュッフェスタイルのレストランで、入り口で名前を書くと「お呼びするのに1時間くらいかかります」と言われたので、その間に観光をした。

入店後、鬼門であるテーブル席に案内されて嫌な予感しかしなかった。そして案の定次男が食べ散らかすは大声を出すわで、最初食べた気がしなかった。

しかし、次第に疲れてしまったのか大人しくなった次男。私と妻はようやく落ち着いて食事をする事ができた。特に椎茸や里芋やこんにゃくがゴロゴロ入った「煮食い」という汁が美味しいなぁと思ってたくさんおかわりした。

60分の時間制限があるものの、たくさんのメニューが取り放題で、どれも頻繁に追加され、時々は新しいメニューも出てくる。これで大人1,400円は安いと思った。

私と妻はたいへん満足して、お店を出る時に「美味しかったです。また来ます!」と言った。そして帰りに豊後高田市の中央公園で子供たちとわりと本気の鬼ごっこをして汗だくになって、遊び倒して帰った。

無計画で行き当たりばったりな旅だったけど、皆概ね満足したみたいで、良かった。

この記事が参加している募集

旅のフォトアルバム

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?