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ガチャ切りされた電話とWebライター

事務職の仕事で、どうしてもライバル会社とやりとりしなければならないときがある。

目の前に炊飯器があるので、炊飯器で例えてみよう。
炊飯器を他社Aで購入し、その会社でオプションの長期補償も申し込める。けれど、オプション部分はうちの会社に任せてくださる、なんていうケース。

そういうときに、購入した炊飯器のスペックを確認しなければならない。
ライバル社である、他社Aの従業員と電話をするのだ。

基本的にやりとりは問題なく事務的に進んでいくものだ。
しかし、なかには「お客様をとられた!」と思うのか、言い方が少々ぶっきらぼうな人はいる。

「はいはい、わかりましたよ」と怒ったように電話をガチャン!なんて切る。
耳管機能があまりよろしくないため、大きな音をくらうと、少し「キーン」と耳にひびく。

そんなとき、その会社に対してよいイメージを持つことができないのは、いわずもがなだろう。

「どんな会社なんだ……」と、あまりよくない意味で、ホームページなんか見てしまう。だって人間だもの。

「あなたが電話をガチャ切りした相手(私)は、もしかしたら将来お客さんになる人だったのかもしれないのに」

その将来は、ガチャ切りした時点でなくなっているのである。

Webライターの仕事が好きだ。

「読者を誰も傷つけないのがライティングの仕事だ」と、どこかで聞いたときには「なんて素敵な仕事なんだろう」と思った。

『記者ハンドブック』にて、避けるべき差別・不快用語のページが用意されているのを見たときには「記事っていうのは、やさしさでできているんだ」と、これからの仕事に誇りが育った。

某SNSでは、他者への批判的な言葉がよく目に飛び込んでくるようになった。
アルゴリズムの変更からだろうか。
ライターである誰かが、特定の誰かに矢を放つ場面を、見ないこともない。

仕事で大切にしているお客さんと、矢の先にいる人とは、まったく重なることがないと思うのだろう。

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