見出し画像

クズつるから繊維を採って、イヤリングを作ってみました🌿(繊維採り方体験談付き)

ワークショップのかご編み講師の美和ちゃんが、「クズから光沢のあるきれいな繊維が採れるのよ」と何度も話題にして来たのに、ふ〜んと言う感じで何もリアクションしていなかった私ですが、ある日国立の教室で見せて頂く機会があり、「なるほど!美和ちゃんがきれいきれいと言うはずだわ」とそのつやと光沢に一目惚れしました。いつか私も採取してやるぞと機会をうかがいながら、ついに今年の7月初旬、我が家の庭のクズを使って繊維を採るに至りました。

用意するもの

★材料
・クズつる(その年に生えた青く若い)
・ススキの葉
道具
・黒いビニール袋(45L)

材料集め

1. クズの採取

クズの採取は、初夏のクズが新しく成長し、青くなる時期を狙います。 早速庭のクズを採取します。う〜ん足りない。
そこで5月の草刈り以来、旺盛に繁茂している公園に行ったところ、ちょうど行政で草刈りをしていましたので、一声おかけすると、「好きなだけ持っていって良いよ」とのこと。ラッキ〜٩(๑>∀<๑)۶  
初めてトライする私には、これで十分。
すでに刈ってある草の中から、良さそうなものをみつくろって頂いてきました。

2. ススキの採取

今回は45Lの黒ビニール袋にいっぱい入るだけ用意しました。これも庭だけでは足りなかったので、公園から頂いてきました。

<以前の記事しばらくしたら消します。>
3. ヨモギの採取
 
これはそんなにたくさんいらないので、庭から採取したものだけです。ちなみに「クズの繊維を採るために、なぜヨモギ・ススキを用意するの??」と思われたあなた、実はこれ、次の「繊維採りの過程」で、クズを発酵させるために使います。クズを発酵させることで、皮を柔らかくし、水で洗い落として、目当ての繊維を採ることができるからです!

<改変>

発酵させる際に、よもぎを入れるという記述(上記)ですが、よもぎは入れないそうです。

「よもぎは入れない」というのが「よもぎを入れる」と誤って伝わったことが原因らしいです。

繊維採りの過程

1. クズつるから葉を取り除く

葉を取り除いてつるだけにした状態

2. お鍋で煮る

葉を取り除いたクズつるを、お鍋で柔らかくなるまで煮ます。5分〜10分ぐらいでしょうか。ワークショップでは煮ないでやりますが、煮ると早く発酵します。
煮るところの写真撮り忘れてしまいました(。•́ᴗ•̀。)💦

3. ビニール袋に入れて発酵させる

黒いビニール袋に、ススキ、煮たクズつる、を入れます。このとき、クズつるをススキで挟むように重ねて入れてます。写真には入っていますが、よもぎはいらないです

入れたら、黒ビニール袋の口を閉じて2〜3日発酵するのを待ちます。発酵はその時の気温や湿度で違いますので、その都度開けてみて確認します。

仕込んで3日後にちょっと開けて、クズつるが発酵したかどうか確認します。本当はすごい発酵臭がするはずなのですが、ほとんど臭いません。つるは触ってみると表面が少し柔らかい感じです。

う〜ん臭わないので大丈夫かなと思いましたが、つるの表面が少し白くなって発酵しているような感じがします。本当はもう少し置いた方が良いのかもしれませんが、川に行きました。

4. 発酵したクズつるをあらう

山に流れる小川でつるを洗う - 冷たくて気持ち良い

発酵したつるを洗うと、表面の皮の部分が、芯からするすると取れるようになります。そしてこの取れた皮の部分を洗います。すると発酵によって外皮(一番表面の茶色い部分)が洗い流され、光沢のある靭皮の部分が残ります。これが今回採りたかった素材です。

靭皮(じんぴ)- 樹木の外皮のすぐ内側にある柔らかな部分。

余談ですが、私は初め、芯の部分が目的の靭皮かと思い、靭皮のついた皮を捨て、芯を一生懸命洗っていました(。•́ᴗ•̀。)💦 しばらくして気がついて、慌てて捨てた皮を拾ってきました。

簡単に洗うだけでは表面の茶色い部分(外皮)が取れないので、指や爪を使ってしごきながら丁寧に洗っていきます。気がつくと2時間近く経っています。なかなか根気のいる仕事ですが、面白くて夢中になります。

左が目的の繊維(靭皮)、右が芯です。芯も何かに使おうと思いますので、これらを乾燥させて保存します。

発酵のタイミング(補足)

本来ならば、ここで終わりなのですが、家に帰って乾燥させ良く見ると、まだ表面に茶色い皮がついて、所々ネズミ色をしています。あまり綺麗ではないので、再度水につけふやかし、少しずつ爪でシゴキなら綺麗にしていきます。1日1〜2時間やって、3日ぐらいかかってしまいました。

もしかするともっと発酵が進んでいれば、もう少し簡単だったかもしれません。でも発酵しすぎてしまうと、今度は繊維すら残らなくなってしまうようで、タイミングが難しいです(´ ˘ `)

5、繊維採り完成

この過程を経て採れた靭皮繊維が、これ↓です!
写真だと光沢が良く分からないですね💦

初め知らずに、捨ててた部分も少しありますが、なんとか上画像のように一束分の繊維が採れました。

静岡県の掛川では、この繊維から糸を紡ぎ、葛布というを織物をつくるのだそうです。しかも採取の段階から真っ直ぐで長く、節や汚れのないクズつるを厳選し・・・と、気が遠くなりそうです。スゴイ!

一番右端に一束あるのが今回採れた繊維。それ以外の左側にあるのが、全部芯です。芯はたくさん採れますね。

採れたクズつるの繊維でイヤリングを作る

せっかくなので、これでイヤリングを作ることにしました。

1. 縄ないにする

クズつるの繊維では、水をつけずに、ややゆるめにふわっとなっていった方が良くできます。縄ないのやり方は、以前私が書いたこの↓記事に載っています。参考にしてみてください。

ちなみに、縄ないの記事では、途中ひげ根がピンピン出てくると、ライターで焼いて綺麗にしますが、クズの繊維にはやらないでください。
焼けて焦げます・・・。
焦げました😭

2. 編んだ縄を「木の葉結び」の形にする

作った縄で「木の葉結び」を作り、ワイヤーで留め、ワイヤーをイヤリングパーツに通します。「この葉結び」の作り方は、『籐で作るアクセサリーと小物』という本を参考に作りました。

通したワイヤーをさらにぐるぐる巻きにして始末します。その上からフローラルテープを巻いて、巻きつけたところを見えないようにします。

完成です!

作ってみて

かご編みもそうなんですが、今回のイヤリングは、作品作りより素材の採取と下処理にたくさんの労力がかかりました。これから葛布を織るというのなら別ですが、イヤリングなら採取と下処理までで、9割と言っても過言ではありません。それだけに素材ができたときの喜びは、なにものにも変え難いものがあります。

思いのほか、表面の茶色い皮を取るのが大変で取りきれず、ちょっと光沢に翳りが出てしまいました。また、クズつるを洗う時、繊維の方を捨ててしまったり、縄ないのひげ根を焼こうとして、縄を焦がしてしまったりと、結構失敗もしてしまいました。でもおかげでいろいろなことが分りましたので、今回はこれで良しとします!

山の川でつるを洗う工程の日は、洗った後、いつもの山のワークショップ場所へ行き、井戸水でコーヒーを淹れ、ナッツを食べながら、静かな山の自然に浸りました。クズの繊維採り🌿楽しかったです(๑˃ᴗ˂)و♡

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?