【いそがしいとき日記】その32
ずーっとお家にいます。
ってことで、ずーっとご飯を作っては食べ、そして片付けるというサイクルを続けています。
これって、やってみるとけっこう負担ですよね。え、負担じゃないですか?
僕なんかは自分の好きなものを作ればいいだけだから気楽だけど、たとえば家庭の中で料理をする役割がアサインされちゃってる身だと、家族の好みとかも含めて献立決めなきゃいけないから余計に大変ですよね。
やれ品数が少ないとか、やれ味が濃い薄いとか、やれあれが食べたいこれが食べたいとか、なんか、いろんな要望があることでしょう。そんなことないのかな。
それを軽やかに「はいはい〜!」と乗りこなしてお料理ができちゃえるぐらい楽しめる方もいると思うのでそれはそれで素敵なことだなーと思うんですが、問題は、その状況に苦しんでいる人ですよ。
僕、料理が好きなのです。その上で、僕が好きなもののせいで誰かが辛い思いをするのが嫌なのです。それは、僕自身歌や音楽が好きだからこそ、「お前音痴だな」とか人に言われて歌うことが怖くなってしまった人のことを思うと悲しい、というような気持ちと近いところがあります。てか、ほぼおんなじですね。
料理って、かなーり適当にやっても、面白いんですよ。
一所懸命、技術も知識も詰め込んでつくる精緻な料理も確かに楽しいんですけど、相当適当にやっても面白いんです、料理って。
適当な料理を楽しむためにおすすめなのは、八百屋にいくことです。
もちろん、スーパーでもいいんですけどね、八百屋に行った方が結果、楽して面白い料理体験ができます。
「楽して面白い」っての、めっちゃ大事です。
八百屋に行って何をするのかというと、旬の食材を買うのです。
食材の旬って面白いもので、昔から「旬は10日」というようです。というか「旬」という漢字自体に「十日間」という意味があるようです。
旬の食材の美味しい時期って、ピークがだいたい10日ぐらいで終わるようです。だから、一年通して旬の野菜を扱っている八百屋の店先は、10日のペースで並ぶものが入れ替わっていきます。
スーパーでも旬の野菜を扱ってくれるけれど、八百屋の方が小回りききますから、「え、そんなのも扱ってるの!?」みたいな野菜に出会うことができる確率が高いです。
もちろん、魚にも旬ありますけど、魚調理するのってけっこうハードル高くない?
八百屋で、「下ごしらえがめんどくさくない旬の野菜ください」っていったら良い感じに見繕ってくれます。
で、そうやって買ってきた野菜を、炒め物にするのです。
揚げたり、蒸したり、煮込んだり、そういう手間がかかるのは余裕があるときにやるのがよいです。レクリエーションとして、エンタメとしてやるぐらいの感じがいいです。
日々の食事は「炒め物」。もうね、これに限ります。
八百屋で買ってきた旬な野菜を2〜3種類テキトーに切って、好きな肉と炒め合わせる。これで十分です。日々の食卓は。
野菜と肉を炒める。味付けは基本、塩だけで問題ないです。香ばしさが欲しかったら醤油を垂らすとよき、ぐらいのかんじです。
僕の日々の食事はこんな感じです。
でも、季節によって炒め物の具材になる野菜が目まぐるしく変わっていくので、料理の味わいも色彩も、どんどん変わっていきます。
ここ1〜2ヶ月でも
あぶら菜、かき菜、小松菜の菜の花、ウド、ふき、ラディッシュ、春菊、パクチー、大根の葉、ブロッコリー、アスパラガス、小松菜、ほうれん草、新たまねぎ、葉たまねぎ、春にんじん、春キャベツなどなどから
かぶ、きゅうり、カラーピーマン、ズッキーニ、トマト、大根の実、とうもろこし、なす、新ニンニク、オクラ、いんげん、スナップエンドウ、絹さやなどへと売り場の主役が変化しています。
ここに挙げた野菜、ぜんぶ炒め物で美味しい食材たちです。
なんか、あんまり凝ったことしなくてもいいんですよ。旬の食材というのはそれだけで力がありますから、さっと炒める、それも油と塩だけ、みたいな食べ方でも充分に美味しい。目にも楽しい。
どんな組み合わせでも美味しいです。切り方とかも適当で大丈夫です。大きめに切って食べてみて「火が通り難かったな」と思ったら電子レンジにかけちゃえばいいわけだし。
野菜と肉の組み合わせ次第で、無限の味わいが生み出せます。油の種類も変えてみちゃったりしたら、これまた風味も変わります。
ちなみに僕の昨夜の食事は、カラーピーマンと小松菜と豚肉の炒め物でした。
今日の昼は、ラム肉と新玉ねぎを、ラム肉買ったときに付いてたジンギスカンのタレで炒めて食べました。
夜は、ナスと絹さやを豚こま肉と炒めて食べました。
炒め物は万能。炒め物万歳です。
ちなみに、料理研究家の土井康晴さんが提唱する「一汁一菜」という提案はもっとシンプルです。
日々の食卓は「具沢山の味噌汁」と「お漬物」、これで一汁一菜。それに炊いたご飯があれば充分、というもの。
Amazonでは入荷待ちみたいですが、「日々の料理が苦痛で・・・」という方にはぜひオススメしたい本です。
「好きな食べ物は?」という質問の答えでよく挙げられる「ハンバーグ」と「カレー」ですけど、正直、ハンバーグとかカレーって、作るのめんどくさいんですよ。めんどくさくないですか?
玉ねぎ炒めて冷ましてとか、パン粉を牛乳にひたして絞ってとか、僕的には「うわー、そんなことやってられませーん」って感じです。1時間煮込みます、とかもけっこうめんどくさいです。ご飯食べる1時間以上も前に料理始めなきゃいかんのかい!?ってかんじです。15分でいいじゃないですか、料理する時間なんて。
ハンバーグ食べたいと言われたら、玉ねぎ適当に切って、ひき肉と炒めて、付け合わせのいんげんもそこに入れちゃって、ソースになるトマトも櫛形に切って炒め合わせちゃえばいいんですよ。いわば、「オープンハンバーグ」です。
カレー食べたければ、スライサー的なのでにんじんとじゃがいもを細切りにして炒めて、肉も入れちゃって、玉ねぎもスライスして一緒に炒めて、チューブのニンニクちょっと絞って、カレー粉混ぜて、塩としょうゆで味付けしたらいいんです。立派なカレーですよ。10分でできます。
軽やかに、楽しながら、それでも楽しく美味しく食べる。
土井先生の「具沢山味噌汁」も軽やかに楽で、楽しく美味しい日々の料理です。
も少しボリュームが欲しいなと思ったら、炒め物です。
そういうところから、日々の食卓を組み立てていくといいんじゃないかなぁ、なんて、僕は思います。
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外出自粛の生活も3ヶ月目に突入する、ぐらいのタイミングですが、生活のリズムが変化してきたように思います。
はじめの頃は、意識的に「多めに」身体を動かしたり、新しい戯曲をゴリゴリ書いたりしていましたが、このところはもう少しのんびりした感じです。
きっとこの生活のスタート当初は、一種のアドレナリンみたいなものが出ていたんだろうなあ。「何かやってやるぞ」「楽しく危機を乗り越えてやるぞ」みたいな。
それはそれでいいことだと思います。じっさい、その時期にひとつ面白いと思える戯曲もかけたし、トレーニングを継続している結果、身体つきも変わってきた感じもするし。
いまは、今週土曜日の「配信ライブ」へ向けて、集中力が高まっている感じです。
何を歌おうかと曲を選んだり、どんな風に歌いたいのかと自分に問いかけたりしている時間です。だからその分、戯曲を書いたり、積極的に身体を動かしたりということからは距離をとっています。
歌えることが嬉しいけど、歌うことが少し怖くもあります。
ひとまず、9月までのスケジュールがぽっかりと空いたので、「なにもない時間」がこれから先も4ヶ月ほど続くようです。
きっとその時々で、生活のリズムが変化していくのだろうなと思います。
どんな2020年の後半になるんだろう。
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演劇界にもいろいろな動きが出てきました。
政府に提出する署名活動。日本全国の小劇場を救うためのクラウドファンディング。舞台芸術全般をカバーする基金の立ち上げ。演劇業界の公的施設から興行企業までが参加したネットワーク。東京の小劇場が参加する協議会。公益社団法人全国公立文化施設協会による「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」の発表。
非常に興味深く見守っています。
僕も署名に参加したり、クラウドファンディングに支援したり、ガイドラインを精読したりと、僕にできることをやってみている最中です。
舞台芸術の未来を支援するための公益基金というのには立ち上げ当初から興味を持っていますが、特にまだ賛同人にはなっていません。どんな組織になっていくのかを、これまた注視している感じです。
この出来事を機に「業界」のようなものが形成されていくのだとしたら、それはそれでいいことだと思います。横のつながりと、縦の継承。
と同時に、「新たな権威」が生み出されていく音も聞こえるような気がしています。これはこれで面白い体験です。
その中で僕は、どんな表現者でいたいかと考えます。僕の持っている時間は有限だから。そしてもちろん、他の人が持っている時間も有限。
自分のことを「上手に話す」こと以上に、「相手の言葉を聞く」ということが重要な技能になってくるような気がしています、演劇の未来のために。
読んでくださってありがとうございました!サポートいただいたお金は、表現者として僕がパワーアップするためのいろいろに使わせていただきます。パフォーマンスで恩返しができますように。