23年スト6プロ周りの盛り上がりと今後への期待と多少の危惧

ということで2023格ゲー界隈、特にスト6周りは(大ずっこけした)スト5初動の反省を生かした感のあるカプコンの作り込みや、今までむしろ壁があった感のあるストリーマー周辺との交流、CRカップのブレイク等によって控えめに言って大成功、といった状況であり喜ばしい限りであって。まさかこんな時代が来るとは、とおじやプロたちがつぶやくほどの昨年の狂騒を振り返りつつ、プラチナラシードというか動画勢、要はド素人が外から見た1ファン目線としてシーンを見てた感想を色々書いていきたい。


前段 ニコニコの盛り上がりからスト5とミルダムまで

ざっとここ10年程度のストリートファイターとネット周りを振り返ると、まずニコニコと「スト4」の噛み合いが挙げられる。「せんとす実況」のブレイクが裾野を広げ、半ば伝説であったウメハラの復活から動画登場、「ウメハラがー」のミーム化、ウメハラをはじめとしたプロゲーマー化に加え、半ばストリーマーとしての人気も博していた「GODS」や「顔」、有料でも需要のあったTOPANGAリーグ、という勢いをスト4末期、ウル4くらいまでは維持出来ていた感がある。

そんな4末期でカプコンが出してきた「スト鉄」そして「スト5」の初動の出来の悪さが、この競技シーンも含めた盛り上がりに水を差してしまった感がある。(エレナやディカープリあたりから「大丈夫か?」感は多少あった。)スト鉄では「毎日見つかる新しいバグ」や「メガマン浮遊」といったろくでもない部分がニコニコでも特にフォーカスされ、スト5序盤もブブ5、地球を眺めるゲームと揶揄されるほどネット周りの出来が悪かった。そんななか、ニコニコの落日に合わせるように格ゲー、スト5の影響力や知名度は下がっていった感がある。

ただ、今考えると沈んだ感のあった5の初期、そして後期も結果的には悪くなかったかもしれない、と見ることも出来る。スト5初期、マトモにネット対戦環境が構築できなかった結果、プロやプロ予備軍の関東進出が相次いだ。その結果オフラインイベント等はより充実するようになった。そして4の盛り上がりから5末期の氷河期の温度差は、プロアマ問わず「危機感」を抱くきっかけにもなったようにも見える。

4と親和性の高かったニコニコの落日も、そこを狙う新興ストリームサイト勢力が格ゲーに目をつけてくれて予算を投入したおかげで、沈んだスト5時代を結果的に下支えすることとなった。いまや人気コンテンツとなっているストリートファイターリーグも、2018年の初開催当初はOPENRECとAbemaというCA系独占配信の企画となっていた。その後、2019年後半の第3回でYoutubeにも同時配信されるようになり、2020からはOPENRECが離れミルダムとTwitch、youtubeで配信になり、22からは現状のYoutube&Twitch体制となった。ストリートファイターリーグの歴史についてはこちらの動画に詳しいのでご覧ください。

毎年ストリートファイターリーグを見ている身からすると22あたりから盛り上がり出し、今年の23は異常だった感がある。もちろんYoutubeとTwitchという一見でも見やすいプラットフォームというのが大きい、これが当初のままOPENREC独占であったら今ほど人気かも怪しいところがある。ただ、一番キツいところを支えていたOPENREC、そしてミルダムは「損切り」のタイミングとしては最悪に近かったのではないだろうか。

そういう意味ではミルダムの「損切り」が結果的に現在のこの盛り上がりに一役買っている感もあると言えるかもしれない。そもそも「ミルダム」とは何ぞや、となると今もあるので一見してもらえばいいのだが、いわゆる配信プラットフォーム、それも中国系という話で。ここと格ゲーの関係なのだが、例によって発端はウメハラになる。影響力が他とは違うわけだ。

ようはチームのスポンサーとなってもらうと同時に個人配信をそこのサイトでやりますよ、と。それに関して色々言う人もいますが、こんなのはよくよくよーくあることで、かのFakerが「Azubu」で配信してたあたりのことをオールドLOLファンなら覚えているかもしれません。新興配信サイトが一から配信者育てるなんて気の長いことやってられないわけで、多くの場合こういった「引き抜き」が行われるわけです。俺が新配信サイトの責任者になったとしてもそうする、おそらく誰しもがそうでしょう。有名な奴が誰もいない、となれば見る人もいない、見る人もいない配信サイトで配信したい人なんていないわけですから。

といった感じで2020年3月、スト5後期の「王」の配信サイト移動に合わせて格ゲー勢も王政復古の大号令がごとくブワーっと大移動が始まったわけです。そして新興配信サイトミルダムもおそらく勝機を「eスポーツ」に賭けていたのでしょう、結構な数の格闘ゲーマーにお金をかけてスカウトし、配信チャンネルを作らせていました。この方針は格ゲーに限らず、ミルダムが結構な条件でスカウトをかけている、ということも、給料やお金が出ているということも半ば公然の事実のように語られていました。奇しくもこの時期は病気が蔓延しており「巣ごもり」が流行語になる時勢であり、ストリームにも注目が集まる時期でした。そしてこれは「海外大会で賞金を稼ぐプロ」や「声をかけてもらった強豪アマ」にとっては渡りに船だったでしょう。なんやかんやで収入に繋がり、格ゲーを続けられた人もいたと思います。実際、数年名前をあまり聞かなかった気のする強豪ゲーマーが戻ってきたりもしていた気がします。

ただ、ミルダム側も誤算があったように思えます。一時期からウメハラをはじめとして「ミルダムで投げ銭をお願いしたい」と公言するようになりました。おそらくミルダムの方針でしょう。広告を入れないミルダムは代わりに投げ銭の何割かを摘まむことで収入にしたかったのでしょうが、スト5後期のミーハーが消えた格ゲーシーンを追いかけているのは地味で硬派なスト5をまだ見放さない、そんな硬派でソリッドな視聴者層、言ったら「格ゲーから離れられないおじさん層」であり、いわゆる「投げ銭」文化に親しんでいる10代後半から20代の層とかけ離れているわけで。ゲーセン世代は「100円」の重さを知っているうえ、視聴者層もだいたい男、そんな男たちが20代から30代の男プロゲーマーに「金出すからコメント読んでもらいたい」なんて思いますか、という話で。そもそもだいたいの配信は投げなくたってコメント読んでもらえるんだから。もちろん某エンゲージリングだったりといった色恋営業なんかも無理な話。まあこの流れの一環であの謎だった「格ゲーマーアイドル化計画」があったのかなとか。真相は知りませんが。

ウメハラも配信の中で「投げ銭が渋すぎてミルダム内部の格ゲー勢の評価も悪くなっていっている」といったニュアンスの発言もありましたが、そういったところで格ゲー勢の配信ではほとんど投げ銭が流行りませんでした。むしろその投げ銭を求める発言で冷めてしまう視聴者も多かったのではないでしょうか、今で言う蛙化現象ってやつです。憧れのプロゲーマーが投げ銭を要求する姿を見てあまりいい気持にはなれません、そこらへんもミルダムの読み違えと言えるでしょう。配信者に言わせるのではなく、自然と払いたいシステムにしないといけないのだな、と見ていて学びになりました。

ただこの投げ銭要求現象は別に格ゲー特有のものでもなかったようで。2020年から始まったように見える気前の良いスカウトですが、某野球選手が契約更改の場で言った「携帯会社と同じ、新規に優しく既存に厳しい」という状況に近しいという話が配信者から漏れ聞こえてくるようになりました。本土の方針だの色々言われていましたが、いわゆる「ギャラの見直し」が行われた、というリークが相次いだ2022年春ごろから一気に話が進み、格ゲー含め相当数、なんならほとんどのゲーム配信者がミルダムを「卒業」していきました。ここらへんは検索するとたくさん出てきます。なんせ格闘ゲーマー界隈の外でも、何なら外の方が話題でしたから。この22の卒業ラッシュから格ゲー勢とミルダムの付き合いはほぼ消えます。ウメハラがたまに企画する何かを見に行く場所、となった感があります。ただそれでも、格ゲー、スト5のきつい時期を結果的に底支えしてくれたミルダムにはシーンとしては頭が上がらないありがたい話だった、と言ってしまってもいい気がします。都合のいい話ではありますが。

ウメハラだけは別契約だったようですが、それも約1年延長して23年3月まで。そのウメハラもミルダムから距離を取りつつフェードアウトしていきました。今となっては思うでしょう。あとたった3カ月でバブルが来るのに、と。「ストリートファイター6」を直前にしたある意味底値、逆ピークのタイミングでミルダムはウメハラも切りました。あとから見ると損切りとしては最悪のタイミングだったかもしれません、まあ、なんだかんだウメハラが残ったところで投げ銭は増えなかっただろうから、投げ銭と格ゲー勢の相性の悪さがそもそもにあるのですが。ただ、視聴者サイドとしては朗報といってもいい形でした、言ってしまえばミルダムは使いづらい部分もあり、やはり集客では一苦労していたのだから。

23年3月末でミルダムと縁の切れた4月の初め頃、スト5のプロシーンがほぼ終焉した頃にウメハラはさっそくTwitchに戻り、仕掛け、話題になります。それがウメハラの故郷青森までの「ウメ散歩」です。スト5が終わり6が始まるまでの空白の3カ月、プロにとってここでしかできない大規模企画でしたが、地元新聞からは取材され、様々なメディアからも触れられたこの企画、もしかしてミルダムのままだったらそこまで目に触れなかったのかもしれません。ただ、別に企画自体はミルダムでも出来たはずで、もしかしたら数週間の契約の差でビッグコンテンツを逃してしまったのかもしれません。なんとも。まあでもこれだけ格ゲーと配信の親和性が深まった一因にミルダムは挙げられてしかるべきでしょう、一ゲームファンとして感謝を。


1.スト6発売 RFN・CRカップとストリーマー

スト5最後の最後の大会、TOPANGAワールドチャンピオンシップをときどが完全勝利したが、その最中、数日後に控えたスト6の発売からたった数日後、6/9にREJECT主催でプロとストリーマー混合の大会が行われることが発表された。「REJECT FIGHT NIGHT」です。

超有名ストリーマーたちの参戦と並んで注目されたのが、今まで(ゆっちょ以外)あまり絡みのなかったVtuber界隈との本格的な顔合わせ、それもウメハラのチームにぶち込まれるという衝撃であった。特にVTuber絡みはミルダム時代、某プロたちが陰湿なイジメみたいな形で個人系VTuberに迷惑をかけた前例があるだけに、それも知る一部視聴者等の間に緊張が走ったが、さすがにウメハラは(当たり前の話でもあるのだが)大丈夫というか、互いにリスペクトと前ステで衝突どころか予想以上に盛り上がり、また各ストリーマー使用キャラのコーチにプロゲーマー達を招集したことも盛り上がりに一役買った感がある。このコーチにガチンコのプロという路線は現在も大会の度に行われており好評となっている。

大会は「モダン」システムのお披露目としても成功、あまり触ったことのないプレイヤーでもワンボタンで必殺技が出ることや、1からのコーチングに発売直後のゲームであり視聴者も同じテンポで進みやすく、啓蒙効果は非常に高かったのではないだろうか。そしてその成功を受けて、ではなく発売前から色々動いていたらしいCRカップも6月末に開催。爆発的な注目度のなか、今回も格プロのコーチングと成長のドラマ、そして本番ではトレンドを席巻したウメハラによる「令和版・背水の逆転劇」まで披露。

初めて格闘ゲームのガチ大会を見る視聴者も多い、注目度MAXのCRカップ決勝、0-2に追い込まれてからの3連勝は、「ウメハラ」がなぜ未だに信奉され信頼を集めているか、「華のあるプレイ」とはなんなのか、そして何より格ゲーの面白さを背中で語った瞬間であり格ゲー界の一大モーメントと言ってもいいだろう。実際に切り抜きでは数十万どころか100万再生を超える動画もあるほどで。

また、多くのストリーマーの方々が大会後もプレイしていたり、新規に始めたり、次回初心者枠で出たいといった発言をしていたりと注目度が継続しているのも素晴らしいところ。いわゆる「案件」で終わらなかったのはプロの尽力、ストリーマーの熱、ゲームの出来が噛み合ったから、といった感がある。

その後9月には第2回CRカップスト6がゲームショーのオフラインステージで行われ、そちらでも大きなドラマ、そしてリアル歓声のキーの高さに「新時代」を感じたりもしたりして。一番の衝撃トピックであるささジェイミーのところだが、最後飛びから投げが入り歓声、その後のインパクトで歓声、SA演出でキーの上がった大歓声といった感じで、ポイントの渋さではその前の所だった感もあるが、SAといういい盛り上がりどころに観客の皆がものすごいアガッているのが歓声だけでわかるというのも凄い大会だったなと改めて。

このストリーマー周りに関しては、特に最初の最初、のなかで特にウメハラが下からというかウェルカムの姿勢を出したのが大きいように思える。また、その丁寧さ、物腰の柔らかさは「氷河期」を知ったからこそ、といった感もある。例えば「教える」という企画ではスト4時代には「TOPANGATV」の「弟子企画」や5のストリートファイターリーグ序盤にあった「初心者選手枠」等もあったが、あの頃に比べてずいぶん目線を下げている感があった。

どこかの配信やら動画やらで言われてた気がするが、初心者に邪魔なのが「上手くないのに上からくる教えたがりおじさん」で、特に今回「モダン」が出たことでそれこそ未だに多少いるが「クラシックおじさんのモダン苦言」みたいなのが出やすい環境であったのだけど、かのウメハラはじめプロ勢が「モダンウェルカム」「まずモダンで触ってみましょ」の姿勢を打ち出したのが妙手だったように思える。そらVtuberの配信に知った顔でコメントしてる奴がプロより上か、ってなればその可能性は物凄い低いわけで、格ゲー文化ってのは強い奴の発言が正義みたいな部分も多少あったりして。それこそ変にモダンアンチコメントばっかりしてるのをもし暇なプロかなんかに捕まえられて「ほなら僕と10先しましょ、僕モダンでいいですよ」なんて言葉と共に表舞台に上げられたら大恥をかかされるリスクまである。

そういう変な「素人の絡みたがり」が悪だ、という姿勢がバチッと出せたおかげで、一般プレイヤーたちも見守って盛り上げることこそ最善の策なんだ、というある程度のコンセンサスが出来ていたのでは、とシーンを見ていて思ったわけで。悪い例になってしまうが、2023末、LOLが配信者界隈でブームになったが、いわゆる元からLOLをプレイしていると自任していそうな層の動きは遠目から見る限りマイナスだったように思える。もちろん、スナイプしてくる変なやつをブロックできるスト6とできないLOL、タイトル変更という「切り替える節目」のあったスト6と、悪い意味で10年以上前の雰囲気を引きずったまま、切り替える機会を失ったまま未だに幅を利かせているプレイヤーもいるLOL、そんな差もあるだろうが、6月のスト6からの動きを見ていただけに、LOLの一部の人たちの動きは残念に映ってしまった。

2.ニュースターの台頭、6000万翔とIBUSIGINのスカウト力

ストリーマーとの大イベントでウメハラがどでかい花火を打ち上げたあとは、EVOという大きな大会があった。そしてEVOの翌週あたりにあったサウジアラビア大会で優勝6000万を日本人が獲得することになる。

https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2308/14/news087.html

まずEVOだが、日本人はトップ8に8人残るも、TOP3は海外のトッププレイヤー、下馬評でも優勝候補だったアングリーバード、メナ、パンクの後塵を拝することとなった。もちろんこれだけ日本人が残ることから平均レベルの高さはうかがえたし、そもそも今年は「ストリーマー」として過ごすはずだったハイタニがモダンチュンリーで5位に食い込み、ハイタニの実力とモダンもやれることを世界に示したりもしていた。そしてこのEVOベスト8のうち7人は言ってしまえばスト5からプロでも超最上位のプレイヤーの名前が並んだが、その中に食い込んだのが若手の「翔」になる。スト5時代も有力プレイヤーではあったが、もっぱら「全一リュウ」としての名声であり、スト5のリュウはキャラパワー的に苦しい部分もあり世界大会での名声を得るには至らなかった。

そんな彼が6で選んだのは遠距離キャラのJP、一見リュウと似ても似つかないがその類まれなジャストパリィ精度を武器に一気に頭角を現すとEVO壇上、続けてサウジ大会優勝で6000万ゲットと一気にスターダムに上り詰めた感がある。

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とここまで書いたところで時間が足りなくなってきたので以下駆け足に。

・特筆すべきはIBUSHIGINのスカウト力。かけちゃんを筆頭にかべ、ヤナイ、ササモと4人体制ながら昨年は1人、今年は2人とSFLリーガーを輩出し、おじが強い格ゲー界、新興チームが厳しいと思われる中新しいゲームで結果を残している選手をツモれている。来年はSFLにチーム参戦ということで真価が問われる。

・IBUSIGINでも個人的に注目しているのがかべ選手。元スケート国体選手で社会人スポーツまでやってきた異色の経歴。個人的にいまのeスポーツの特に仕組み、大会やらチームやらの規範とか盛り上げ方とかは他のフィジカルスポーツから学んだほうがいいんじゃないかと思うところが多々あるため、そこでガチってきた選手が台頭して発言や動きを起こしていくと面白そうだと期待している。

・スカウトという意味では気になるのがSFLのチーム増。一人しかいないCRの参戦が決まっていたり、果たして人数が集まるのかというのが気になるところ。ただ持論としてリーグ戦ってのは二部制にした方が盛り上がるし水も腐らないのでその点は良いかなと。年間0勝で補強しないチームとか出てくるとリーグが腐りますからね……。人気チームCRに誰が入るか、というのは特に見もの。

・いっぽう、今のところ本当にノーマークから飛んでくる「超新星」みたいなプレイヤーはそんなに出てきていない感もある。世界的に見ても5の世界王者メナRDを誰が止めるかが焦点で、中東のダブルバード、北米パンク、日本勢アジア勢あとはEU勢、みたいな構図は5から基本的には変わっていない。個人的にはアルカプで出てきたれいちゃんマンのようにさっそうと駆け上り「モダンだけで強くなれました」と言ってのけるプレイヤーが見たいなと。

3.格ゲー出身ストリーマーの新しい形-ハイタニの台頭-

・今までもプロというか半分ストリーマーみたいな形はあったが、他のストリーマーたちとの交流は少なかった感がある。ただCRカップ等を通じて伝手が出来、そこからいわゆる「ストリーマーサーバー」に参加し、爪痕を残すというのは新しい動きだった。特にハイタニのARKとGTAは相当ストリーマーしていた感がある。

・良かったのは、跳ねたのがハイタニであったということ。やはり未だに格ゲーが強い5神のハイタニがほぼハイタニのままストリーマーサーバーでそれなりに奮闘する様子がコンテンツになっているのがよかった。言い方はアレかもしれないが、数字に媚びる、みたいなのは先ほどの蛙化現象の話ではないがあまり見たくないわけだし、ストリーマー文化の中では「異色」ではあったものの変な感じで伝わることが少ないというか、「少し変人ではあるが」、と前置詞をつけてれば「格ゲー勢代表」としてもまあまあ、という信頼みたいなものはある。変に界隈やなんかを貶めて自分を売り込もう、みたいなタイプでもない自然体がストリーマー界に受け入れられつつあるのは後進にとってもいい馴染み方に見えた。

・個人的に今後さらに期待したいのがなるちゃん。もちろん自分は4から知っているが。本格的に再度追い始めたのがEVOのクラファンのあたりで。クラファンて一歩間違えば叩かれやすいものでもあったのだが「全一ジェイミーを見たい」という期待や本人の諸々の感じで相当好意的に受け入れられていた感がある。グイッといくタイプなので爆弾ごと踏み抜きそうな危険も少しある気がするが、本当にそこだけ心配といった感じが。ほんまそこだけ。

・配信での面白さの期待でもそうだが、SFLが今期PVを結構やっているのだが、もちろんファンが行くものであるという前提があるだけにどこも基本評判はいいのだが、特に魚群のPV、なるちゃんの評判がいいというのが参加者の声等から漏れ聞こえているというのがある。積極的に参加者をうまく巻き込んで盛り上げるといったようなのを見聞きして、まあ確かに大事だなと。自分も昔は他ゲー等で大会PVの場とかに東京時代には多く行ってたりもしたが、場所によって盛り上がりはまちまちで、言ったら椅子に座って見て解散、みたいなものもあったりするわけで、自発的に良い空気に出来るキャラというのは希少だと思うので魚群はいいツモだったのではとか。

・eスポーツで今後さらに、と考えていく中で大事なのがマネタイズ。他スポーツはどこで稼いでるかってなるとグッズと入場料、と考えていくとPVを定期的にやれば疑似的な入場料にもなるわけで、スタジアムを持つのは難しいだろうが折角リーグ戦をやっているのなら、「毎回開催」で「毎回くるお客さん」をちゃんと捕まえられると今後大きいのではと思っていたりもして。例えば事務所の1階を毎回PV会場にして週1稼働、50人から2000円取って選手との交流も多少、となれば参加する人もいるだろうし、いやでもこれだと週1で10万かー、まあそこの金勘定は俺が考えることではないが、サッカーなんかでも毎週来ることでエンゲージメントが深まるわけで、今後の動きとしてはそういう「オフ集客」も大事になる時代来るかもねとか。J3とかBリーグ下部の動きとかが参考になるんじゃないのかなチーム規模的に。

・ストリーマーとしてまた特異な位置にいるのが「かずのこ」。我々のような固定ファンも居つつ、謎ゲーを攻略していきながらたまに跳ねる様子は、あれはあれで格ゲーストリーマーの形としては面白いのではないだろうか。特にやはりワンパンマンで作ったムーブメント、あれはガチ格ゲーマーでも真似しやすい感というか。対戦アクション、広い意味で格ゲーだがライト寄りで一般受けを狙ったゲームを格ゲープロが攻略していく、というのは相当需要があるだろう。今後もハンターハンターや呪術といった格ゲーが予告されているだけに、ストリーマーを視野に入れている格ゲープロは「全一キルア」や「全一五条」を目指すというのはひとつ妙手であるように思える。人気ゲームのサムネは人気キャラを使えるのもデカい。お前がやれよ、という話だが、残念ながら自分の腕では全一になれないんだよなあ。


4.練習も”見せる”時代-SFLのCAG人気について-

・もちろんYoutube等で固定ファンを持っているメンバーが集まったとはいえ「人気」「話題」という意味で強かったのはCAGだろう。そしてその源泉は「チーム練習の公開」にある。ストリーマーとの交流で分かったと思うが、ファンが見たいのは「大会の試合だけ」というわけではなく、なんならオフの部分、その準備やその後といった前後も見たいわけで。

・これはフィジカルスポーツの傾向もそうで、サッカー日本代表も最近は試合直後に30分レベルの裏側を撮った動画を公開して人気を博している。もちろんJレベルでやっているチームも多い。別に新しい手法なわけでなく、例えばサッカーなら「6月の勝利の歌を忘れない」という日本代表が日韓ワールドカップに臨む裏側の映像が大ヒットしたりも過去にある。ただ、いまやスマホでも映像撮影出来てYoutube配信も出来る、それくらいハードルが下がっている。よほど汚い言葉を使っている、でもなければ基本やり得になるような気もするのだがそれでもあまり増えないのはめんどくさいのだろうか。

・もちろんチーム連出しても伸びない等もあると思う、が継続して改善していく必要があるというか、CAGが出来ている以上、それをやらないのは差を詰められないわけで。とくに格ゲーはあまり「隠す」文化でもないのだからやり得というか。個人的にはLOLもやったほうがいいと思うところで。「隠さないと分析されて勝てないから~」って元々勝ててねえチームなら失うもんないのでは?とか。まあそこは置いておくとして、コンテンツになりそうなものをどんどんコンテンツ化していくのは一石二鳥ではないだろうか。とくにCAGは1回の練習を4人が別々の切り口で動画にしていて視点の違いも楽しめる、なんなら他配信への導線にもなるわけで。

5.配信の盛り上がりの一方、炎上のリスクも

・といった感じで、ネットの潮流にうまく乗れた感のあるスト6周りだが、いっぽう今年はそんなになかったが、未だに見ていて危ういなーというのは多少あったり。

・一応個人的なスタンス的には過度な言葉狩りは反対だし、キルデスを倒した倒されたに言い換えたところで誰の何の配慮だよガンクはいいのかよそっちのほうがよっぽど攻撃的かつ能動的じゃねえのって思ってしまう派なのだがそれでもいくつか危ういと見ていて思ったり、実際そう感じてVのほうを見るとそういった反応を示しているコメントが多少あったりするの実際目にしていたりもする。

・ネットスラングはいくつもあるが、もし火がついた時に「界隈でみんな使ってるから」「スラングだから」「自虐だから」なんて言い訳は一切聞き入れてもらえない、というのはあの「人権」問題で皆さん学んだところでしょう。いくら悪意を持った拡散であろうと「HumanBeing」と訳されたらそらもうスラングといっても止めがたいでしょう。僕が音楽的にファンなバーバパパさんはその曲の中で「「脳死で~する」という言葉はある日突然炎上する」と予言しています。

・炎上関係で思うのはプロスポーツの先人は確かに対策を施しているんだなと。スポーツ選手が病院に慰問に行くのも、あれはもちろんファンサービスというのもあるのだろうが、選手側に「先天的に大変な人もたくさんいる」というごく当然の事実を見せる効果もあるのだろう、と思っている。自分も某サッカーチームのお膝元の大病院に複数回入院したりそこで一月かかったり絶食からの全身麻酔からの手術等で病院になじみがある都合上よく見ているのだが、いろんなところにサッカー選手の写真やユニが飾ってあり、来ているのが分かる。

・自分も石を投げられるほどすべてが清廉潔白な発言だと責任持てるわけではないし、皆も今後は気をつけていこうね、くらいの話で。特にプロだったりは見る目も厳しくなるので気を付けてもらいたいところ。やっぱり一人捕まると界隈が委縮してしまうだけに。なんなら強い言葉、キツイ言葉を使って発言でライン越えるぜー的なのはもう面白がられていない、そういう時代じゃない、と色々な配信者が言っています。結局そのキツさで名が売れても、結局「そういう人」とひとくくりにされ、活動の幅も狭まりかねません。

・10年前20年前はありました、強い言葉で相手を罵倒したりするのが面白がられるのが。いまそういう時代じゃないんですよね。LOLが15年前からリセットされずにずっと一続きだからこそ、そんな15年前の感覚の人が主流気取って、で、今の民度なんじゃないかなとか。スト6は運良くリセットのタイミングを貰ったのだから格ゲー勢は感覚もリセットしてモダンな感覚に合わせてもらいたいところ。正直未だ20年くらい前の感覚のままっぽい人ほど前に出ていこうとしてたりするのがなんとも。皆さん自分や所属チーム周りの企業名、一緒にゲームする人のスポンサー名を一日一回音読したほうが良いのではとか。

・具体的に、ってなるとプロが考えやすいのが「野球のヒーローインタビューでそれ言えるか」あたりかなとか。「最高でーす」は問題ないし「ときどでございます」も問題ない。まあとにかく火もなく盛り上がるのを期待したいなと。

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