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LJL2019Summer序盤戦を終えて -DFMと”自力優勝”-

MSI(世界大会)での躍進、そしてバリバリ世界一のBlank参戦と話題も豊富だったLJL2019Summer、だが一回りを終えてこの順位を予想できた人は相当に少ないのではないだろうか。ざっと言えば「3強+1と4弱」といった形だが、上位から順にデータなども眺めながら見ていきたい。


1位 CGA 8勝0敗

前回の記事でBlankを「イニエスタ」になぞらえて紹介をした。そのノリで考えると、今季のCGAの躍進の要因がわかりやすい。前期からスタメン変更はTOPとSUPの2枚だが、その2枚の割り切った起用法、そして助っ人枠の使い方が特色。言ってしまえば「エムボマスタイル」※と考えるとわかりやすい。年齢の高い駅伝ファンには「山梨学院大スタイル」と言ってもいいし、高校バスケファンには「留学生スタイル」と言っても良い。日本人離れした助っ人を一番の攻撃の要に置くことで相手をぶっ壊すスタイル。

「みな外国人枠は2枠あるんだからどこでもできるじゃん」という話なのだが、それができない事情がLJLには、そして日本にはある。それが「日本人JG不足」問題。LJLは長年、冷戦時代のように「核の抑止力としての核」と言わんばかりに「助っ人外人のジャングルコントロール」に対抗するために「JGに助っ人を起用」が常態化していた。しかしCGAには「Hachamecha」がいる。そのためMIDとADCの両キャリーに助っ人枠を割くことができる。かつてはDFMがあのPazをコンバートしてまで模索して挫折した日本人JG運用に成功しているからこそできる独自スタイルとなっている。

ただ、日本人JG運用自体は以前から成功しているしキャリー2枠をKRに託すのも前期から変化がない。今期のポイントはSUPのGrendelがTOPに、そしてatyamomoがSUPになった。TOPでも指折りの実力者Napが出られないことで、結果的に前期より「より割り切った」スタイルとなった。
一つデータを出すと
Nap:15分段階のCS差は-0.4/金額差は+94
Grendel:15分段階のCS差は--12.4/金額差は-442
春に比べて15分段階で「TOPのレーン」では約650Gの不利を背負っているというデータが出ている。

一般的に考えれば「大幅な弱体化」である。だが実際は8勝0敗。これはネタのように言われている「GrendelがTOPでサポートしている」という話が実際に行われていて、そして理に適っているということを表している。他にもデータを出すと、GrendelのDPMはNapよりも80も低く、チームのダメージシェアを見ると14.7%、8チームのTOPで最下位の数字になる。Napの特色でもあったレーンの強さで言うと、Napは21試合でソロキル8回、約3試合に1回はソロキルがあるが、Grendelに関しては8試合を終えて0。

いっぽうキル関与率はNapからプラス10%強されており、1分間の視界スコアもNapの0.91から1.18と一気に伸びている。この視界スコアはTOPで8チーム中トップになっている。この傾向から分かる通り、本当に「サポートが2枚」いるのがこのCGAであり、このサポート2枚がキャリーを手厚く保護することによって強みを増幅させた戦い方が今のところハマっているのがCGAということになる。

個人的には、これは本当に「強み」を活かした良い戦い方だと思う。初戦勝利時のインタビュー時に解説の人が、かなり否定的なニュアンスを込めて「メタと逆行している」と指摘していた記憶があるが、たまに見る攻略ブログなどもそうなのだが、言ってしまうとLOLの日本シーン全体において「メタ」に沿うことが正義、のように語られている感がある。ただ今回のCGAはそこに一石を投じているように思える。

勿論調整により強いチャンプ弱いチャンプがあるゲームで、トップメタのキャラを使ったほうが数値的には数%有利になるのも事実だろう。ただそれは「全キャラをまんべんなく100に近く使いこなした者同士」の話ではないかと。究極的、理想的にはそれがベストだが、実際はそうも行かない。日本のシーンはまだトップレベルでないという前提で、過去に同様の立場から世界でアップセットを起こしたチームを考えると、例えばロシアのアルバスノックスルナは、メタ外にも程があるブランドサポートとバードサポートの超攻撃的BOTレーンで世界に風穴を開けた。ギガバイトマリーンズは相打ち上等のキルゲームのなかでJGにキルを集める戦い方で、遠かったNAEUと互角に渡り合った。いずれも「強み」を考えた上での戦略だろう。今回のCGAも「怪我の功名」といった感があるが、この2サポートシステムでどこまで行くか、そしてどう崩すか、というのも今後の見どころだろう。

自分は格闘ゲーム、ストリートファイターシリーズもよく見るのだが、そちらももちろん「調整」はあり「メタ」はある。「メタ」に沿うなら、シーズンごとに、メタに愛された強キャラを使っていけば良いはずなのだが、そういったスタイルで上位を維持できたプレイヤーというのはほぼいないと言っても良い。また、1対1なのだから「カウンターピック」を多く持っていたほうが有利に思えるが、そういった「多キャラ使いわけ」で上位に君臨したプレイヤーというのも、44キャラすべて大会に出せるとまで噂されたスト4時代のInfiltration、また近年だとスト5のNuckleDu等少数に限られる。そして、スト5の大型大会を見ていると「オフメタ」の強さをひしひしと感じられる。スト5界は日本人が上位プレイヤーの過半数を占めており、各キャラクターの世界トップレベルが国内、東京にいるため練習環境としても充実している。そしてそれが日本のシーンとしての強さを支えているとも言われているが、大型大会では、その「日本にあまり使い手がいないキャラ」があれよあれよと優勝にまで上り詰めてしまうことも珍しくない。

例えば、EVOのストリートファイターシリーズで初めて「アジア以外で」優勝したフランスのLuffy。彼が使用していたキャラクターは日本でも使い手の少ない「ローズ」というキャラクターだった。日本でも最強レベルのプロや、後にプロになるプレイヤー「ときど」「ももち」「マゴ」「えいた」「ふ~ど」といった、ほぼ日本オールスターのようなメンツを相手に、もう一敗もできないトーナメントを勝ち上がり、決勝では「ボンちゃん」を破って優勝を果たした。

年末に1年の総決算として行われるCapconCUP、この2017年にも同様のことが起こっている。世界のポイントランキング上位で競われるトーナメントで、ドミニカのMenaRDが「バーディー」といった、これまた世界的には不人気寄りのキャラでドミニカに栄冠をもたらしたのだった。どれくらいマイナーだったかというのは、日本語解説でもこの「MenaRD」を最初「メナード(メナ アールディー が正解)」と呼んでいたほどマイナーなプレイヤーのオフメタ一閃である。直近のEVO2018でも、イギリスのProblem Xが決勝では2年連続の連覇を目指す日本の「ときど」相手にこれまた日本で使い手の少ない「ベガ」を出して優勝。実際にインタビューでも「日本人はアビゲイルよりベガのほうが慣れていないのでベガを使った」といった趣旨の発言もしているように「オフメタ」が刺さる場面が目につく。

話がずれたのでLOLに戻すと、戦いが一巡していよいよ各チームのデータも揃ってきた段階であり、この戦い方の強みや弱みも十分「対策」される頃合いだろう。例えばGrendelの特色として、レーンであれだけ一般的に「負けている」と目されているデータが出ているのにもかかわらず、実際のデス数はTOPで最下位。最もデスが少ないTOPレーナーでもある。EviやPazよりも、だ。今までは、対CGAとしてなんとなくレーンで勝ててる風に思えるから潰しきらずにガンクをMIDBOTに送っていたと思われるが、「金額差を背負ってもいいからデスを減らす」というCGAのトップレーンの特色がわかれば、例えばTOPのスプリットプッシュにどう対抗するか、というのも対戦相手は考えてくるだろう。

データだけ見ると、PazがTOPでスプリットを始めたら、基本的にはLunaをサイドレーンに出さないといけないだろう。では1:3:1をぶつけられたら?等々…。今までの相手チームはTOPをドミネートでなく、CGA同様サポーティブなピックを当てて「なんとなーくレーンで勝ちながら集団戦でも貢献できるようなのにしよー」という傾向があった。そして全チーム負けてきた。違う手を当てられたときのCGAの動き、ここにひとつ今日からの中盤戦は注目して見ていくと面白いはず。注目はTOPレーン。あとはあちゃももニーコのバンを忘れずに。そこからがスタートです。

2位 V3 6勝1敗

2019から優勝経験メンバーを揃え、実質DFMPGMシャッフルチームのような感があったが、春は主にJGが噛み合わずそこから迷走して失速。しかし今期はゆとりもやしの電撃加入、とまたチームの熟成度を不安視されながらも、ここまでCGA以外には全勝。

もともと春も下位に沈んでいたがレーナー個人個人のスタッツは悪くなかったなか、春はJGの不調からメンバー変更を繰り返し自滅していったが、夏は新加入のbabyがここまで好調。レーンもレボルさんの言葉を借りるならば「Win Lane、Win Game」という形で非常に愚直なストロングスタイルで戦っている。少し王道と違うのはその破壊力を「両サイド」すなわちTOPとBOTが担っており本来キャリーとなるMIDのAceはどちらかといえばディフェンシブという点。ただ、春はとにかく生存することには長けている一方、ダメージが出ていない部分もあったが、この夏は生存率はそのままに、ダメージも出せる形に進化。具体的な数字を出すと、DPMは春に比べて約100上がって415、これはDasher、Lunaに次いで3番目の数字だ。一方デス数も1.4とLunaに次いで2位。春の良い特色を生かして正当進化している。

MIDは潰れにくい、TOPはPaz、BOTはもやしとviviD。このTOP/BOTが本調子なら1on1、2on2で誰が止められるだろうか。TOPはEvi、あとapaMEN、Napあたりが候補だったが後ろ二人は現在試合に出ていない。BOTはゆたぽんGeang、Art、Odduigiくらいでないと無理だろう。JGが絡めば、といった形だがTOPにガンクすればBOTが育つ、BOTを潰しに行けばTOPが育つ。本調子ならば厄介極まりないと言える。

TOPもBOTも上位三本の指に入るであろうメンツを揃え、MIDはある意味において「わきまえて」Feedしないように戦いながらもダメージが出せるようになった今、この順位に居ることは全く不思議ではない。実況解説陣が軒並み上位に挙げていたのも頷ける結果。

ただ、選手面に問題がないにしても、V3の弱みは初回にも挙げたが「チーム運営運用面」にある。現状1敗を喫した対CGA戦においても、散々見せていたCGAのユーミに対し解説のレボル氏は言葉を選んだ結果「チャレンジ」という言葉をピックしたが、言葉通りチャレンジに負ける形で試合ごと負けてしまった。逆に言えば、変な手を打たなければ、チームワークも悪くなさそうな現在では「穴」が(自分たちで作らない限り)CGAより見当たらないチームと言える。V3の肉体はムキムキ、ただ頭脳戦ではどうか、といったところ。V3を押しのけて上位に行きたいのなら、まずはバンピックが第一のポイントとなるだろう。自分から綻びを作ってしまいがちなチームなので、積極的に綻びを作らせる戦い方がV3対策になってくるかもしれない。

3位 DFM 6勝2敗

我々はLJLで歴史的な瞬間を目撃している。DFMが1位から陥落したのは「2017SpringRound 7」以来。おいおいセルティックかよ!(スコットランドのサッカーチーム)、とか、おいおいディープインパクトの有馬記念かよ(国内唯一の敗戦)という話である。ただし見てる人は分かると思うが、これは決して「DFMの落日」といったものではない。用兵上の都合であり、現に既に持ち直しつつある。

スタメン変更は他のスポーツでもよくあることで、例えばサッカーなどでは「ターンオーバー」という考えが既に浸透している。サッカーに疎い人は高校野球でもイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれない。例えば甲子園でいえば、2019の夏の目玉である163キロの佐々木投手を擁する大船渡高校は、春は「岩手予選一回戦」で負けて姿を消している。岩手の一回戦は163キロを打ち崩せるのか!というわけではない。控え投手が投げて打たれて負けただけ、というオチで。

しかしこの「ターンオーバー」、サッカーや野球は基本的に「疲労度」を考慮したもので、eスポーツ、特に日程が緩いLJLでの「ターンオーバー」は考えにくい。となると今回のMIDにRamune起用の目的の一つは「テスト」であり、もう一点としては「研究対策」の可能性もある

「世界」を見据えたなかで、春のMSIではロシアのVEGAに(主にジャグリングを)徹底研究されていた感があり、もし研究されていなければ…というのはおそらくチーム側でもあっただろう。毎回ぶっちぎり優勝をしているリーグ戦と世界戦でスタメンが違うとなれば、相手に対してかなりの「奇襲」を仕掛けられる。これは世界戦でのアドバンテージとなるだろう。勿論「試合勘」というリスクもあるのだが。

DFMは2敗した段階で今回のターンオーバーを諦めてCerosを先発に戻している。見ている人の中には「こんなに早々に下げるなら試す意味がなかったのでは」と思った方もいるかも知れない。「もっとRamuneを長い目で見てやれよ」という声もあるかもしれない。ただ、この「2敗」はLJLのレギュレーションではまさしく「デッドライン」なのだ。野球の「自力優勝/マジック」という考え方に基づくと、「2敗」は、むしろよく2敗まで引っ張った、といえるレベルなのだ。

野球ファン以外に簡単に説明すると、LJLは同一チームと3試合しか戦えない都合上、現在1位のCGAに1敗しているのを考えると、ここからDFMが全勝しても19勝2敗、CGAがDFM以外に全勝してDFMに負けると19勝2敗、直接対決スコアでDFMが優勝になる。これが「3敗」になると「自力優勝の消滅」となってしまう。3敗してからいくらぶっちぎりで全試合パーフェクトゲームで勝っても、3敗するとCGAがどこかに負けない限り優勝できない、ということになる。おそらくはCerosが先発に戻った理由はこれだろう。これならば、まだ自分は「1位DFM」に張れる。

ただ怖いのは「上の書き込みはすべて憶測である」という点。今の状況に「かずーたが気づいていない」可能性も少しだけある。これで血迷ってまたベストメンバーを出さずに負けると相当リスキーな展開となってしまう。

もしCGAに逃げ切られると、2位3位でのプレーオフで当たるのはPaz、もやしを擁するV3になる可能性が現状高い。すっかり忘れたあの苦渋を再び舐めたいわけでないなら、優勝が決まるまでLJLで遊ばないことが優勝の条件になってくるだろう。未だ優勝候補、現在DFMで一番の不安材料は、ぶっちぎりでスタメン決めしてるかずーたコーチ。策士策に溺れる、とならないことを願おう。DFM対策として一番簡単なのは、試合週になったらインスタ映えするスポットでタピオカ片手に「#Ramuneを出せ」というワードを広めるなど、外圧的な草の根運動が一番かもしれない。

というのは冗談だが、プレイヤーの良し悪しは別にして、感情論でなく事実ベースで、スタイルとして考えると、実際にRamune選手のようにじっくりレーンを戦いながら一発ソロキル(あるいは1バースト)で試合を動かすというスタイルで2敗している一方、Cerosのガンプッシュから始まる山王オールコートプレススタイルはまだ1敗しかしていないのも事実。未だにDFMはこのスタイルをマトモに崩されていない、という強みがある。正面から崩したのは、「あのdiamondproxが未だ健在のJG修羅の国ロシア」のVEGAがジャングルから、あとは「Scout、iboy、meiko」なんて世界レベルのレーン戦を誇るEDGくらいだったりする。というわけで、ここからCeros固定なら、未だに「DFM優勝候補筆頭」と言えるだろう。

最後に、今回の用兵の一件、うまく立ち回ればDFMがプレーオフのキャスティングボードを握ることも可能ではあった。もちろん八百長はNGだが、スタメンを変更することには特に縛りがない。2アウト満塁一打サヨナラの場面、代打で今期打点0の鳥谷を出すのは八百長でも何でもないのだ。打つかもしれないのだし。野球の場合は敗戦した場合もスポーツニュースがインタビューしてくるが、LJLではそんなこともないので黙っていれば良い。

この考えまで頭に及べば、こういった可能性も考えられるだろう。もし、かずーたコーチが今期一番恐れていることがSGとのプレーオフ一発勝負で、SGを相対的に凹ませるためだけに描いたシナリオだとしたら……。狙い通りかは不明だが、前評判の高かったSGは現在下位に沈んでいる。踊らされているのは我々のほうかもしれない。LJLはかずーた劇場だった……!?


4位 BC 4勝3敗

大幅なメンバー変更のあった中で、この4位BCも当てるのが難しい部類だろう。実際に「ようやっとる」の一言に尽きる。TOPは対面に約7割でCS勝ちを収めている。負けた相手も上4枚のみで、拾える勝ちを丁寧に拾っているという印象。どこが特別に強い、という部分はなかなか見当たらないのだが手堅い。

この手堅さを作っているのがOnceになる。春は15分段階で相手に-179Gの不利を背負う、序盤に弱いタイプだったが夏には改善。ここまで15分段階で+425Gと特に序盤で優位を築くのに成功している。もちろん夏は試合数が少なく、一試合Feedするだけでこのスコアが反転する可能性もあるが、それでも今期はチームと噛み合っている印象がある。

MIDのRokiは春のまとめでも「序盤に強い」と書いたがそのスタッツは現在も維持しており、Rokiが対面KR相手にも臆せず作った微有利が、ほかでいつのまにか霧散してしまっていたのが春のBCで、その霧散の元栓のひとつ、JGをガッチリ閉めれているのが現在の好調の要因、といったところだろうか。

BOTは若干凹み気味だが、ほかが微有利を作れており、それを手放さずに最後まで行けているのが現状の4位の理由だが、1勝しているUSGはアパメン不在という手負い状態。また、「強みはここ!」という一点突破のポイントがないのが強みであり弱み。一応TOPダリウスが一つあるが、ここぞの隠し玉程度にしておくのが懸命だろう。アパメン復活後のUSGに勝てればこの順位のキープは現実味を帯びてくる。が、そこから上、プレーオフラインを狙うには上3チームのどこかを崩す必要があり、その糸口が現状見当たりにくいのが少し厳しいところ。そういう意味でも現状は「ようやっとる」で、一つ上に行くにはなにか強みが欲しいように思える。


5位 RJ 2勝6敗

サポートに元TOPのAllycatを据えるなど、チームを組むに当たり苦労が相変わらず見えるRJ。2勝6敗だがもう少し勝ちを拾えた可能性もある。現在のRJの強みとしては、どのレーンも結構ダメージを出せる、という部分で、TOP、MID、BOTどれをとってもダメージ4位という形になっている。JGのワイバーンは僅差の3位で2位にも手が届きそう。つまり火力自体は4位相当の力があるのがRJ。

弱点はやはり不安定なディフェンス面。攻める面ではそこそこの数値が出ている一方、デス数はJG含めた全レーンでワースト1位になっており、火力と引き換えに圧倒的に死にまくってるのが現在のRJということになる。卵が先か、という話になるが、視界面でも視界を担うJGとSUPの視界スコアは最下位で、他のプレイヤーも軒並み低く、真っ暗闇の中死にまくってる、という状況だ。唯一ZerostがADCのなかでは視界スコア3位と相対的に視界意識が高いが、サポートなどと比べるとゲーム全体における視界の貢献度は限定的といえるだろう。

このデス数を改善することができれば、LJL屈指の攻撃的JGを武器にジャイアントキリングも狙えるだろうが、現状はそこまで行く前にデスを重ねて失速してしまっている。ある意味強みと課題がわかりやすいチームで、これをチームが把握できていて、修正しようとしているのならば、今後気を抜けないチームになるし、このままデスを重ねるようだとズルズルといってしまいかねない。割り切ってベトナムスタイルで行くのも面白そうだが、まあそんなことにはならないだろうとも思っている。Yukiは呼んでも(枠的に)戻ってこれない。Yukiロスからチームを立て直せるかがカギ。


5位 SG 2勝6敗

こんなはずでは、感もあるし、こういう可能性もあるな、と思っていたとおりになったフシもある。春も前半下位に沈みながら後半怒涛の仕上がりで4位にまで登ってきたが、そのチームワークはブレイクを挟んでリセットされてしまった感がある。

OdduGiは相変わらずダメージが出せているのだが、実はSGはOdduGiだけでなくダメージ的にはTOPのReiyaが出していたチームだったのだ。Paz、Eviと遜色ないダメージを出しながらもキルが少ない。これはうまくハラスをして、OdduGiへのパスが出せていた、ということに他ならない。

実際に春ではSGのダメージの26%を出していたのがReiyaだったのだ。春とほぼ同様のダメージを出しているOdduigiの平均キルが3.5から2.4にガクンと下がっているのは、OdduGiが決める前に削りきれていないという事実の現れだろう。代わりに出ているのが新人のDonShuだが、ここまで苦戦が続いている。

あともう一点、触れなければいけないのがBlankになる、ただこれも上と関連する話になってくる。Blankのハンドスキルが折り紙つき、十分にすごいことは見ていて分かるだろう。実際にヤバい場面を何度も生存しているのを目にしているし、それはスタッツにも現れていて、前任SmileがJGで一試合平均3.1デスだったのが、2.3デスとかなりのデスの低下を見せている。ギリギリのラインで生き延びるBlankというのがイメージだけでないのがよく分かるデータになっている。

ただ一方、そのハンドスキルが活かせていない感があるのも確か。OdduGiもそうだが、攻撃に転じてキルが取り切れず敗走、という場面を今期のSGはよく見る気がする。要はダメージが足りていない。実際BlankのダメージはJGの下から2番目タイだ。BlankがJGコントロールに忙殺されて戦いきれていない、十分な準備のない中戦わざるを得なくなり、頑張るが敗走、といった形だろうか。

コーチも変わった、一流選手が来た、TOPはまだ新人と考えようによってはまだまだ伸びしろがあるチーム。春のようにチームが熟成されてくれば春後半以上の爆発力も期待できる。怖いのはずっとトップシーンでやってきたBlankとコーチが、この連敗で心が折れてしまうこと。きっと負けることに慣れていないであろうなか、無力感を募らせてしまう、というのはあまりに悲しい。過去Jリーグに来た外国人選手も、周りとのレベル差と勝てない状況にモチベーションを下げて、ひっそり帰国というのを何度も見てきたし、実際今期のヴィッセル神戸も似た状況と言えるだろう。ぜひOdduGiとTakaで、チームのモチベーションだけは下げないようにしながら、なんとかチームの完成を待ってもらいたい。完成形のSGはおそらくLJLファンみんなが見たいと思っているはず。Blankが輝く試合を見せて欲しいところ。


5位 USG 2勝6敗

LJLを長年見ているファンなら、誰しもが頭によぎるであろう言葉「夏のUSG」ここにあり、といった感まである。ただ、今回だけは同情の余地がある。春のUSGはDasherであり、apaMENのチームだった。長年apaMENのチームであったのは確かなのだが、最長連続出場を経て大爆発したのが今期の春シーズンだった。そんな連続出場が途切れたというのはUSG創設以来のことでありパニックが起きても仕方ない。にしても負けすぎている。

例えば、これはTOPで代わりに入ったArumikが足を引っ張っているのか、といえばそこだけとも言い難い。前期絶好調のapaMENと比較するとあまりに酷なので夏のレーナーとして見ると、KDAは4位となんとか善戦の部類に食い込んではいる。一方、やはりダメージはTOPでもほぼ最下位レベルでありダメージの比率もGrendelに次いでTOPで下から二番目。Grendelは割り切っての動きだが、それに次いでとなるとかなり厳しい。なんとか食らいついてはいけているものの、上位を目指すには物足りないといったところなのは確かだが、出場経験のない新人に全責任を負わせるのはあまりに酷だろう。

ここで見てほしいのが「えんてぃーびー」。USGのEntyによるYoutubeチャンネルで、そこでは一部USGのボイチャの内容も公開している。上でリンクしたのはapaMENのペンタのときのVCだが、この短い中でもスプリットしながら状況を相談、TP中にはケイトリンコールをかけ、実際に戦闘に参加するまでTussuleとともにコールの中心を担っているのがよく分かる。インタビューなどでは寡黙に見えるapaMENだが、経験からくるUSGの「目」としても大きな役割を担っていたわけで、その「片目を失った」USGのダメージは大きく、おそらく新人では埋めきれない「差」があるものと思われる。

チームとして見ると、前半15分では平均で+678Gと相手に対して勝ち越している一方、試合時間は8チーム中最長。つまり15分まで勝っていながら勝ちきれずにひっくり返されてしまっている。その要因の一つが「目」だろう。また、ダメージ割合もDasherが35%と、2位のTakaが25%に比べてぶっちぎりのなか、ADCが27.5%と下から二番目。

まとめるとレーンは比較的うまく行っているもののマクロの視点を欠き試合時間が伸び、伸びれば伸びるほどADCのレンジとダメージが重要になるものの、そこが出せずに負けている、という状況。

ここまでおそらくUSGも分かっているのだろう。今週電撃ニュースが入った。USGに謎のサブADCの加入が発表されたのだ。Hから始まるというそのプレイヤー、一体誰っちなんだ…?という茶番はさておき「はれっち」のUSG復帰が決定。ブランクはあるものの純ADCとしての腕は折り紙付き。USG創設時のメンバーがUSGの危機に駆けつける展開、これは巻き返しが十分期待できるだろう。一番の心配は、「はれっち副音声でLJL見るのに慣れちまったから今日からどうしよう」というところ。TwitchのLJLチャット欄は論外なので、OPENRECのLJL配信復帰を強く望みます。


8位 AXIZ 1勝7敗

オール日本人の特色が抜けた現在、どうにもフォーカスしづらいチームになってしまった。ほかチームと同じ土俵にあがった上でこの結果、というのはなかなか。よほど待遇がいい、などでなければ来季以降の選手獲得にも悪影響を及ぼしかねない。

そんなチームカラーと同じように戦い方もいまいち決まりかねている印象。目下の課題はダメージ総量不足。Smile以外はロール最下位レベルで、Smileもせいぜい中盤といった形でダメージ量は低い。ならばそれなりの戦い方をしているかといえば春と同じく割とオーソドックスな戦い方。

Smileも一人でキャリーするよりコントロール型なことを考えると、打開のポイントとなるのはやはり「でい様」。Day1は隣に助っ人を置いている以上、言ってしまえばRJ、USG相手には有利が取れないと「助っ人」という概念がおかしくなってしまう。実際にUSGには勝利しているのでそこは良いが、チームの期待的に1勝では物足りないだろう。

春と違い、助っ人補強したのだから有利を取れるレーンの組み合わせが存在する以上、もう少し勝ってもおかしくないはずだが、春の結果があるのでなんとなく許されてる感がある。有利を取れる可能性の出てきたBOTレーンのほかに、春に見せたuinyanのイニシエートしていけるキャラでの一発がもう少し見られると春のイメージを払拭できるかもしれない。


おわりに

書きかけだったの忘れてた

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