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MSI2023開幕直前 DFMと対戦相手の戦力チェックその1 PSG&LOUD編

ということで5/2から始まるLOLの春季世界大会、MSIについて、時間がないのでいつもの前置きはすっ飛ばして本題に入りたい。日本からはDFMが出ます。以下敬称略。

1.大会形式と組み合わせ

MSIとは、ざっくり言うと、中国(LPL)/韓国(LCK)/北アメリカ(LCS)/ヨーロッパ(LEC) からなる4大地域(メジャーリージョン)から春の代表を2チーム選出、日本(LJL)/ベトナム(VCS)/ブラジル(CBLOL)/ラテンアメリカ(LLA)/環太平洋(PCS:実質ほぼ台湾)からなるマイナー地域(マイナーリージョン)の各1位が集まって戦う世界大会になる。メジャーマイナーという括りは近年曖昧な感があるのでなんとなくで。

で、試合についてはワールドカップやWBCをイメージしてもらうとわかりやすいが、一次トーナメント(プレイイン)と決勝トーナメントに分かれている。で、メジャーでも下位のLCSとLECの2枠目も混ぜて色々フェアになるルールでくじ引きした結果が下の画像です。いつものようにwikiから勝手に借りてます。こういうの公式が用意して欲しいんだけど。


日本が入ってるのはグループB。このグループ各々でBO3で戦い、グループ1位で抜ければ決勝トーナメントにストレートイン。この2枠と、あと各グループの2位同士がBO5で戦い、勝った方が3枠目として決勝に行ける、という形になっている。

つまり日本が初戦で当たるのはPCSとなり、この初戦で勝てばいきなり「グループ決勝」行きになる。そこでさらに勝てれば2戦で1位突破が決まる。

また、今回はダブルイリミネーション制となっており、初戦で負けても即敗退、とはならない。ならないが決勝トーナメントへは厳しい道のりとなる。

具体的に書くと、初戦PSGに負けるとルーザーズブランケット行きになる。そこで、同じグループBのもう一つの対戦、G2とLLLの「敗者」と戦うこととなる。ここで負けたほうは「2敗」となり退場となる。例えばLLLがルーザーズに来て、DFMがそこには勝ったとする。その場合次に戦うのは「グループ決勝」で負けた側になる。例えばG2とPSGが「グループ決勝」に進み、G2が勝ってPSGが負けた、となると、初戦でやったPSGとの再戦になる。これがルーザーズ側のグループ決勝、といったところで。もちろんそこで負ければ終わり、勝ったとしたら、同じ手順で上がってきたグループAのルーザーズ側決勝を勝ち上がってきたところと「ラストチャンス」で戦うことになる。そこで勝ってやっと3枠目として決勝トーナメントに進めるわけだ。

まあ長ったらしいが試合が進むにつれてちゃんと説明してくれると思うので簡単に「1回は負けてもOK」「ただ1回負けると厳しい道」「2回負けたら敗退」と覚えておけばよいと思います。

今回は目下当たる可能性の高いグループBと、あと相手側の山グループAを軽く、といった感じで見ていきたい。

ちなみに見立てとしてグループAは勝ち抜けはほぼBLGで確定。ディープインパクトの菊花賞くらい固い。100円かけて100円帰ってくるレベル。2番目としてグループAのルーザーズ決勝に来るのはGAMかGGか、これは近年ベトナム地域があまり世界大会に出れていなかっただけに力関係が分かりにくい。多分それでもGGじゃないかな、と。
◎BLG 〇GG ▲GAM くらいで。

グループBはAより格差が薄いがそれでも◎G2はほぼ固い。2枠目が難しいが、PSGが一応頭一つ抜けてるものの、DFMとLLLがほぼ横並び、といったイメージ。◎G2 〇PSG ▲DFM だが相当な団子と見ていい。メタの流れや体調なんかで簡単にひっくり返るくらいの差と見ていいだろう。


2.PCS1位 PSG Talon


まずはここ数年のPCSとの対戦成績をおさらいしておきたい。昨秋WorldsではPCS2位のBeyond Gamingに勝利。21Worldsでも同じくPCS2位のBeyond Gamingに勝利、と地域的な相性はいいと言ってもいいだろう。DFMの強みは分析力の部分があると思うので、恐らく地理的要因からスクリムくらいはしたことあるであろう相手というのもプラスに働くはず。ただ、今まで当たってきたのはPCSを2位で抜けてきた相手であり、今まで当たってきた相手の一つ上にPSGがいるのも間違いない話で。もちろん強敵だが、リーグ戦、プレーオフ共に序盤つまづいている。リーグ戦は15-3で勝ってきているがそのうち2敗を開幕6戦で喫しており、プレーオフも下位相手に3-2/3-2とギリギリでの勝利で勝ち進み、決勝は3-0といった形になっている。新環境に慣れる部分に苦しむ傾向があるのならば、初戦で当たったのはラッキーともいえるかもしれない。

TOP Azhi   KDA2.8/1.4/5.5 KP60.2% DMG22.4% CS@15;38.5%
JNG JunJia  KDA3.7/2/5.6    KP68.4% DMG16.6% CS@15;76.9%        MID ubao KDA2.5/1.7/5.9  KP61.8% DMG22.6% CS@15;38.5% 
BOT Wako  KDA4.1/1.6/3.9  KP62.1% DMG31.3% CS@15;53.8% 
SUP Woody   KDA0.2/1.8/9.9  KP77.1% CS@15;69.2% 

スタッツはリーグでなくより本気で戦ったであろうプレーオフから。見てわかるようにゴリゴリのBOTキャリー型、同様にMIDサポーティブなタイプともいえる。チームの特徴としてそこまで序盤から強いわけではないが、この成績でも1試合平均3.15のドラゴンを獲得しておりトップ、同様にヘラルド獲得も1試合平均で1.38とトップ。序盤はスロースタートながらJGがオブジェクトを獲得しつつ後半でエンジンに火を入れる、というのが一番得意なパターンだろう。

注目はまずBOT、ナミルシアンの採用が多く、またアフェやザヤでも好成績を収めている。一方MIDはあまりうまくいっておらず、アーリで0-4、トリスMIDを出したりしてなおこのダメージ量なのはちょっと物足りないか。タリヤやガリオ、アニーといったサポート寄りの動きが出来るチャンプも出している。あとはJG。若くして台湾から中国EDGに渡り、サブながらそこそこ大事な場面でも出場機会を貰いつつ都合6シーズンを過ごし台湾に帰ってきた。とはいえまだ20で老け込む年でもない。近年最強リーグともいわれるLPLの上位チームでサブとはいえ席を確保する腕前、KRやEUWでソロキュー1位も踏んでいるほどのLOLうまおであり、DFMとしても正面からのハンドスキル勝負は避けたい相手だし、出来る限り動きはつかんでおきたいはずだが、そう簡単にやらせてはくれない相手であり、Stealがどこまで食いついていけるかに頼む部分があるだろう。

と見ていくと、DFMの狙い目としてはやはりMIDだろう。レーンが強いAriaが序盤からドミネートして川あたりの視界まで抑えてタワーに押し付けられ続ければ、得意の序盤オブジェクト重視、ドラゴンを取る訳にもいかず、あちらの得意パターンを潰せるかもしれない。いくらうまいJGでもMIDを抑え込まれると動きに相当な制限が出来て活躍が難しくなるのはLJLの下位チームなんかを見ているとよくわかることでもあり。

DFM的には呂布カルマを相手にした時のR指定のようにゴリゴリ来るタイプのTOPでないこともプラスだろう。tol2は後半良くなってきてスタッツも整ってきているが、前にも書いたようにDMG的な部分はV3を相手にトリスで900超稼いだ分もあり、一部で見られるようにもうLJLトップクラスという評の論拠となっていると思われる、スタッツを額面通りに受け取るのは待った方が良いと個人的には考えている。おそらくSG戦同様にTOPは大崩れしない、というのを念頭に置いて動くことが予想される。一点注意なのは、PSGのTOPはダメージバランスを考慮してかAPトップも出せるところか。MIDがプレーオフでのアーリが0-4となっており、MIDトリスを出したりとAD過多になるときにバランサーとして動く役割を担ってもいるように見える。逆に言えばAPTOPでバランスを取ってきた際にTOPが1on1で抑えられれば、かなり展開が向いてくるだろう。

と、結構いけそうという評を置いておくがもちろん不安要素もある。DFM国際戦の敗着でよくある序盤勝利からの中盤もたつき癖。レーンがうまくいきすぎて落ち着こうとしてるのかペースダウンして、かといってドラは渡しちゃって15分でゴールド有利だったのに25分には4ドラリーチ掛けられて不利になっていたり、というのをまあまあ見る。PSGは先ほども書いたように序盤こそスロースタートなわけで、中盤からの動きを得意としている。もたついている間に逆転、というのはDFMがよく食らいがち、PSGはむしろ得意、というわけで、DFM的にはおそらく15分段階でトントンから有利を築けていると思われるので、そこで一息入れずに畳みかけて25分で試合を終わらせるくらいの気持ちでいったほうが良いのかもしれない。また、いけそうというのもDFMを応援する気持ち込みであり、近年の国際戦実績等を見るにまだPSGのほうがDFMより1ランクは上に見える。ただ、コンディション等でひっくり返るくらいの差に近付いてもいる感がある。

この試合、最初に書いたように、勝てば1位抜けが相当近づくうえに、BグループのG2が相当抜けて強いこともあり、DFMもPSGも「2位」の枠を実質的に狙うことになる。この初戦が終わった後どちらかがルーザーズに落ちるが、その先、グループBの2位代表決定戦で再戦する可能性は相当高い。もし負けるにしても出来れば色々試してなるべくPSGからの情報を引き出すことが重要であり、実はこの初戦そこまで無茶苦茶重要でもない、という感も少しだけあったりもするのでそこらへんを念頭に入れてみるのも面白いと思われます。

おまけとしてPSGを侮れないポイントの背景、PCS地域の地盤沈下を最後に。かつてPCS地域(当時は別の名前)は恐れられる強豪地域でした。WorldsのSeason2では⁠Taipei Assassinsが優勝し、Season3でFaker戴冠からFaker第一次黄金期となった頃も、この地域は「KRキラー」と長らく呼ばれていました。Worlds2015のベスト8、黄金期SKTに0-2で抑え込まれてからのWestdoorフィズによる2度のFakerソロキルは、今もLOL史の名シーンランキングを投票で選ぶとしたら上位に食い込んでくるでしょう。ただ、Worldsはその2015を最後にベスト8まで残れていません。MSIではたびたびベスト4まではいきますが、それより上はなかなか行けていません。PSGはそんな地域で生まれたある種のスーパーチームであり、地域を背負っているわけです。実は地域として人材がいないわけではありません。世界的ジャングラーのKarsa、MIDのMapleやBOTコンビのBettySwordartなどは有名です。ただ、中国LPLが近いがゆえに、活躍すると中国や世界へ、という形で出ていき、国内が空洞化してしまっている部分があります。つい数年前に出てきたDoggoも即LPL行きになっています。これはLCKと近いがゆえに優秀な助っ人がよく来る分、国内人材が育っていない日本とある意味逆かもしれません。ただ、国内空洞化という悩みは共通でしょう。

しかし、似た悩みを抱えているとはいえ、看板の重さは日本とは比較になりません。Worlds上位には長らく行けていない、もう地域の2位チームはWorldsのプレイインもなかなか苦しい、となっているなか、1位チームがかつての最低Tier地域の日本に1位同士で負けることとなれば、今でも徐々に下げられている地域の地位が、一気にガクッと落とされても、最悪マイナーリージョンと横並びにされても文句を言えなくなってしまいます。ですからPSGにとっては地域のためにも負けられない試合であり、Tier3地域の日本に対しては、勝利でなく圧勝を欲しているでしょう。欲しているというよりは必要としている、まであります、そんな背景を感じながら試合を見るのもまた味わい深いのではないでしょうか。

3.CBLOL1位 LOUD

LOUDと当たるシナリオで一番可能性が高いのが、DFMがPSGに負け、G2がLOUDに勝った先のルーザーズ1回戦だろう。LOUDも侮れないチームではあるが、G2相手は流石に厳しい、というのが大方の見解で、自分も相当高い確率でそうであろう、と考えている。

そんなLOUDだが、昨年DFMと戦い、結構競った展開もあったものの最終的に1-3でDFMに敗れている。その頃とメンバーは4人同じ、変わったのはADCで、韓国人のRouteになっている。実は日本と縁近く、JAG時代にはYahalongと、その前の2部時代にはHogletとチームメイトとして戦っている。もちろん強さはあるだろうが、LokeNほどぶっ飛んでいるわけではない、という見方も出来る。ともあれこれでLOUDもJGとADCの2KRとなっており、地力の部分ではレベルアップしたと見ていいだろう。ということでプレーオフでのスタッツがこちらになる。

TOP Robo  KDA3.3/2.7/5.5 KP57.2% DMG23.8% CS@15;72.7%
JNG Croc  KDA2.9/2.5/8.5    KP72.4% DMG13.8% CS@15;81.8%        MID Tinowns  KDA2.7/1.1/7.4 KP65.3% DMG21.8% CS@15;27.3% 
BOT Route  KDA6.1/1.9/5.2  KP73% DMG34.9% CS@15;45.5% 
SUP Ceos KDA0.5/1.8/10.6  KP70.9%  CS@15;63.6% 

見て思った人もいるかもしれない。昨年やられたときほどRoboが圧倒的ではない、と。ただこれも面白いカラクリがある。LOUDが戦った11試合のうち、相手がRoboの得意ピックであり、あのEviを対面にして暴れきったオラフをバンした回数は10回。つまり11試合のプレーオフで1回しかオープンにならなかったのだ。で、空いた1回ではオラフをプレイし、KDAは10。DFMもBAN枠は確実に一つ潰れていると言ってもいいだろう。被バン率2位は73%のレネクトン、3位には55%ナー、とこのプレーオフ「徹底的にターゲットバンをTOPに引き付けて、半数以上の試合で得意ピック3つ潰された上での数値」と見ると数字以上の怖さがあるだろう。

注目選手はやはりRobo。これだけBan枠を割かれてなおプレーオフでソロキル6回はトップ。一人で試合を動かせるプレイヤーなのは間違いない。ただRoboに手数を割けば、反対サイドのRouteが暴れる、というTOPBOTダブルキャリー体制がLOUDの戦い方と言える。そのためJGがタンクに行ったりすることも多く、MIDもプレーオフでタリヤ4回リサンドラ4回と、ダメージよりも寄りの早さや妨害に重きを置いているのがわかる。序盤からTOPの個の強さでゴリゴリいきつつMIDはセーフティ、相手がTOPを止めにかかれば機動力のあるMIDとコントロール系JGがBOTサイドに向かい有利を作りにかかる、といった形がLOUDの理想形だと思われる。

結構組み合わせ的にはDFMが苦戦する未来もあるかな、といったところ。一つはEviでも手を焼く場面が多々あったRoboのゴリゴリにTOPが1on1で耐えられるか。耐えられなければインヒビまであり得る話であり、Stealがフォローしていっているのが見えれば相手はドラゴンチャンスでありBOTで仕掛けるチャンスでもあるわけで。となればDFMの突破口はAriaになってくるが、MIDは相当腹を決めてプレイしているのが分かる。ベトナムほどとはいかないものの超オフェンシブスタイルが主流のブラジルのMIDでデス1.1は、相当意識して生き残っている、チーム戦略としてそうしているのが見えてくる。となればAriaを対面にしてそうそう前には出てこないかもしれない。押し付けられてもタリヤなら寄りの早さで先手を取ることも可能だし、普段からその動きを考えていると思われる。相当日本で見ないスタイルである分、去年当たった事のアドバンテージがあると思われる。とにもかくにも注目はTOP。うまくケアできればDFMの勝ちは相当近いはず、といったところか。


4.とりあえずまとめ

とりあえずだが、色々可能性があるうちでPSGに勝ってG2に負けてPSGと再戦orPSGに負けてLOUDに勝ってPSGと再戦、の2パターンが相当高い確率だと思われるのでまずはこの2つを抑える形に。G2に勝ってしまったらもうそれはすげーって話だし、PSGとの再戦で勝ったら多分次は相手の山の2位なのでGAMが濃厚か、試合が見えてきたらまた書くと思います。


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