eスポーツ不祥事、問題発言周りの”守るシステムの弱さ”と他スポーツ比較

eスポーツ関連で一般レベルに対して話題になることは優勝やらなんやらより「不祥事」ではないだろうか。ヤフーなんかのに載るのはもっぱら問題発言で解雇、といった話題で、そこにヤフコメで「これだからeスポーツは」的な苦言が並ぶのが常となっている。

たしかに不祥事発言はまずいし悪い。悪いのは悪い。でもなぜこれだけ「eスポーツが」となっているかというのは、もちろんストリーミングの存在もあるが、それ以上に「選手の守り手がいない」という部分になるのではないだろうか、と様々なスポーツを見るのが趣味の自分は思うわけで。簡単に言えばこの記事の要点は「ごめんなさい」「専門家を含めて確認いたします」「再教育徹底します」のシステムをeスポーツ界は法律家と早急に作ったほうがええのでは、という話で。

例えばノーセプのこの記事。差別発言とあるが、自分が軽く流れを聞く限りFワード絡みだと聞く、それも一方的に罵ったわけでなく、相手からひどいこと言われての売り言葉に買い言葉的な部分も少なからずあったと。

そこの経緯や、なんならこのあとだらだら書く俺の言いたいことの10割は、20割、100割は現役弁護士の方がnoteに書いてるのでこちらを見ていただきたいところで。↓

もちろん悪いことは悪い、ただ「一発解雇」が本当に妥当か?他スポーツを見ると一発解雇はかなり重いのでは?という話であり。悪いことは悪いことだけど、ごめんである程度済むこともあろう、という話で。このあとの「他スポーツ事例」の中にも、「当事者間で話し合い謝罪」という解決プロセスを取っているものもあるわけで。もちろん相手が深く傷ついて国際的な問題に発展して、なんてこじれた話ならともかく、「相手も近いレベルのことを言ってきている間柄」で「配信に乗せたから」解雇、というのはどうにも大きすぎないか、「言い合い」の中なので相手もそこまで望んでないだろう、という話で。望めば自分にも罰が来てしまうわけで。

ならばノーセプが「謝罪」してる相手は誰なのか、「誰」に責任取ってクビにしてるのか。これはもう「世間」に対してなのではないだろうか。世間に対して「許されてしかるべき措置」の距離感が図れずに「出来る限りの厳罰」となっている感も個人的には感じるところで。これはこのチームに限らずであって。

これだけでは「お前はゲームが好きだから甘い」となるかもしれないので他「スポーツ」のFワードの扱いの例を見てみよう。例えば野球。聖人大谷選手がいるからまじめで品行方正な大正義のピュアピュア軍としか「日本の一般レベル」では報道されない感のある大リーグエンゼルス。ただそこでもFワード絡みの問題が起きている、それも昔でなく今年開幕直後。数か月前。

記事を読んでもらえば分かるが客の胸ぐらをつかんでそれ系のワードを発言し、なんなら殴ろうとして空振りになった動画がネットに上げられた。いまも動画が見られる。

で、このFワード+胸倉掴み案件の処分はどうだったか。「4試合の出場停止」と「相手に電話してごめんなさい」で終わり。年間160くらいある試合のうち4。

そしてこの記事で注目したいのが、「当初5試合の停止だったが選手会との調停で4試合になった」というところ。要は「選手会」が第三者的な立場から冷静に見て、調停というプロセスを経て罰の軽減となっている。

こう見れば「選手同士の言い合い」なのだからeの案件も同様に「ごめんなさい」で良いのではないだろうか。レンドンがごめんで許されて、テンテンのほうは「許されない発言」として一発解雇になった差、ここにe関連の厳罰主義というか選手を守る部分の弱さを感じる次第で。

ちなみにこのFワード胸倉掴みの騒動、後に大谷がベンチで真似してなんなら周りと笑ってるのでは、という話題にもなっていました。音声はないとはいえ、もし本当にFワード絡みのことだったら茶化して大丈夫?これがもし日本のeスポーツ界なら大変なことになりそうな話ですが……。

まあ大聖人大谷選手のこういう一面は日本の一般レベルでは映りませんが、結構ユーモラスというか(稀に)際どいジョーク的なふるまいをする部分もあるというのもそれなりに見ている野球ファンなら知ってる話でもあって。僕は野球ファンですが全然気にしません。なんならちょっと相手を煽るみたいな話とかもスポーツ文化の一部だと思っている人が自分含め多数でしょうし。

このeスポーツのおそらく「法周り」の弱さ、言ったら「戦う気」がないので首を差し出すこの姿勢、その場しのぎではいいのでしょうが、守る姿勢を見せないといわゆるゴシップ系メディアの狩場にされてしまう、という危惧もあります。

例えば上のメジャーのFワードの話、これは取り上げても4試合出場停止で言ってしまえばそこまで問題になってないわけで。でも同じワードをe関連が言ったら一発クビ、一人の人生を狂わすには十分なわけです。メジャースポーツではチームや選手会が火消しして「そんなに大きな話題ではないですよ」「解決に向けて動いています」となるなか、eではチームが「誠に申し訳ございません」と言い訳なしの平謝りで首差出し。そらゲーム的に言えば「タゲられる」のはどっちか、というのも分かる話でしょう。

メジャーだけが特別かといえばそうでもありません。”Fワード スポーツ”で検索すればそれこそいくらでもニュースが出てきます。


Fワード自体絶対に許されない!的な発言もよく見ますが、なら上のニュースにも同じレベルで憤慨するのでしょうか。ちなみにこの発言で誰も引退してません。まあ状況は違えと同じFワードなわけで。ただ、Fワードの後についた言葉の分だけ確かに今回のeスポーツ案件は重たい、というのもある程度理解できますが、その判定はもっとプロフェッショナルに委ねるべきでしょうね本来。

「一発解雇」と同じFワードを繰り返しても「悪童」で済まされる業界の違いはなんなのか、という話こそが今回の趣旨であり。ここで言いたいのは「他でもF関連言ってるからいいだろ!」ではないです。「他でも言ってて、そこではしかるべき反省と対処があり一発業界退場とはなっていない、だからe関係も一発クビでなく「ごめんなさい」のシステム作りが急務では?」という話で。

例えば「ごめんなさい」のガードがうまく行かなかった結果業界ごとタゲられた例でいえば一つスノボー周りがあるでしょう。「反省してまーす」で悪い意味で話題になったスノボー業界は、それこそウインタースポーツ業界ごと巻き込んでその手の「粗さがし」を食らった歴史があります。eスポーツはネットカルチャーから影響を受けるように、ウインタースポーツのいくつかはストリートから影響を受けます。そのなかにはいわゆるスラングや一般的には不適切、とされる言葉もあったりしますし、公式の場には不適切な服装が流行りだったりもしますし。出るのも若者が多いです。そのため若者を唆す感じで記者会見でラップを促して笑いものにしたり等々もありました。結局反省してまーすから数年後、メダリストのコーチとして業界に返り咲くと、今度は手のひらを返すように「当時はあんなことで騒いで……」みたいな論調にマスコミもなっていた感があります。まあそのあと再度手のひらが返ったりもしましたが。

スノボ業界がある意味運がよかったのは、ストリートと近い部分があったという部分でしょうか。要は既存マスコミなんて、みたいな空気も若干ある訳で。だからあまり取材などされない中、いわゆるXスポーツ的な発展にもつながり、その中で多少の発言があってもわざわざマスコミにチクりに行かないわけで。比較的クローズドな世界が作れ、その中で伸び伸びできた、という部分もあるのでしょう。

一度タゲられると、そら人間ですし掘り返せば痛い発言もあります。いまツイッターなんてある訳で、掘り返したらスラングとして使ってた「今思えば」ヤバ目の発言も多いでしょう。プロはプロになるとき全員一回削除したほうがいいのでは、と思ったりもして。

実際タゲられるってどういうことだよ、って思う方には例として、「オリンピック開会式批判」を。これも記憶に新しいところで。

オリンピックは高い!なんか金儲けしてる!反対!的な流れで、開会式のアイツはダメだ、という話からもう関わるものすべての粗を探しに探そう、となった流れです。別に表に出してない企画会議で出た発言を切り取って公に出して「こいつ悪いぞー」とクビにしたりしていましたが、オフレコでも悪口やブラックジョークの一つない聖人っているのでしょうか。あれ、表に出さなければ渡辺直美さんの耳にも入らなかったわけで、わざわざ表に出してニューヨークの渡辺直美さんにまでアポとって「あいつ会議でこんな悪口言ってました!ひどいでしょ!よく読んで!どう思います?」って、これわざわざ手間かけて渡辺直美さんにいらんダメージを押し付けて、でもこれ言ったの伝えに来た僕じゃなくてアイツです!っていう、冷静になれば不毛な話ではないでしょうか。わざわざ悪口を掘り出してそれをはるばる海外まで伝えに行く悪意というか。知らぬが仏、ということわざもあるわけで。

あの騒ぎの中で皮肉だなーと思った意見の中に「数年前の安倍マリオは最高だったのになんでこんな奴に頼んだんだ!」的なのも見ましたが、いや、おんなじ人やで、っていうね。いい作品を作る人が全てスペシャルな人格完璧聖人でもないわけで。

ここらへんは過去に「日本人が議論できない理由」として「意見が違えば敵と思ってしまう」「白は白!黒は全部黒!悪い奴は敵!擁護する奴も敵!つまり擁護も悪い奴!」「意見と人格を結び付けてしまい限定的賛成/部分的賛成、等の考え方が出来ない人がいる」みたいなものをどっかの何かで見まして、それが完全に合ってるかはまた議論の余地がありますが、上の意見はまさにそれっぽくもあり。世の中生まれながらの完全悪なんてDIOか水戸黄門の悪代官くらいなもんだけど、そう考えられない人も意外といるもんやねという。

例えばまた大谷を例に出して悪いが、これもまたよく見る意見で、例えばテニスプレイヤーがラケット叩きつけてる話題で「一流の選手は道具を大事にする。大谷選手は道具を粗末に扱ってるの見たことない」みたいなそれっぽい意見、これ一見それっぽいかもしれないが、いや大谷一番有名なWBC優勝のとき思いっきりグラブ放り投げてますやん、みたいな。大谷は凄いし基本はナイスガイだけど、そらテンション上がればたまにはグラブくらい放るしイラついたらバットを叩きつけることだってあるって話で、どうも世間の大谷評の中には「自分が思い描く世界一の聖人」を重ね合わせてる人が「そんなに野球詳しくない人ほどよくいる」ような気もしてね。大谷大変やなって。BSでやってるんだからたまにはハイライトでなくて試合も見たほうがいいよって。まあこれがレアケースなのも確かで、その証拠にバットに当たり慣れてないから折るとかじゃなくて叩きつける、それもグダグダになってるあたりもまた大谷っぽさがあるが。

オリンピック開会式に関しては、騒動の挙句、音楽担当は20年前のインタビューを、演出を担当していたコントグループは20年前のライブ掘り起こされて「イジメやってた!」「旧ドイツの事ネタにしてる!!!」って騒ぎでクビにしたわけで。かなりあの頃はドミノ倒し感があった気がします。20年前の掘り出してどうこうなら、学校の英語と音楽の授業で引っ張りだこのジョンレノンとかどうなんの?Sometime In New York Cityとか1曲目のタイトルからド直球Nワードなんだけどええの?歌詞も相当で、今の日本eスポーツ選手が読み上げたらヤフコメ欄で叩かれるようなワードもあるような。20年前はNGで50年前はOKなん?ここらへんちゃんと説明できる人っているのかな。いたらひろゆきと語り合ってほしいところで。

繰り返すが、みんなやってるからいいだろ!と言ってるわけではなく、こんなん掘り返したらキリがない、っていう話であって。だからこそ選手個人の責任10割!でなく、業界やチームが力を合わせて「ごめんなさい」のシステムを構築することが大事なのでは、という話であって。掘り返しまくったら偉そうにコメントしてるおじいちゃんだって東大に火焔瓶投げてたやん、みたいな話にもなってまうかもしれないわけでさ。俺の祖先も戦争でひどいことしたかもしれないし一揆とかしてたかもしれん。むっちゃ遡ったら野生のマンモス倒したりしてたかもしれん。でもそういう時代でそのころごめんなさいして許されていまコメントしてるわけやん、だから今の子もごめんなさいするシステム作ってやろうや、って話でさ。そんな感じになりませんかね、と思いました。

結論:eスポーツチームは懇意の法律家づくりと地域貢献活動をしよう

さてなんらかの結論を、と思ったけどだいたい弁護士さんのnoteがすべてなのでなかなか。とりあえずはちゃんと理解して整理して調停してくれる懇意の法律家を作るのが大事なのでは、と。「クビ」とするとニュースになる。一時的には「責任を取るチーム」と映ってスポンサー受けはいいかもしれない。でもそれが続けば「守ってくれないチーム」となりいい選手の獲得に支障をきたすだろうし、そうなればスポンサーも離れていくだろう。いまの厳罰傾向はあまりに得がないのではないか、と。

今回の件にしたって「まずは謝罪」「事実関係の確認と相手方との話し合い」で数日後に「しかるべき反省プログラム」というのが上で見たメジャーリーグ同様いわゆる他のプロスポーツでの手順だと思うのだが、おそらくそこまでのコストがかけられないのかもしれないが、結果的に「謝罪」からの「放り投げ」になってしまっているように見えてしまう。なんなら一番大事なのは相手方との話し合いではないだろうか。そこらへんがすっ飛んでるのはなんだかなと思ってしまう。

あとは地域貢献活動。最近はeスポーツチームが地方の冠を名前につけることが多いが、見ていてそこまで「地域色」を感じることがないわけで。別にその地方の選手で集え、とまではいかないが、Jリーグあたりを見習って、例えば練習場の解放とか、日曜は地域ボランティア団体と一緒に駅前ゴミ拾い活動に参加しています、とかでもやったほうがいいんじゃないかと。これは別に媚びてるわけでなく、サッカーでも普通にやってることであって。選手が忙しいなら現地スタッフがチームユニ着てみんなとゴミ拾いして朝挨拶する、それだけでも「味方」とは言わないけど「そんなに悪い人じゃない」と思ってくれる人ができるわけで。グランパスの例を出すが、J関連のチームほとんどどこも何かしらやってるわけで。

結局こういう風に地域に根差すとなにがいいって、発言一つで世界中敵みたいになってしまってる選手も、例えば「口は悪いけどそんな根っから悪い子には感じなかったけどね」と思ってくれる人が多少なり増えるわけで、それは例えば暴言で世界中敵に感じてしまってる人の社会復帰的な部分含めて救いになるんじゃねえの、って話でもあって。あるいは、こういう繋がりも感じることで発言に責任感も生まれるって話でね。

あとは練習場に一般の人が出入りするとなれば、練習中の言動も外行きのマトモなものになるでしょ。社会性があまり機能しないクローズドな状態だと言動とか行動が変なことになったり行き過ぎたりしますし。試合情報が洩れる?漏れて困るくらいの試合してるeスポーツが日本でいくつあるよ、って話だし、サッカーだって試合直前は「秘密練習でマスコミシャットアウト」とかするんだから決勝前だけそういう風にすればええわけでさ。

という話で。いい話でしょ。eスポーツ社会貢献部門作りたいチームの人、連絡待ってます。当方無職です。

最後の一文で説得力ゼロになりましたがそんな感じで。

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