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公的サービスDX雑感(自動車保有関連手続のワンストップサービスで悶絶)

引っ越し=数多の手続き

私事だが、3月に都内で引っ越した。
念願のリモートワーク部屋も手に入れ、ようやく寝室での作業からも解放された。めでたい。

さて、引っ越しといえば色々な手続きが必要だ。
最近では行政のDXも少しずつ進んでいるので、転出届はマイナンバーカードでオンラインにて完結できたし、転入は相変わらず手書きの書類が多くてイライラしたが、まあ徐々に進んでいくのだろう。

そんな中、自動車についても所有者・使用者の住所変更と、車庫証明の取り直しなどが必要なので、これもオンラインでできるのか調べてみたら自動車保有関係手続のワンストップサービス(以下OSS)というものがあることが分かった。
システム屋たるもの、オンラインの窓口があるのであれば使わないわけにはいかない、という謎の矜持と使命感を持って使ってみることに。
マイナンバーカードも使うということなので、まあ他の手続き同様、さくっと使えるのかと思っていた。
なにせマイナンバーカードを使ったワクチン接種証明書の発行なんかはとても使いやすかったし、少々複雑かもしれないが、そこはシステム屋のITリテラシーで乗り切れると思っていた。
が、その考えは甘いことが後で判明する。

OSSの利点

自動車の住所変更について、一般的な流れを説明すると

  • 警察署への手続き(車庫証明)

  • 運輸支局への手続き(車検証・ナンバープレート変更)

の二つが必要で、通常は両所に足を運ぶ必要がある。
また、住所が変わったことを証明するために

  • 住民票の取得

も必要なので、役所またはコンビニでの住民票取得も必要だ。

OSSを使えば、警察署・運輸支局への訪問回数を最小限に抑えることができる。

しかし、この利点をフルに享受するためにはいくつかの注意点が必要で、無事に手続き完了まで進めるためにはかなりのハードルがあった。
順番に説明していきたい。

①住民票コードを事前に取得せよ

「マイナンバーカードなら持ってるよ」って方。違います。
「住民票コード」です。なんじゃそりゃ?
はい、こういうことです。

住民票コードは、平成14年に付番がなされた個人を識別する11桁の番号です。 現在では、マイナンバーの付番がなされていますが、マイナンバーの作成の基礎となった番号が住民票コードになります。 主に資格の登録等で使用することが多く、個人番号(マイナンバー)同様任意で住民票に表示できる番号になります

https://www.city.koriyama.lg.jp/site/yubinseikyu-portalsite/23089.html

そういえば平成の頃「国民総背番号制」なんて揶揄されて、左派勢力が反対していた。そしてこの流れがマイナンバーの時にも再燃していた。
いかに行政手続を効率化して無駄のない社会を作るかが今後の日本の課題なので、政府は強い意志を持って推し進めればいいと思うのだが、肝心なところでビビッて任意取得にしてしまったのが保険証廃止問題にも尾を引いて本当に残念だと思う。

話を戻そう。マイナンバーとは別にこの「住民票コード」が分からないと、結局住民票を陸運支局にもっていく羽目になる。もう全然ワンストップじゃない。
しかもOSSのシステム上住民票コードの入力は任意入力で、申請後に追加入力もできないので、申請前に住民票コードの取得はMUSTである。
私の住む自治体では住民票コードを知るための住民票の発行は無料とのことだったので、家族全員分記載したものをこの機に取得した。

②キャッシュレス納付の事前登録が必要

これ、普通のWeb申請の感覚ではありえないのだが、申請の前に支払い手続きが必要ということらしい。
こちらのサイトで手続きできる。
こちらで支払う時に入力した車体番号で、後でOSSで住所変更申請する時に入力する車体番号と紐付いて受付完了するようだ。
ちなみに先に本申請をしてしまうと、エラーにはならずに処理ステータスが進まないまま放置される。コンタクトセンターに問い合わせるとこのままでは進まないので新規に申請し直すことを案内される。
せめてステータスを異常終了にしてほしいところだ。

③ワンストップ風だが結局警察署と運輸支局の独自フローが魔合体しただけ

前述のキャッシュレス納付は国土交通省への納付。これは自動車関連手続きの費用で、実は警視庁にも恐らくは車庫証明の発行費用として支払いが必要だが、こちらは別途インターネットバンキング等で支払うフローになっている。どこにいくらどうやって払うのかが本当に分かりづらい。
まさに既存の業務フローを無理やりオンラインシステムに乗せただけである。
車庫証明用の見取り図も自分で作成してJPEGファイル化してアップロードしないといけないのだが、結局警察署の方が現地を見に来るので住所と写真のアップロードでよくないか?(ちなみに私はExcel方眼紙で書いてスクリーンショットをJPEG化した。こんなん普通やらないってw)

誰のためのOSS?

本システムは代理人による申請も可能なので、ユーザの多くはディーラーや中古車販売業のみなさんなのだろう。
仕事でいつも使っていればさすがに使い方は覚えるので、あまり問題にならないのかもしれない。

最終的には色々乗り越えて、無事新しい車検証と車庫証明を手に入れることができた。
心折れそうな時、以下のブログが大変参考になった。先人の皆様が苦い経験を文書化してくれたことに感謝したい。おそらくこの記事たちがなかったら諦めて陸運支局と警察署に通っていたことだろう。


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