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スーパーフォーミュラの大きな開花


初めに:春が来ました

みなさん、お久しぶりです。Yamaping RRです。
長らく更新が止まってしまい、申し訳ないです。
私は元気ですが、時期的に少し気分が落ちてます・・・。
私は今、大学生なのですがこの4月から4年生に進級し、最高学年まで到達してしまいました・・・。
4年と言えば就活を思い浮かべる人がいるかもしれませんが、私はまだそのステージにいないと感じています。
また、私の通う大学では卒業制作という、作品作りをしなければならず就活と同時並行で行うのにはかなりハードスケジュールであり、リソースが多く削られそうです。

そんな暗い話はさておき、春が来ました。
春と言えば新学期のスタートのほかにスポーツの新シーズン開幕が挙げられます。
先月もWBCで日本が優勝し、当時の所属メンバーはもとの所属チームでオープン戦を戦っています。
モータースポーツも同じことが起きており、今回の題材であるスーパーフォーミュラは4月8日から9日まで富士スピードウェイで2連戦が行われています。
そのほかにもF1が3月6日にバーレーンにて、SUPERGTでは4月15日に岡山子国際サーキットにて開幕戦が行われます。
F1はレッドブルが開幕戦から勢い強い発進を見せチーム3連勝中、ベテランアロンソも開幕戦から3戦連続で3位表彰台を獲得し自身100回目のポディウム登壇を果たしました。
SUPERGTでは3月11日12日に岡山で、同月25日26日に富士にて公式テストが開催。
新たな顔ぶれと共に良いスタートダッシュを決めるチームがどこなのか、開幕戦までとても待ち遠しいですね。

開幕戦富士から無事に新シーズンがスタートしたスーパーフォーミュラ。
今年は一味違うとても興味深い進化を遂げました。
今回は、そんな進化について深掘りしていきたいと思います。

進化

その1:マシンの変更

スーパーフォーミュラでは2022年までSF19というダラーラ製のマシンを用いてシーズンを戦っていきました。
SF19は2019年より投入され、2022年までの4シーズンで使用されました。
2022年のシーズンオフ中にSF23の新規格のマシン制作を行うと発表、ベース車両はSF19であると明かされました。
目的として、接近戦やオーバーテイク回数の増加を見込んでおり、開発テストは良好であるとされました。
装着されるカウルにはカーボンのほかに天然素材を使用しており、例えばリアカウルには麻を原料とした素材を全体の3分の2の量を使用。
カーボン素材と同等の剛性および質量を担保しつつ、原材料や製造過程で発生する二酸化炭素排出量を約75%抑制するといった環境に配慮した設計を施しました。
供給される燃料にもバイオ燃料を使用しておりマシン・レース全体を通して環境にやさしいカテゴリーへと進化しました。

第1戦終了時点では、接近戦やオーバーテイクの回数が前年度と比べ増えた印象です。
接近戦でよく行われるスリップストリームからサイドバイサイドへ持ち込みコーナーでオーバーテイクするといった戦いが良く見られるようになりました。
コーナーギリギリまで接近戦を披露する限界的な戦いが見られますので今後の戦いにも期待しましょう。

白虎(ホンダエンジン搭載車)
赤虎(トヨタエンジン搭載車)

その2:ネット配信の進化

これまで、スーパーフォーミュラはCSやスカパーなどで配信を行うスポーツ専門チャンネルを運営するJSPORTSのみが配信を担当。
実況も現地実況を行うピエール北川さんや木幡ケンヂ アナウンサー、中島秀之アナウンサーなどモータースポーツではおなじみの面々が担当しています。
しかし、2023年から新たに株式会社AbemaTVがNEXT50 PARTNARSに加入。
第1戦第2戦の富士2連戦を無料にて配信を行った。
AbemaTV側では実況を木幡ケンヂ アナウンサーが担当し解説を中山雄一選手、ゲストに日向坂46の富田鈴花さんが出演。
第1戦を観戦してみて、印象的だったのがどこまで実況・解説するかの範囲の違いでした。
JSPORTSの場合、初めて見る人や観戦歴が少ない人向けの初歩的な解説はもちろんのこと、マニアや観戦歴が長い人に向けた細かい詳しい解説も行っており、すべての観戦者をまとめて見やすい環境であること。
AbemaTVの場合、参入してきたのが今年からなのか、初心者に向けた初歩的な実況・解説だったと感じました。

そして、こればJSPORTS、AbemaTV共通なのが配信画面の進化。
下の画像が2022年、上の画像が2023年です。
一目で違うとわかるのがタイミングモニター。
2022年は画面左側に現在の順位、上部中央に現在のラップ数が掲示されています。
しかし、2023年にはそれらが全て画面左側に集約されました。
字体も2022年は文字が細く、使用するエンジンもトヨタやホンダのエンブレムといったかなりシンプル。
一方2023年には字体は太くエンブレムもHRCやGRのロゴに変わりました。

2023年のタイミングモニター
2022年のタイミングモニター

また、ピット回数やレースコントロール、無線の表示も追加され、非常に見やすい画面となりました。
ですが、私の意見としてはF1の表示に近と同じになったなと思います。
F1の画面表示もスーパーフォーミュラと同じで画面左側にタイミングモニター、画面上部にレースコントロール、そのほかの細々とした表示もすべて同じ。
F1とスーパーフォーミュラ、どちらが見やすいかといわれれば、スーパーフォーミュラですかね・・・。

ピット回数表示(2023年)
無線表示(2023年)
レースコントロール表示(2023年)

その3:アプリの登場

JRP(日本レースプロモーション)はスーパーフォーミュラの観戦をさらに面白みを増やす試みとしてSFgoと呼ばれるアプリをリリースしました。
SFgoはレース観戦そのものを拡張することを目的に、全ドライバーの無線・オンボード映像・オーバーテイクシステムの状況など、レースの情報ほとんどをファンがレースを見ながら取得できるという素晴らしいアプリ。
無料版、有料版の提供がなされており、無料版では無料動画の視聴、お気に入りドライバー/チームの最新情報が受け取れるのですが、有料版ではマシンGPS、オンボード映像、無線など様々なサービスを受けられる。
有料版は月額課金か年間課金のどちらかが選べるため、レースをフルに楽しみたい!という方には有料版がオススメです。

SFgoの紹介

その4:新たなドライバーの参戦

2023年は多くの新人ドライバーが誕生しました。
特に外国人ドライバーが3人も参戦しており、激しい戦いが予想されるでしょう。
簡単な解説にはなりますが、2023年から参戦開始する新人ドライバーのご紹介をします。

リアム・ローソン/無限
リアム・ローソンはオーストラリア出身の21歳。F1に最も近い男と称されている。
7歳でカートを始め、2014年に2度のカートカテゴリーでのチャンピオンを獲得する。
2019年にF3選手権に参戦後、2021年にF2にステップアップ。
2022年にはアルファタウリ・レッドブルのリザーブ/テストドライバーを務めながらF2に継続参戦しシリーズ3位を獲得。
2023年からアルファタウリ・レッドブルのリザーブ/テストドライバーを継続し日本へ来日。スーパーフォーミュラにチーム無限から参戦する。
第1戦に見事1勝をもぎとった。

リアム・ローソン/無限

小高一斗/KONDO Racing
小高一斗は神奈川県出身の23歳。
2015年にFIA-F4に参戦し2018年にシリーズ3位を獲得。
2019年に全日本F3選手権へカテゴリーチェンジ。
2020年からスーパーフォーミュラ・ライツにステップアップしシリーズ3位、2022年には同シリーズでシリーズチャンピオンを獲得した。
2023年からスーパーフォーミュラにステップアップしKONDO Racingに所属する。

小高一斗/KONDO RACING

太田格之進/TEAM DANDELION RACING
太田格之進は京都府出身の23歳。
2018年にJAF-F4に参戦し、2021年まで同シリーズで戦う。
2022年にスーパーフォーミュラ・ライツに参戦し、小高に次ぐシリーズ2位を獲得する。
2023年からスーパーフォーミュラへステップアップし、TEAM DANDELION RACINGに所属する。

太田格之進/TEAM DANDELION RACING

ラウル・ハイマン/B-Max Racing
ラウル・ハイマンはイギリス出身の26歳。
2013年にF4選手権に参戦し2014年にシリーズ3位を獲得。
2015年にヨーロピアンF3に参戦し2シーズンを戦う。
2018年に参戦したアジアンF3で、2022年のフォーミュラ・リージョナル・アメリカでそれぞれシリーズチャンピオンを獲得。
スーパーフォーミュラにはB-Max Racingに所属する。

ラウル・ハイマン/B-Max Racing

ジェム・ボリュクバシ/TGM Grand Prix
ジェム・ボリュクバシはトルコ出身の25歳。
5歳の時にモトクロスを始め、6歳でモトクロスのトルコ選手権で優勝する。
2007年からカートに転向、2009年にトルコカート選手権でシリーズ3位を獲得し2012年まで戦った。
2017年の後半からEスポーツを始め、主にフォーミュラ系のタイトルをかけて戦い、当時のトロロッソEスポーツチームに所属した。
2019年からフォーミュラルノーとGT4シリーズの二足の草鞋を履く。
2022年にフォーミュラ・リージョナル・アジアとF2に参戦し、めぼしい成績は残せなかったが、スーパーフォーミュラに参戦すべくリアム・ローソンと共にテストに参加。
2023年からTGM Grand Prixのシートを獲得するに至る。

ジェム・ボリュクバシ/TGM Grand Prix

まとめ

これまでスーパーフォーミュラは9割方、日本人のドライバーで占められており、スポット参戦の外国人ドライバーはあれど日本人だけで戦ったシーズンが存在します。
日本人ドライバーの中でもWEC経験者の平川や小林、F2参加歴を持つ松下など海外での経験豊富な選手がいるもののほとんどは日本国内カテゴリーで戦っているにとどまっています。
しかし、F1やインディカーシリーズといった海外のトップカテゴリーへのステップアップの足掛かりとした選手も一定数いるため、これらの実績が海外ドライバーに届いたという形になったのではないでしょうか。

また、アプリの登場や新興型配信といったインターネット関連の大きな進歩が見られます。
これらのサポートを行ったのがデロイトトーマツと呼ばれる世界的コンサルティング企業。
NEXT50 トップパートナーとしてJRPをサポート、SFgoの開発やSF23の構想案の提案といったSF NEXT50プロジェクトの推進を図る重要な業務を担当。
ドライバーやチームへのスポンサードも積極的に行っており、資金面でのサポートも惜しみないです。

つまり、デロイトトーマツによる功績がスーパーフォーミュラの進化の一助になっていることは明確であるでしょう。

最後に

日本のモータースポーツは海外のモータースポーツと比べ、かなり落ちぶれていると言っては言い過ぎかもしれませんが、かつての勢いを失いつつある状況であるのには変わりないでしょう。
戦後の高度経済成長期やバブル期のモータースポーツ人気が大絶頂を迎えていた時代から30年以上経過しており、日本国内の不景気なことも含めその人気は下ぶれています。
その下ぶれた、暗い状況を許さんとするデロイトトーマツやJRPを含めたチームやドライバー、スポンサー。
彼らが一致団結して、2023年を迎え大きな進化へと昇華させたことでしょう。

これに続かんとする他カテゴリーが現れることを願って。

以上、Yamaping RRでした。
また次のnoteでお会いしましょう。

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