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やっぱり学びに身体性は大事やよなと思いつつ、同時にオンラインを活用しないってのもないよな、などと思う朝(に書き上げようとしたけど、間に合わなかった)

まだ直接お話をさせてもらったことはない(こういう表現も、ちょっとずつ時代遅れになってる気もしつつある自分に気づいたりもします。Twitterだったかと思いますが、やり取りさせてもらった記憶があるので)のですが、関西大学社会学部の松下先生のnoteを拝読しました。

かなり同感です。そしてまた、これに関連して、専修大学の望月先生のTweetも考えさせられます。ここらへんの問題意識は、私なりに同じものを感じてます。

実際のところ、昨年来、オンラインだけでやり取りさせてもらった方も増えています。対面じゃないからって、それがすぐに途絶えるわけでもありませんし、そこから拡がっていったこともあります。その点で、オンラインによって拡がった空間は、けっこう大きいように感じています。

意図せぬ、しかも、意識もしない“接触空間”としてのオフラインキャンパス

一方で、先日まで次のゼミのメンバー選考をさせてもらって、ちょっと感じたこともあります。で、あらかじめ申しますが、これは今の2回生を難じようとかいう意味合いはまったくありませんので、その点だけは重々ご承知おきください。たまたま、私のゼミへの応募者がそうだっただけなのかもしれませんが、かなりいろいろ発信してきたにもかかわらず、思った以上にゼミ活動について深く見てもらえてなかったなという印象がありました。もちろん、「あんたのゼミに魅力がないだけだ」と言われてしまえばそれまでなんですが、そこについては機会があれば別途反論します(笑)

あと、ちょっと危惧したのが、やはり社会的関係性の幅が狭くなっているのではないかという点。もちろん、これとて自分で拡げていくことは可能です。ただ、私の勤め先のように、ひじょうに規模の大きな大学は、それはそれでいろんな人がいて、(直接的コミュニケーションはなくても)身体的にその存在を感得するという側面があったのだなと思わされたのです。要は、自分の興味のある関係性に特化してしまっているということなのです。

「意図せず、自分が想定してなかった“シャワー”を浴びる」というのは、もちろんネガティブな場合もありますが、同時にそこから拡がっていくものもあると思うんです。それって、できれば1年次に身体的に体験してもらいたいな、と。

ただ、レクチャー型科目については、オンラインを最大限に活用したほうがいいと思う(もちろん、対面も組み合わせていい)。

そのあとに続く専門的な内容のレクチャー的科目に関しては、むしろオンラインを最大限に活用すべきだと思います。私自身、まだ全然できてないんですが、どちらかというとフィードバックに焦点を置きたい。ただ、コンテンツを揃えるのもけっこう一苦労で、そこまで辿りつけていません。

ここで、「コンテンツなんて“ありもの”でいいやないか。お前なんかの講義より、もっとええのがあるわい」という発言が聞こえてきそうですが、私はそれは違うと思っています。自分で咀嚼して、それを体系化して、時として批判的(←ケチをつけるという意味ではありません。内容をよく吟味して、そのよいところを酌み取りつつ、矛盾点や難点を乗り越えていくという意味です)に考えたところを伝え、そこから受講生と一緒に考えていくというのが、教員の仕事だと思ってます。

ちなみに、2021年度後期は大人数レクチャー型講義は、こんな感じでやってます。

大人数(150名超)を前提としたレクチャー型講義(2021は完全オンデマンド)

2021大人数レクチャー型授業スタイル

ほんとに自転車操業で、2021年前期は何とか(対面の機会は残念ながらありませんでした)できましたが、現在進行形の後期は正直きっついです。とはいえ、オンデマンド講義素材が揃ってきたら、もう少しフィードバックに重点を移せるかなとも期待しています。

まだ大人数講義で対面ができる状況にはなってない(私の勤め先の場合)のですが、いずれは復活してくるんじゃないかと思っています。そのときに、今までどおり教室内で一方向的なレクチャーばっかりやってもしょうがないきがするんですよね。

なので、ある程度、内容として固まっている部分についてはオンデマンド講義素材に入れてしまって、リアルタイムオンラインにせよ、対面にせよ、ライブでやる内容は、例えば新しい内容だったり、事例だったり、ワークだったり、場合によってはゲストをお呼びしたり、講義から派生する雑談だったりなど、柔軟にやりたい内容に絞り込むというのがよさそうに思っています。

ワーク型科目の場合は、よりリアルタイムオンライン / 対面の比率を高めて。

もう一つ担当している科目は、レクチャーもあるのですが、ワークもちょっと多めに採り入れています。受講生も多くはありません。なので、こちらはこんな感じで。

少あるいは中人数(60名以下)を前提としたレクチャー&ワーク型講義

2021特講K授業スタイル

こちらは、すでにリアルタイムオンラインとオンデマンド講義素材を併用してやっています。先日も、日本の大手電機メーカーF社でDXやデザイン経営の実践に携わってらっしゃるお二人に、ゲストでおいでを願って、雑談的な雰囲気も出しつつ、お話を伺う機会を設けることができました。

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それに、気象状況とか、交通状況で来れなくなることも、それなりに会ったりすることを考えると、リアルタイムオンラインを活用する意義は、それ相応にあるわけです。

ただ、受講者にワークをやってもらうときは、やっぱり対面がいいかなって思う部分がでかいです。というのも、やってる過程にいろんなヒントもあるし、他者がどんな感じでやってるのか視界に入ってきたりもするし(意図的にチラ見するんじゃなくて、結果としてチラ見になったという感じ)。それが個別の空間からの受講になってしまうと、そういうことができなくなるんですよね。

もちろん、リアルタイムオンラインであることによって集中できるって側面もあって(ある意味で、科挙かラーメン屋さんの○蘭さんか、みたいな感じ)、ここが悩ましいところではあります。

教員側からしたら、少なくともzoomだとやってるプロセスをチラ見しながら、「あ、そこ大事」とか「そこは、こうしたほうがええで」とかって言えないのは、なかなかにつらいんですよね。だから、ワークをやる場合は、基本的に対面のほうがありがたいし、人数にもよるけど、きめ細かく対応できるように思います。もちろん、BYOD(Bring your own device;自分が持ってるデバイスを使って参加する。もちろん、学びに使うんだから、ちゃんとした質のデバイスをリーズナブルに購入・準備できるような仕組みは必要だと思います)で、PCやパッドなどを駆使してもらうのが、なおいいのかなと。

で、こういうスタイルの科目でも、やっぱりレクチャー的な部分が全くないということはあまりなくて。なので、そういうところはオンデマンド講義素材にしてしまうのがいいのかなと。ただ、ワーク型の科目の場合はレクチャー部分も柔軟さが求められるかもしれないので、そこはリアルタイムオンラインや対面などで説明するのがいい場合もありそうです。

択一的言説は、もうおなかいっぱい。

いろいろ勝手なこと書いてますが、正直、たいへんです(笑)自転車操業もええとこです。

ただ、ここまで書いてきたようなスタイルだったら、仮に対面型が中心となるスタイルに戻っても、そのまま使えるかなという思いもあります。

それに、大学のキャンパスでオンライン(リアルタイム / オンデマンド)を受けたっていいわけです。オンラインは家でって思っている人も少なからずいそうな気がするんですが、それは意味がわかりません。受講環境が整ってれば、どこででも受講できるというのがオンラインの魅力なわけですから。

学びというのは、ほんとにそれぞれにご意見やお考えがあるので、ここに書いてきたことが正解だとかそんなことをいう気は全くありません。個人的見解です(笑)

そのうえで、私は対面もリアルタイムオンラインもオンデマンドも、うまいこと組み合わせて使ったらええやないかという立場です。どれがよくて、どれが悪いとか、そりゃそれぞれにメリットもデメリットもあります。それがふつうじゃありませんか?学びの内容だったり、方法だったりによって、組み合わせ方を変えれるようにするのは、理の当然だと私は思います。

ていうことを踏まえたうえで、ただリアルがもたらす「予想外 / 偶然の接触」という価値は、やっぱり大事にしたいのです。それが、知をより深いもの、豊かなものにする可能性が高いからです。

もちろん、オンラインでもそれは起こりますが、オンラインを使うときって、何らかの目的を有しているか、あるいはアルゴリズム的に提示された何かという、因果性の範囲内に収まってしまうような気もするのです。わかりませんが。

だから、実際の場=リアルキャンパスをベースにしつつも、リアルタイムオンラインやオンデマンドも活用しまくる、そういう学びの場だといいなぁ、と私は思うのです。



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