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持続的アウフヘーベンとしての創造。

2018年6月22日。

いつもは授業がなくても大学に行くのですが、地震の影響で自宅書斎が騒乱状態なのでちびちびと片付けをして(もちろん完了せずw)、夕方からマザーハウスカレッジへ。

今回は初めての京都開催。ゲストは京都に本店を開いておられるDari Kの社長・吉野慶一さん。

Dari Kの存在は知ってましたし、価値創造のありようには興味を持ってました。だから、今回は私にとって逃せない機会。

結論からいうと、ひじょうに濃厚でおもしろい内容でした。吉野さんの語り口はまことに軽妙で、笑いもちょいちょい取りながら、さらっとおっしゃってるんですが、Dari Kが展開している価値循環(価値創造&価値交換)はすごくよく考えられたものであるなってのが、明瞭に伝わってきました。


そのなかでもことさら印象的だったのは、吉野さんの問題発見能力です。能力というより、姿勢かもしれません。Dari Kの創業がすごく偶然的な出来事の連鎖のなかで生じていったプロセスは、きわめておもしろかった。カーズナーは企業者的機敏性という概念を提示して、今回のケースを考えるうえでも大いに有益なのですが、「生き馬の目を抜く」みたいなギラギラした側面だけでない点、あらためて考えさせられました。


そして、そのあとの価値創造のプロセス形成や価値交換の関係構築についても、試行錯誤しつつ、最初に抱いた問題意識やコンセプトが徐々に全体的な像として具体化されゆく経過を伺うことができました。当日の議論のなかで、社会性と経済性のバランスないし両立という小テーマが示されていました。そのなかで、いかなる状態をもって「両立している」と捉えるのかは人によって異なるものであり、それを考え、また実践するなかで〈フェア〉や〈ソーシャル〉といった概念を、それぞれが規定していくことが重要という点が出てきたのは、まことに納得できるところでした。

その時々に生じるコンフリクト状態をつねにアウフヘーベンしながら次へと進んでいく、まさに創造的克服を重ねていくところにこそ、魅力や強み、おもしろさが生じていく。そのことを強く感じました。もちろん、やっておられるご当人たちにとっては、切羽詰まった必死な状況であることは疑いをいれないわけですが。


それにしても、優れた企業というのは、だいたいにおいて自ら展開する事業の価値創造と価値交換のありようの全体像をつねに意識しておられるように感じます。この“全体像”こそが、ビジネス・エコシステムと呼ばれているものでありましょう。

今回のカレッジ、マザーハウスもまたDari Kとすごくよく似た姿勢や事業展開であるだけに、相乗的に議論が盛り上がっていく雰囲気があって、ひじょうに濃厚な時間となりました。加えて、大学生の参加がこれまでの回に比べて、ことに多かった。さすがに京都という土地柄やなと、あらためて痛感しました。質問もかなり出てましたし。大阪だとなかなかこうはいかないので、危機感とまでは言いませんが、ちょっと思うところはありました。

いつものことながら、今回もひじょうに学ぶところ多く、いろいろ考える手がかりを得ることができました。

#マザーハウスカレッジ
#DariK
#社会性と経済性の両立
#価値循環
#持続的アウフヘーベン

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