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猫が苦手な私が、猫を拾った話

たぶん6年前ぐらいのお話。

仕事帰りにいつも渡っている横断歩道に気がついたら、痩せこけている小さな猫がいた。

何故自分でも横断歩道の半分に行くまで、いることに気づかなかったのか、今ではよく覚えていないが、気がついたら私の足に纏わりついていた。

その場所は、海の近くで何度か野良猫を見かけたこともあるので、そんな感じの野良猫なんだろうと思っていた。

その頃の私は猫が嫌いという訳ではないが、猫アレルギーということもあり、動物全般は嫌いというか苦手で、小さい時から、生き物係なんてものをすることなくも動物を飼育したこともなかった。

そのまま歩き去ろうとしたけど、どうにもこうにも、離れなくて、私の足がその猫を蹴るような感じになってしまった。

実際には、蹴ったと言うほどでもなく、たぶん少しだけ足が当たったのだと思うのだけど、その猫は本当に痩せこけていて、すぐにでも倒れそうだったので、猫が死んでしまったらどうしようと、動揺してしまった私は、道路を渡りきると家にいる母親に電話をしていた。

あの時の動揺は、優しさとかでなく、このまま死んだらこの猫をどうしていいのか分からないという、対応の出来なさからきていたと思う。

でも、まぁ野良猫なんだから、痩せているとはいえ、餌だけあげれば元気になるだろうから、餌をしっかりあげて、また元の場所に返してあげようと、楽観的に考えて一緒に帰ることにした。

家に帰ってみると電話での説明が足りなかったのか、母は小さな子猫を想像していたみたいだが、その猫は多分1歳ぐらいの若い三毛猫だった。

お腹が異常にほっそりしていたが、それ以外の怪我はなさそうだった。用意していた温めた牛乳もしっかり飲んでいた。

なんだか餌も食べるし、元気そうだし、猫の顔も三毛柄がきれいに入っていて、結構可愛い顔の猫なことに、その時気がついた。

もう遅い時間になっていて、連れてきたのはいいが、猫アレルギーの自分は母にそのまま猫をみてもらうことにした。

母はその晩心配で、猫の近くにいるために玄関で寝たらしい。

一晩たって、母がどうにも猫の様子がおかしいという。

そのまま、近くの動物病院に連れていくと「横隔膜ヘルニア」であると先生から告げられた。

聞いたこともない病名だったが、お腹の中の横隔膜が破れて、腸とかが肺の方に移動して圧迫しており、お腹の中を開いてみないと分からないが、壊死している場合は、あまりよくないかもしれないと言われた。

その時安易に、野良猫を拾ってきたことを少しだけ悔やんだ。先生も元々野良猫なので、手術をせず、元の場所に返すことも一つの手段だと言ってくれたが、すぐに手術をお願いした。

その時の手術金額も安くはなかった。でも家族でお金出して、無事に手術は成功した。

猫が病気になった理由は、よく分からないが、事故か人に蹴られたりして、お腹の横隔膜が破れてしまったのだろうと先生は言っていた。そのあと、私に助けを求めてきたのだろうと。

自分は元々アレルギー持ちで、小さい頃から動物なんて飼ったこともなかったのに、何故あの時、猫を連れて帰ろうと思ったのか、手術をして猫を助けようとしたのか、今でもよく分からない。

でも、動物にあまり好かれない自分に、すり寄ってきたやせぽっちの野良猫をなぜだか放っておくことはできなかった。

自分は優しい人間でもないけど、時々生きていると自分でも説明できないようなことが起こったり、行動してしまうことがあると思う。

実際あの時私が連れてきた、三毛猫はそのままウチノコになった。いまでは我が家に欠かせない存在になっている。もふもふして癒しの存在だ。家族からは「猫嫌いのあんたが猫を連れてくるなんて」と今でも言われる。

不思議なことに、アレルギーもそんなに酷くなっていない。

そう言えば、ちょうど猫を拾った年は、家を建てる計画があり、そういった大きな買い物というか、大きなことをする前には何かしら大変なことが起きるという迷信があるらしい。

たぶん私は、猫を拾ったことで先に大変なことをやったことになったのではないか思っている。それだけでなく、あの年に父親は財布を盗まれたりもしたが、家は無事に建てることが出来た。

大きなことや良いことがある前は、大変なことが起きやすいなんて、迷信かもしれない。でも一見大変なことでも、たぶん長い目で見れば、良いことに繋がっているんじゃないかとも思っている。

時々、自分自身でも説明できないことしてしまう時がある。

「なんで?」と言われても答えられないことはあるし、「なんとなく。」としか答えられないこともある。

でも、だからこそ思いがけないことが起こることもあるし、これからも言葉では表現できなくても、感じたままに行動していきたい。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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