見出し画像

シナリオを面白くするコツ

私は職業柄、シナリオや脚本に関する書籍を読んで勉強することがあります。
以前読んだ、三宅隆太さん著、スクリプトドクターの脚本教室・初級編という書籍を読んで、なるほどなぁと思った内容があるので今回はそれを紹介します。

ちなみにスクリプトドクターとは、商業用の映画やドラマの脚本の完成度を高めるため書き直したりする脚本家のことだそうです。

著者が長年、脚本教育をしている中で問題視している傾向の作品として『窓辺』系と分類される作品が紹介されます。以下、説明部分を引用します。

『窓辺』系の典型的なストーリーラインは、「人づきあいの苦手なOLが田舎に帰って自分探しをした結果、少しだけ元気になった(つもりで)東京に戻ってくる話」です。
また、「友だちとプリクラやカラオケに行くのを極度に嫌うおとなしめの文学系女子が、図書館や美術館で出会った理知的な年上の男性から褒められて承認欲求を満たした(つもりになる)話」や「結婚を間近に控えたOLや、就活真っ直中の大学生や、子育てが一段落した主婦などが、自分の人生はこのままでいいんだろうかと思い悩んで悶々とした末に押し入れから子供時代に書いた<将来の夢>についての作文が出てきたことで、なんとなく解決した(つもりになる)話」なども本質的には『窓辺』系に属します。

これらの何が問題かというと、「主人公」が追い込まれないということがあるそうです。それは「主人公=自分」と無意識に考えてしまうためにあまり辛い目に合わせづらいということがあるようです。

主人公が追い込まれることは物語の推進力です。

例えば、少年漫画で考えても、鬼滅の炭治郎もDRAGON BALLの悟空もONE PIECEのルフィもキングダムの信もハガレンのエドも進撃のエレンもみんなこれでもかというくらいに追い込まれるシーンが出てきますよね。

少年漫画でなくても、たとえばグレイテスト・ショーマンのバーナムやシングのバスター・ムーンは一度、劇場も出演者もすべて失いますし、アナ雪ならエルサが狙われ、アナには命の危険が迫ります。あるいはジュラシック・パークでは恐竜は施設を必ず破壊して制御不能になりますし、映画のドラえもんではひみつ道具が壊れます。

このように物語は主人公の追い込まれる状況が、次の展開へと進めていってくれるのです。

今はスマホゲームのプロジェクトにはシナリオ専門の方が所属していることが多いですが、一昔前のガラケー時代や小さなプロジェクトなんかは企画職がシナリオをライティングすることもありました。

そんなときに、これを知っていると知らないでは結構大きくて、知らない状態でなんか面白くないなと思っても、どう直せばよいかが検討がつきませんでした。しかし、主人公がちゃんと追い込まれているかという視点でみると意外と解決策が見つかったりしました。

ハリウッド式のシナリオ術など、シナリオに関しては面白そうな話がまだまだ沢山あるので、また書きたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?