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ある日〜森の中〜

なんて歌ありますね。こんにちは。ヤマトです。

早速ですが、この間僕の身に起きた一部始終を小説風にお送りします。ちなみに小説なんて書いたこともなければ読んだことも2回ぐらいしかないので文章は雑です。そしてあくまで風です。

2019/08/25 

この日、空の色が暖かくなりはじめ頃に僕は仕事を終え家に向かっている途中だった。

ふと、バックミラーを見ると今までに見た事のないほどの大きな入道雲が後ろにあった。後ろに迫る迫る入道雲を見て僕は帰ったら写真を撮ろう。と思った。雲の位置を確認し、どの位置から撮れば良いか。。

ふと、あの場所を思い出した。

帰宅して僕はワンコが玄関に出迎えに来るよりも先に部屋へ駆け込みカメラと必要なレンズをバックに詰め込み、再び車に戻った。

そして、あの場所へと車を急がせた。そこは2年ほど前に山の杉を伐採した場所だ。自宅から10分程度でとても眺めがよく、あの入道雲が一望できるに違いない。そう思い急いだのだ。

ただ、そこは車では行けない。車を停め1kmほどぬかるんだ獣道を歩かないと行けないのだ。だが僕はそんなこと気にはしていなかった。雲が待ってるんだ。と。

そして車を停め、バックを背負い走り出した。夕暮れ時は時間が早い。太陽は一瞬で沈み、空の色は刻一刻と変わっていく。それが頭の中にあった。全力疾走で薄明かりの森のぬかるんだ獣道を、仕事を終えたばかりの格好で走っていた。

眺めの良いあの場所に出た。やはりここで間違いなかった。目の前にはバックミラーで見た大きな雲がある。しかし先程と色が違う。白い雲ではない。夕暮れに染っていた。慌てて僕はカメラをバックから引っ張り出し、構図を考えることも無くシャッターを切った。パシャパシャと4-5枚撮った時だ。

バキバキバキ。

後ろから音が響いた。木の折れる音だ。この辺の地域は野生動物が沢山いる。猿かな?と私は振り返った。するとまた音が鳴った。そして木が一つだけ激しく揺れていた。しかし動物の姿は見えない。その日は風もなかった。

一つだけ揺れ、音を鳴らす木を僕は望遠レンズで覗いた。最初に目に飛び込んだのは3日月だった。黒い物体に覆われた中に3日月が浮かんでいた。

僕は考えるよりも先にその正体が分かってしまった。

静かな山の中に響いていた木の折れる音が止まった。そして、こちらを見つめた。ファインダー越しだったが、しっかり目が合ったのだ。思わずカメラを下ろした。今度はしっかりと目と目があった。

僕の住む地域は猿、猪、熊。ほかにもたくさんの動物がいる。小学生の頃から熊と対峙したら絶対に目を逸らしたらダメ。そう教えられてきた。

僕はその教えを無意識に守っていたとは思えない。野生の中で生き抜いてきた目で睨まれてわかった。逸らしたら襲われる。そう何となく、思ってしまったのだ。

こちらはカメラしか持っていない。仮に何かしらの武器になるようなモノを持っていたとしても到底、逃げ切れるような。そんなことは絶対に無理だと思った。だから僕は目を逸らさず、自分の存在をただ主張することしか、それしかできなかったのだと思う。

睨み合いが続いた。音も何も。聞こえなかった。身体も硬直していた。

ピィーーーッと、遠くで電車の警笛がその緊張を解くように鳴った。

すると熊は僕を睨むのをやめた。そして再び木を折り、木の実を食べ始めた。その時、僕はその熊が痩せていることに気づいたのだ。体は僕よりも遥かに大きい。170cm以上はあるだろう。その割に痩せていたのだ。冬に向けて蓄えるように木の実を食べている姿を見て、季節が変わること、夏が終わることを感じた。

先程の緊張は何処にもなく、そんなことを感じる余裕が生まれた。気づいたら身体の硬直も解けバックを持ち、ゆっくりと熊を見つつ移動をした。本来なら車に戻るべきなのだろう。しかし車に行く道の方向に熊がいるので僕は安全な所を考えながら移動し始めた。

熊は足が早い。とてもじゃないが人間の足では逃げれない。僕と同じ誕生日のウサイン・ボルト並のスピード走れば逃げ切れるかもしれないが誕生日が同じだけで僕はボルトではない。

だが、熊は下り坂に弱いという知識はあった。熊が見えるギリギリの場所まで山を下りその先も下りが続く場所に僕はゆっくりと動き始めた。熊はこちらに興味も示さず、ムシャムシャと木の実を食べている。

安全地帯に着いた。ここなら仮に熊がこちらに猛スピードで走ってきても大丈夫だろう。とあの時は思っていたが、今思い返すと追われた際に逃げる先はほぼ崖のような所だ。距離を置いたことで何となく安心していたのかもしれない。

そして、すぐ家族にLINEをした。幸い、山の中とはいえ近くに携帯アンテナの鉄塔があり木も伐採されているので電波は良好だ。

熊がいる旨を伝えヤバいと送った。相当テンパっていたのだろう。トーク履歴を見ると、熊いる。ヤバい。としか送れていないのだ。

すると父が写真撮ってと返信してきた。何を悠長なことを言っているのだと状況を伝えた。しかしやはり、今見返すとハチャメチャな文で自分が、生身で、外で、1人で、山奥で、熊と対峙してるのが伝わらない内容だ。電話をすればよかったもののあの時は電話という発想が全く頭になかった。

乱雑に送り付けた文章の3分後に電話が来た。

僕にはあの3分がとても長く感じた。それまで、熊を視野に入れていたのに何となく空を見上げ夕暮れの雲を見て、ハッと思い出すように後ろを振り返った。

雄大な入道雲が紅く染まっていた。

頭は空っぽだった。僕は入道雲の写真を撮っていた。

記憶するように。もしかすると最後の写真かもしれないと本当に思った。

〜♪電話が鳴ると同時にシャッターを切る手が止まった。

その時、自分が熊に背を向けていることに気づいた。

慌てて振り返り電話に出た。最初の話の内容は覚えていない。

熊があの木から居なくなっていたのだ。熊がいない。どこに行ったのかわからない。車の方か、それともまた違う場所なのか。もしかしたら車に戻れるかもしれない。

電話をしながらバックを背負い車の方へゆっくり歩いた。 

とても静かな場所なのに僕の声は大きかった。話し相手は親というより、熊だろう。自分の存在だけでも知らせるように大声で電話をしていた。

ぬかるんだ獣道の前まで来たところで、僕はもう森の中が暗くなっていることに気がついた。ぬかるんだ獣道は真っ暗で何も見えないのだ。

僕は電話をスピーカーに切りかえ、スマホのライトを付け足元を照らした。するとそこにはしっかりと僕の足のサイズよりも少し大きな足跡が車の方へと続いていた。

電話で伝えた。車の方に熊が行っている。

場所を正確に伝えた。幸い、2年前に伐採したばかりの頃に父と見つけた場所なので、すんなり伝わり、こちらに駆けつけてくれることになった。

待ってる間に暗闇から熊が現れる可能性もあるので僕は少し明るい元々いた場所へと歌を歌いながら戻った。迎えが来ることで安心しきって歌った曲は「森のくまさん」だ。

ある日〜森の中〜熊さんに〜出会った〜花咲く森の道〜と歌いながら雲も見ると、紅というより蒼なのか。紫なのか。不思議な色に染まっていた。街明かりも小さく輝き始めていた。僕は歌うのを辞め、また写真を撮っていた。すると遠くから車の音が聞こえ徐々に近づいてきた。

音が近づいてくると同時に雲から光は消え闇に包まれて行った。

僕はカメラをバックに入れて、大きな声で電話をかけながら少し急ぎ足でぬかるんだ獣道の前まで戻った。父は車で入れるギリギリの位置まで来てくれ、ヘッドライトで道を照らしてくれていた。

車まで500mほど。周りは背丈より高い笹薮。足元はぬかるんでいる。車から父が降りてロケット花火に火をつけた。僕からはヘッドライトが眩しくて、影絵のようでシルエットでしか見えない父を見てとても安心した。

暗い森を割くように飛ぶロケット花火と共にぬかるんだ獣道を猛ダッシュした。

そして息を切らしながら、ただいま。と言った。


終わり。


ということがありました。そんときTwitterも同時進行で呟いてましたが、マジで怖かったです。

さて、小説風ということであえて写真を載せてませんでした。なんで小説風?となるかもしれませんが、この当時Twitterでも同時進行で呟いてました。割と緊張感なく…笑 友達にも話しましたが…笑い話に自分でしてしまうので少し違ったニュアンスで伝えてみよ〜って感じでこんな書き方でした。

てゆーか?写真無いけど本当に熊いたの?

と思ったあなたのために熊の写真載せときますね。

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入道雲はTwitterのリンクにしますね。

1枚目の左下にある白い小さいのは仙台の大観音です。高さは100m。比べると雲の大きさが分かると思います。デカいでしょ。

読みにくいか読みやすいかは別として…文字に起こすのは客観視できて面白いかもしれないです。小説は殆ど読まないのでこれが小説風なのかわからないですけど。漫画読んで育ってきたので…。学生の頃の朝読書の時間は読む本なくて日直の日誌とか国語辞典とか読んで先生に怒られたことありますね…。そのレベルです。

なので読みにくいとか、言葉遣いがぐちゃぐちゃ、とか起承転結が、、など色々思うかもしれませんがそれは胸に閉まっておいてください。

なんて、呑気なこと言ってますがあん時、割と危険な状態だったんだな。なんて思います。もう、あの場所は草木が伸びてきて入るのも大変ですし、何より熊に会った場所ですからね。行くことはないでしょう…。

今回実際に熊と対峙してパニクりながらも考えて行動してたつもりですが、ユルユルなのが発覚したのでまた改めて、今後このような場合はどーすべきだったのか。自分で整理して起きたいなと思いました。。山に住んでるゆえ、熊はいるからね…。

生きてて良かった。

では!また!



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