佐賀、鍋島三昧へ。

佐賀といっても鹿島市です。鹿島っていろいろなところにありますよね。(鹿がいたからなの?)

こちらは有明海に面した、肥前浜。
かつては長崎街道の宿場で、豊かな漁場であり、大きな魚市場があって栄えていたところ。今はちょっと寂しいかなぁ。

今回の旅の目的地は、そこにある、「鍋島」で知られる富久千代(ふくちよ)酒造さん。1年ほど前、日本酒オーベルジュ「御宿 富久千代」をはじめられたと聞いてずっと行きたいと思っていました。

が、しかあし、ここが、まあまあわが実家(長崎)から近い。ここまで来て、実家によらないとか言う選択肢はなくて、となると旅程が長くなり、なかなか実現しませんでした。

今回は、博多に行かねばならず、その折に、そこから足を伸ばして、相方と。
博多から新鳥栖へ出て、長崎本線で肥前浜まで行きます。これが2両の電車でめちゃくちゃ可愛い。→のりだ鉄子。

降り立った、肥前浜は海と川が交わる汽水域に近い小さな駅。そして、酒蔵が並ぶ街。

江戸時代から酒造りがさかんに行われてきた酒蔵が並ぶ街並みは国の重要伝統的建造物群保存地区なのですって。皆さん、きっととても大変なのに、大切に守ってらっしゃいます。

歩いて10分ほどで富久千代酒造さんに。
歩きながら、福岡の酒蔵さんに聞いた話を思い出していました。

 かつて九州の日本酒はオケ売りが主流。灘などの日本酒の大企業がある大産地に、いわれるがままの日本酒を忠実に作り、それをオケごと納める=オケ売りの酒蔵が多かったそう。余談ながら、これは醤油でもよくある話。
ところが、肝心要の大産地が日本酒大不況に陥ります。たしか1970年代と聞いたように記憶しています。
桶で買うほど日本酒はいらなくなって、もういらないよ、ってなことで、はてどうしようと行き詰まる酒蔵がたくさん。
もともとは焼酎を作っていたところも多く、結局そのまま日本酒を作るのをやめてしまったところも多いと聞きました。
一方で、この機会に自分たちのオリジナルの日本酒を作ろうと、立ち上がった蔵もありました。佐賀らしい酒、福岡らしい酒、大分らしい酒などなど。
つぶれかけていた酒蔵が、自分たちのプライドと気概と風土をかけて、新たな日本酒を作り、再生した物語がいくつかあるそう。
富久千代酒造さんもその一つ、鍋島と言う名を冠した、肥前の酒を作ることで、蘇った酒蔵と。
今では、鍋島と言えば、なかなか思うようには買えない、日本酒の1つではないか。

ということで、前置きが長っ!になりましたが、お料理ごとに、その鍋島がペアリングされると聞いて、行ってみたかったのです。

料理長を務めるのは、神楽坂の名店「石かわ」さんにいらしたという西村卓馬さん。聞けば、北九州のご出身とのこと。正直ちょっとうれしい。(なぜかって九州の酒にはやっぱり九州らしい料理、生まれも育ちも、九州の人なら安心だなと思って。→自分が九州人だから。)

わざわざ旅をしてここまで来るわけですから、
当然、佐賀、ことに肥前らしい料理が食べたい。

私たちが願っていた通り、ほとんどが有明海、玄界灘、近隣の畑、と地元の食材で構成されていました。海苔サイコー!

料理だけでなく、器も。
鍋島藩と言えば、化け猫ですが(ちがうか)、その前に有田ですよね。炭鉱を始めたのも有田焼を焼くためだったと言われるほど、お上に保護され栄華を極めたのが有田焼かと。
そんな有田焼の現代の皿、ヴィンテージの古伊万里に、薩摩切子など九州らしいものも並びました。口福に眼福なり。

そして素晴らしかったのがペアリングされた鍋島です。
料理に合わせて選ばれ、一皿に一酒。最高の状態で蔵元自ら、ついでくださいました。

究極のオール鍋島ラインナップ!
こうして1つの蔵の酒を様々、一連の時間の中で味わってみると、改めて日本酒作りには、人の腕(技、経験、あきらめない執着)が大きな要素を占めているのではないかと。
 酒米が違ったり、酵母が違ったりで味が違うのが当然のセオリーなのかもしれませんが、それだけじゃない。この日いただいた日本酒は、結局のところ同じ酒蔵の中で作られているわけだし、しかもおそらく水は同じ。
 そもそもめちゃくちゃ水が綺麗だから、この辺にたくさんの酒蔵があるわけですから。あーそれなのにここまで味わいが違うなんて。
 しかも甲乙はなく、それぞれに惚れ惚れとする魅力がある。何よりも1つの料理にぴったりと合っている。そのことに大変感動し、うなりました。

 ワインも日本酒も農産品。ワインはかなり、ママ、が好きなんだけど、日本酒はやはりかなり違う気がする〜。
 
 とまれ、ひとつの蔵の日本酒だけのペアリングで綴る世界に、改めて感心した次第です。(私が知らないだけで、全国いろいろなところであるんでしょうねぇ、黒龍さんとか。)

 ま、ここまで語ってから言うのもなんですが、日本酒 も!まったくの素人。
 ここでしか飲めない濁りや、海外の人が入札してでも買うと言う大吟醸、なんかいつも惚れがちな雄町(酒米)などなどに、ボキャ貧っぷりを発揮し、おおーおいしいとか、合ってるぅー、と、ただただ幸せでした。

 そして、230年越えという建物(リノベ案件)も必見です。蔵元が素敵な方で、このセンスあふれる空間が生まれる理由が見えた気が。)

 肥前浜はのんびりとしたよきところ。朝は早くから動き出している酒蔵さんの音を聞きながら、有明海へ。海へ続く川沿いを走りました。干潟を埋め立てたと思われる畑もあり、なるほどこうなるのか、と。

 周辺には、長崎街道の名残の古き良き街並みが残るところもあり、嬉野温泉、武雄温泉も車で40分位。今度は長崎側から尋ねてみようかなと思っています。

ちなみに結婚記念日でした!ぜいたく御免ww

https://nabeshima.biz/
※お食事をすると、貴重な鍋島を購入することもできます。かなり嬉し。


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