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柳澤静磨『愛しのゴキブリ探訪記 ゴキブリ求めて10万キロ』ペレ出版

ゴキブリと聞いて、あまりイメージが良くない。著者も、最初からゴキブリが好きだったわけではないと言うが、今ではゴキブリの魅力を広めている。ゴキブリが好きだと言っている。

著者が勤める磐田市竜洋昆虫自然観察公園では、年1回、南洋諸島への昆虫採集の出張があるそうだ。入社した翌年に西表島に赴くことになったが、そこは多種多様なゴキブリの生息地であった。

そこでヒメマルゴキブリと会う。楕円形で、1cmくらい。黒くツヤツヤしている。これなら触ることができると、手のひらで丸くなった。これで、ゴキブリのイメージが変わり、魅力にとりつかれてしまったようだ。

2020年には、八重山列島与那国島から1種、宇治群島家島、ヨカラ列島悪石島、奄美群島奄美大島、徳之島から1種の合計2種の新種を見つけ、 35年ぶりの新種記載となった。

他の先生と論文を書き、ウスオビルゴキブリ、アカボシルリゴキブリと名づけたと言う。

ゴキブリの名称の由来についての記載が興味を持って読むことができた。

「ゴキブリ」は濁音が2つも入っていて、なんだかワサワサしたイメージがあると著者は言う。元来は「御器被り(ごきかぶり)」という名前が転じて「ゴキブリ」となったと言う。

「カ」が消失した原因が、1884年発行の『生物學語彙』で、当時、活版印刷であったので、「カ」を入れ忘れたのではないかとされていた。それを確かめるため、『生物學語彙」を著者を探し、ついに手に入れることができた。

まずBlattaの訳には「ゴキカブリ」、Cockroachの訳には「ゴキブリ」の文字があった。ゴキブリ史の転換点を目の当たりにしたと言う。

本書は、ゴキブリの採集方法や、ゴキブリの旅をするときの持ち物も記載されている。世界のゴキブリを求めて冒険しようする人にも役に立つ。でも、ゴキブリの写真を眺めてゴキブリが好きだと言えるまでにはならなかった。


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